マイスターと世界遺産の知の旅へ by 山本厚子

【旬旅】 郷愁を誘う水の町・郡上八幡

 

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岐阜にある郡上八幡は、まさに今、開催中の
"郡上おどり"で知られる小さな城下町。四方を山に囲まれ、町の真ん中を吉田川と小駄良(こだら)川が流れる水の町でもあります。そんな郡上八幡に5月下旬、取材で訪れたお話を。

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美しい用水が縦横に流れる町中は、どこを歩いていても、水の流れる音が追いかけてくるようです。「やなか水のこみち」や「いがわこみち」、そして、名水百選にも選定されている「宗祇水」など、町のいたるところにせせらぎを見つけ、水の町を実感します。

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郡上八幡の暑い夏を盛り上げる"郡上おどり"は、400年の歴史を誇る、全国に知られる盆踊りです。例年7月中旬から9月上旬にかけて32夜開催されています。(毎晩ではないのでご注意を!)なかでも、旧盆にあたる8月13日から16日の4日間は"徹夜おどり"といって、夜が明けるまで踊りは続きます。町を離れてしまった人も、この時ばかりはふるさとに戻って来て踊るそうです。

郡上おどりは誰でも参加できます(観光客が約7割を占めるというお話でした)。観光案内所が置かれた郡上八幡旧庁舎記念館では、初心者のための郡上おどり教室も開催(要予約)されていますので、踊りに不安のある方は昼間に練習してみてはいかがでしょうか。郡上八幡産業振興公社の池ノ上さんにお話をうかがったところ、郡上おどりを楽しむコツは、手拍子を入れたり、下駄を鳴らしたりとリズムよく踊ることだそうです。ゆかたを着なくても下駄だけは履いたほうがよいそうです。

郡上八幡産業振興公社では7月上旬から8月下旬に「ゆかたフェスタ」も開催されています。郡上八幡の呉服屋さんや下駄屋さんが集まって、新作ゆかたや下駄、小物などを展示販売するので、新しいゆかたを探してみるのもいいかも。

おどりのシーズン以外に郡上八幡を訪れた場合は、郡上八幡博覧館を訪れてみてください。1日4回おどりの実演が行われていますから、雰囲気だけでも楽しんでみましょう。

郡上八幡博覧館
郡上市八幡町殿町50
tel 0575-65-3215

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また、郡上八幡では、鍛冶屋町や職人町など、城下町の風情を残した古い町並みの散策が楽しめます。

池ノ上さんによると、郡上八幡には千軒を超える町家が現存しているそう。そこで、「踊り」「水」に次ぐ町のコンセプトを「町家」に定め、新たなプロジェクトが動き出しているそうです。町家を保存・活用して、新たな町の魅力としてPRしていく予定だとか。

その第一弾が「町家伊之助」です。町屋を利用した新たな観光案内所で、ゆかたのレンタルも行っています。ゆかたを借りるだけでなく、着付けもしてもらえるので、手ぶらで来て、おどりに参加するということも可能なのです。もちろん昼間に利用しても大丈夫。古い町並みをバックに、人力車に乗って写真でも撮ったら、すてきな思い出になりそうです。

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今回の取材では、翌日に別エリアの取材があり、郡上八幡に一泊することに。取材が終わった後も、瀬音に誘われるまま、ぶらぶらしていました。夕方の4時も過ぎると観光客の姿がなくなり、町の人たちの普段の暮らしが浮かび上がってきます。軒下の植木に水遣りをする人々が家から顔を出して、隣近所の人と挨拶を交わしていました。現在、マンション住まいの私にとって、子どもの頃に見た光景だなぁと何だかとっても懐かしく感じられました。郡上八幡は、昭和の匂いのする町かもしれません。

東海北陸自動車道の開通によりアクセスが便利になり、町を訪れる人も増えているようですが、多くは高山や白川郷などに抜けて行ってしまい、長時間滞在する人は少ないようです。小さな町ですから、半日もあれば観光は済んでしまうかもしれませんが、時には、瀬音に耳を傾け、町に流れるゆっくりとした時間に身を預けてみるのもいいかもしれません。

郡上八幡へのアクセス:長良川鉄道郡上八幡駅から岐阜バスで「城下町プラザ」下車。車の場合は東海北陸自動車道郡上八幡ICから3分

郡上八幡のお問い合わせ:
郡上八幡産業振興公社(郡上おどり教室やゆかたレンタルなど)はコチラ
郡上八幡観光協会はコチラ
郡上市観光連盟はコチラ

 

※記事中の「郡上おどり」と「町家伊之助」の画像は、(財)郡上八幡産業振興公社にご提供いただきました。ありがとうございました。

 

(取材・執筆 山本 厚子)

 

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