ひとり旅にアート心も入れて by 塩見有紀子

硫黄香るにごり湯「旅館 玉子湯」(福島県・高湯温泉)

9月上旬にプライベートで出かけた福島県高湯(たかゆ)温泉の温泉宿「旅館 玉子湯」をご紹介したいと思います。 20190919joseirotenyoru.jpg

高湯温泉は福島駅からバスで約30分、深山に抱かれた温泉地です。市街地を通り抜けて坂道をどんどんバスは山の上へ上っていきます。夏でも街中より23℃ほど気温が低くなるので、街中では汗をかくほどの日でしたが、旅館に到着した時は爽やかな風が通り抜けていました。


 


そして、旅館に到着してバスから降りた途端、周囲に立ちこめる硫黄の匂い。「これぞ温泉!」といわんばかりの香りに、はやる気持ちが沸々と込み上げてきます。客室に荷物を置き、すぐに温泉へ。

20130919gaikan.jpg茅葺きの湯小屋『玉子湯』。男女別の内湯があります



高湯温泉は、慶長年間に自然湧出し、300年余り。宿泊棟は鉄筋コンクリート造りですが、敷地内にはひなびた湯治場の名残のような、どこか懐かしい雰囲気を醸し出す野天風呂が点在しています。敷地内には2本の源泉が湧出し、水も熱も何も加えないホンモノの温泉が湯舟にたっぷりと注がれています。


館内にある男女別の大浴場のほかに、屋外には男女入れ替え制の野天岩風呂と女性専用露天風呂、そして茅葺きの湯小屋「玉子湯」には男女別の内湯、さらには足湯もあります。ですので、女性は足湯を含めると12日で5種類の湯舟に浸かれます。

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左:日中の女性用露天風呂・右:夕方の野天岩風呂『天翔の湯』


泉質は、酸性-含硫黄・アルミニウム・カルシウム-硫酸塩泉。高血圧や動脈硬化に効果があるとされていますが、ともかく肌ざわりがなめらか! 白いにごり湯は見た目だけでも乳液のように見えますが、手ざわりもツルツルです。温泉につかりながら自分の手で顔にパッティングして、温泉成分をより浸透させようと 必死でした(笑)もちろん、湯上がりはしっとりなめらかで、宿名の通りに玉子のようなお肌になれました。とっても心地いい泉温でしたので長湯してしまいそ うですが、入浴は134回、110分ほど浸かるのがいいそうなので、欲張りはしないように気をつけてくださいね。

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 左:館内の大浴場 右:湯小屋の内風呂「玉子湯」(写真提供:旅館
玉子湯)


 

夕食には、福島特産の山菜を織り交ぜながら、地元の食材を生かした滋味深い食事 を、客室や個室などでいただけます。特に私のお気に入りは、つくね鍋。高原豚と津軽鶏のつくねはフワフワで舌で噛むとつくねと出汁のうま味がじわっと染み 出しました。今回私たちは通常プランの食事をいただきましたが、グレードアッププランで囲炉裏端で食事を取れるそうなので、これからの寒い季節にはぴったりの食事をいただけそうですね。20130919ryouri.jpg

左上:お通しやお造り 右上:つくね鍋 
左下:いちじく道明寺揚げと海老彩り湯葉巻 右下:朝食


 


翌朝は早起きして、敷地内の散策へ。湯小屋脇の坂をのぼっていくと、散歩道があります。宿のサンダルで歩くのは少し大変でしたが、頂上には温泉神社が祀られています。宿に木札が用意されているので、参拝祈願するのもいいです ね。残念ながら、前日夕方まで大雨に降られてしまい足元が悪かったためそれ以上奥へは行けなかったのですが、1キロほどの散歩道が続いているそうなので、歩きやすい靴に履き替えて行ってみてくださいね。散歩後は、また温泉に入っても、足湯もいいでしょう。私たちが行った時は、足湯に浸かりながら読書をする女性客の姿がありました。とても優雅で贅沢な時間の過ごし方ですよね!

20130919jinnjya.jpg右上:敷地内にある源泉のひとつ。湯がこんこんと湧いています 
左下:温泉神社 右下:木札で祈願を


 


朝食後、今度は片道10分ほどの坂道を上った場所にある共同浴場「あったか湯」を見にいってみました。ここは昔の湯治場をイメージした建物で、湯舟はすべて露 天風呂です。駐車場下には高湯温泉の自噴源泉があり、源泉から木樋を通した送湯を見ることができるので、加水も加温もされていない様子がよくわかります。 また、もう少し上ったところには足湯もあります。

20130919attaka.jpg上:あったか湯近くの源泉。硫黄の香りが立ちこめています 
右下:あったか湯 左下:足湯


 


野趣満天の素朴な湯宿の白いにごり湯でじっくりとお湯の良さを噛み締めながら、しっとり美肌を目指して下さいね!

旅館
玉子湯> 12食付き13650円〜

福島駅から要予約で送迎あり(迎え:1515、送り:1030

HPはコチラ

 

 

ちなみに、今回の福島旅行、福島県立美術館で開催中の特別展「東日本大震災復興支援 『若冲が来てくれました プライスコレクション江 戸絵画の美と生命』」の鑑賞がそもそもの目的でした。伊藤若冲だけでなく、鈴木其一や長沢芦雪など、江戸絵画 のコレクターであるジョー・プライス氏の大変すばらしい所蔵品の実物を目の前で見られた充実の絵画展でした。いくつかの作品は、ガラスケースなしで見られ るように工夫されているのです! 若冲の絵を配したオリーブオイルや宮城県・岩手県・福島県の3県の日本酒セットなど、オリジナルグッズも面白いですよ。(会期〜923日)。


 


20130919peach.jpg2日目は、福島市街の農園でシーズン最後の桃狩りをしてきました。大きい! おいしい! お腹いっぱい!

2011年に三春の滝桜鑑賞、2012年にスパリゾートハワイアンズ、そして今回と、3年連続で福島県を訪れていますが、今回も美術展に温泉宿に桃狩りと充実の福島旅行でした。




(塩見有紀子)

 

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