からだがよろこぶご馳走食材と名店を訪ねて〜熊本県菊池市 (前編)

肥後の国、熊本。豊かな水の街として知られる熊本県菊池市とその周辺は、江戸時代の頃より米どころでもありました。そして今なお、その地を支える清らかな水を活かしたからだにやさしいこだわりの食材が育まれ、その食材を活かしきったご馳走を提供するぜひとも訪れたい名店が増えてきているエリアです。
また日本名湯百選に認定されている菊池温泉は、美肌の湯としても名高く、ご馳走を満喫したあとは、ゆっくり温泉につかってのんびりと。
近隣には阿蘇山の雄大な景観もひかえ、菊池市とその周辺は、舌も目も心も満足できる訪問マストな予感のスポットです。

前後編にわたり、からだがよろこぶすばらしい食材と、それらを美味しくいただけるスポットや食材取り寄せが可能なお店などをご紹介して参ります。

20170909_kuma01.jpg美しく澄みきった爽快な青空

「やまあい村 走る豚」
瞳にfall in love! 愛くるしく走りまわる豚さん



養豚家の武藤勝典さんが育てていらっしゃる豚は、空と木々しか視界に入らない山あいの空間を自由に走ったり、眠ったり、食事をしたりしている放牧豚で「走る豚」と呼ばれています。この土地は、以前産廃業者の建設予定地だったところを、武藤さんのお父様と武藤さんがこの自然環境を守りたいという思いから買い取った場所。彼のその自然に対する信念は、豚の育て方にも現れていて、豚の自己免疫が自然と高くなるよう、自然循環の中の一メンバーという位置づけの育て方をされています。
「あれ、くしゃみをしたかな」と思う豚がいてもすぐに獣医さんに相談するのではなく、自然の中で豚が持つ本来の力で治るよう様子を見るのだとか。自由気ままに過ごしている走る豚たちの大好物は、でんぷん質が多めで甘みの少ないさつまいもや自生している"かんねかずら(葛)"の根っこなど。訪問したときも美味しそうに頬張っておりました。
走ったり、じゃれたり、お昼寝したり、気の趣くままに過ごしている豚さんたちはストレスフリー。魚介においてもストレスは身を悪くすると言われていますが、生きるものにとっての共通セオリーを実感。命を頂くことに迷いさえ生じてきそうなほどあまりに愛くるしい表情で過ごす豚たち、命をいただくことに改めて感謝。こんなに食べても食べ飽きないお肉はもしかしたら初めてかも!走る豚を大事に料理してくださっている訪問マストなお店は後編でお知らせさせて頂きます。

20170909_kuma02.JPG自由気ままに過ごす走る豚たち
20170909_kuma03.JPG走る豚についての思いを語ってくださった武藤さんと、美しく整頓された道具たち

「どんたけし農園」
みずみずしいオーガニック野菜

一見強面そうな農園のお名前からどんな農園主さんなのだろうと思いつつ、畑に向かって歩いて行ったら、なんともいえないやさしい笑顔があふれる森永武志さんがご登場。とことんオーガニックを追求した野菜づくりをされているこちらの農園では、さわやかな香りのホーリーバジルが真っ盛り。在来種「なつのこま」という旨みと酸味がしっかりとしているトマトや、種まで美味しいピーマンなど、かじった瞬間滋味深い旨味が口に広がるみずみずしい野菜ばかり。水郷、菊池水源で無農薬・無化学肥料のもと、在来種にもフォーカスした野菜を作っているどんたけし農園、これからの時期は里芋の収穫だそうです。

20170909_kuma04.JPGかわいらしい花を咲かせていた香りさわやかなホーリーバジル

20170909_kuma05.JPG農園主の森永武志さんは、名刺のデザインそのままのビッグスマイルが印象的な方でした

「燦燦ファーム」
元気に育つ香りものたち


また料理に欠かせない名脇役なバジルやパクチーなどなど、香りものに定評があるのがここ。
洋の東西問わず香りものに目がない(鼻がない?!)私ですが、こちらの燦燦ファームのハウスに入ると香りだけでお酒がすすんでしまいそう!なバジルたち。他にもパクチーやトマト、オクラなど化学肥料を使わず有機認証の取得を目指したこだわりの農法で野菜づくりをされている小池哲郎さん。
かじらせて頂いた黄色のトマトのジューシーさも忘れられない味のひとつでした。ちなみに、やさしい笑顔でパクチーに視線を向ける小池さん、実はパクチーは苦手だそうで(笑)かなりびっくり! 育ったパクチーの香りに「むむっ」と苦手感を感じたときほど美味しく育った証だそうです。

20170909_kuma06.JPGハウスに入った瞬間、深呼吸をしてしまったほど美味しい香りのバジルたち

20170909_kuma07.JPGもぎたてトマトは濃厚な旨みの味わい

20170909_kuma08.JPG苦手な方ほど香りに敏感!? パクチーを見つめる小池さんの笑顔

「合同会社クレソン」
脇役ではもったいない味わい深さ

また日頃より、和食や洋食どちらの料理でも愛用しているクレソン、地元菊池市の豊かな水があってこそ実現できたクレソン畑を訪問。田中教之さんのクレソン畑は、気持ちよさそうに過ごすタニシやメダカとともに、無農薬・無肥料で育てられています。かじった後、鼻にぬけるキレのよい香りがたまりません。メインディッシュのアシストだけではもったいない味わい深いクレソン、お肉料理にはもちろんですが、〆たコハダやサバにも合わせてみたいと想像広がる味わいとの出逢いでした。

20170909_kuma09.JPG「豊かな水で自然と育つんです」と田中さん。クレソン畑には、クレソンとともにタニシやメダカも

20170909_kuma10.JPG1枚でもパンチのある田中さんのクレソン。かじった瞬間クールな香りが口中に

また無農薬栽培を基本に、化学肥料や薬などをなるべく使わないで野菜を作られている「かもめ農園」さんのにんにくやなすなどのほか、思いをもった多くの生産者さまもいらっしゃると伺い、すばらしい農産物とお米の源は美しい水なのだな、とつくづく感じた熊本県菊池市でした。

また今回の熊本訪問は、たまたまの偶然からパリの大人気店Restaurant TOYOのオーナーシェフ中山豊光さんの地元での食イベントのタイミングと重なり、その地で生まれ育ったシェフとともに野菜をかじり、食材の活かし方などを伺えた貴重な機会でもありました。

20170909_kuma11.JPGかもめ農園のにんにく。香り豊かでとてもみずみずしい! 加熱料理やドレッシングのアクセントにも

20170909_kuma12.jpgさすが九州の茄子、大きな長なす

20170909_kuma13.JPGピーマン談義をするかもめ農園の今坂知章さんと、「種も美味しい」と中山豊光シェフ

後編では熊本で育まれたすばらしい食材たちをご馳走として供してくださるぜひとも足をのばしたい名店や、遠く離れた地域からでも食材取り寄せができるお店を中心に、今回たまたまご一緒できた中山豊光シェフの熊本食材を使ったイベントでの料理なども番外編としてご紹介して参ります。どうぞお楽しみに。

<主な取材ご協力先>
下記のウェブページでは、栽培の様子や購入方法などの最新情報を見ることができます。

「やまあい村 走る豚」
http://yamaai-mura.com/

「どんたけし農園」
Facebook内のどんたけし農園のページ 
https://goo.gl/WyPQZN

「燦燦ファーム」
http://sunsunfarm.shop-pro.jp/

「合同会社クレソン」
住所:熊本県菊池市片角329-2/電話:080-8010-1785

「かもめ農園」
Facebook内のかめも農園のページ 
https://www.facebook.com/kamomenouen/

(文と写真:奥田ここ)

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