心と体によく効く、大人の山歩き by 西野淑子

第19回 春らんまん、花いっぱいの山上集落「ユガテ」へ(埼玉県・飯能市)

晴れれば陽光の暖かさを感じられる季節。のんびり低山ハイキングはいかがでしょう。今回は、春の里山風景を目指して、奥武蔵の山上集落「ユガテ」を訪ねます。

 4月上旬、サクラと菜の花が咲く山上集落・ユガテ

ユガテは埼玉県飯能市、標高約300mに位置する山上集落です。300年以上続く農家が生活を営んでいて、春先は広い敷地がサクラなどの花木で彩られます。例年の見ごろは4月上旬〜中旬です。

西武線の東吾野駅から、最初は舗装道路歩き。民家の庭先や道沿いにはサクラやハナモモなど春の花々が咲いて賑やかです。国指定重要文化財の阿弥陀堂が立つ福徳寺から山道に入っていきます。

登山道に向かう途中の道沿いもサクラやハナモモが咲く

山の古刹・福徳寺。梅雨どきはアジサイが見どころ

よく整備された山道を登っていくと、1時間ほどで突然視界が開け、菜の花とシダレザクラに迎えられます。山上集落ユガテに到着。山々に囲まれた中に畑や民家がある、のどかな風景が広がっています。サクラやミツバツツジなどさまざまな花が咲き、まさに「桃源郷」です。

標高300m、山の風景と一帯になった集落

ここを最高地点として、来た道を戻ってもよいのですが、もう少し歩きたい方は、顔振峠(かあぶりとうげ)を目指しましょう。この先は本格的な山道、木の根や岩が露出して歩きにくいところもあります。

顔振峠という地名は、兄の源頼朝に追われて落ち延びて行く源義経が、景色の美しさに何度も振り返ったという説と、お供の弁慶が道中の坂のきつさに何度も首を振りながら歩いたという説があります。峠からは奥武蔵(埼玉県西部)や奥多摩(東京都)の山々が連なるように見渡せます。

奥多摩・奥武蔵の山々が連なる顔振峠からの眺め

顔振峠には茶店が数軒並んでいます。店内から、あるいはテラス席から山々の景色が楽しめます。春先は山菜の天ぷら、秋はきのこ料理など、時期の山の幸が味わえるのも楽しみ。

下山は吾野駅へ。帰りの途中もサクラやツツジのプロムナードが素敵です。

顔振峠の茶店、春は山菜の天ぷらを

  

【ユガテ:山歩きデータ】

アクセス:西武池袋線東吾野駅下車

コース:東吾野駅…福徳寺…ユガテ…越上山…顔振峠…吾野駅

所要時間:約4時間(東吾野駅〜ユガテ往復は約2時間)

体力度★★☆ 技術度★★☆

Tag

このページをSHAREする

最新記事一覧へ