心と体によく効く、大人の山歩き by 西野淑子

第9回 赤紫色のミヤマキリシマ咲き乱れる天孫降臨の地・高千穂峰へ(鹿児島県・霧島市)

ミヤマキリシマを知っていますか? 九州の高山に自生するツツジです。例年の見ごろは5月半ばから6月上旬にかけて。濃いピンク色の花が山肌を埋める様子を見ることができます。満開の花を目当てに九州の山を歩いてみませんか。今回ご案内するのは鹿児島・高千穂峰(たかちほのみね)です。

九州の山の初夏を彩るミヤマキリシマ 

ミヤマキリシマが見られる山は九州各地にありますが、私がおすすめするのは鹿児島、霧島山です。鹿児島空港から登山口まで車で1時間弱という圧倒的なアプローチのよさが魅力。首都圏はじめ各地から朝一番の飛行機で鹿児島に向かい、レンタカーで移動すれば、その日のうちに楽しめるハイキングコースがあります。花を愛でる山歩きと温泉を組み合わせた、1泊2日の週末旅はいかがでしょう。

登山初心者でも快適に歩ける人気のハイキングスポット、大浪池(おおなみのいけ)

霧島山は一つの山ではなく、最高峰の韓国岳(からくにだけ)、霊峰・高千穂峰をはじめとする山々の総称。高千穂峰は天上界から神が地上に下り立った「天孫降臨(てんそこうりん)」の山と伝わっています。坂本龍馬が妻のお龍と一緒に登った山でもあります。高千穂河原登山口からは、どっしりとした山の姿が一望に眺められます。

高千穂河原登山口から高千穂峰を望む

木々が茂っているのは登り始めだけ、ほどなく赤茶けた砂地と岩の斜面になっていきます。斜面を登り切ると御鉢(おはち)が姿を現します。歩行時間はそれほど長くないですが、急な斜面あり、通過にひやりとする細いところもあり、気が抜けません。山の斜面にはミヤマキリシマが這うように茂り、ピンク色の花を咲かせています。

月面のように荒涼とした御鉢。縁を進んで山頂を目指す

登り切ると山頂は360度の大展望。韓国岳や新燃岳など霧島の山々が間近にそびえ、錦江湾や桜島もきれいに見渡せます。天孫降臨のときに神が逆さに落としたと言われる天の逆鉾(あまのさかほこ)もあります。

山頂にある天の逆鉾。今はロープが張られて逆鉾には触れられない

下山後は山麓の鹿ヶ原に足を延ばしてみましょう。ミヤマキリシマの群落の向こうに高千穂峰を望む絶景が楽しめますよ。そして、霧島温泉で汗を流していきましょう。良質の温泉は身体がよく温まり、山歩きの疲れを気持ちよく癒してくれるはずです。

高千穂峰を背景にミヤマキリシマが群生する鹿ヶ原(しかがはら)

【高千穂峰データ】

アクセス:鹿児島空港から高千穂河原登山口へ車で約45分

コース:高千穂河原登山口…御鉢…高千穂峰…往路を戻る…高千穂河原登山口

所要時間:約3時間30分

体力度★★☆ 技術度★★☆

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