京都には深い井戸が幾つもある by 小林禎弘

第24回 史跡だらけの中心にある秘境・双ヶ丘に登ってみた!前編(京都市)

双ヶ丘をご紹介します。ご存じの方は京都通とおみうけいたします。双ヶ丘は暗い歴史はないのですが、京都人には暗い陰鬱なキーワードです。小学生の頃授業中に救急車のサイレンが聞こえると、「○○君、黄色い車がお迎えやで」とか「緑の車がお迎えやで」とか、事情も知らずに誰かがからかっていました。黄色い車は岩倉の某病院ので、緑の車は「京都ならびがおか病院」のでした。詳しいことは双ヶ丘病院事件を検索してみてください。

今でも病院は双ヶ丘の西側、周山街道を挟んであります。双ヶ丘はJR花園駅の北西から、嵐電御室仁和寺駅までの南北約700m、東西170~350m、西側は周山街道に沿った低い丘です。古生層の独立の丘で、国の名勝に指定されています。

北から一の丘、二の丘、三の丘と並び、最高地点は一の丘の116mと大した高さではありません。

北の入口から一の丘へ向かう登山道の両脇に広がるウラジロの群生

すぐそばまで宅地が迫っています。「三山が鎮をなす」というのが平安京遷都の詔ですが、北の船岡山からの線が平安京の中心線で、その線に東の吉田山と西の双ヶ丘をつないだ線が交わったところに大内裏が置かれているので、この三山が平安京の基準点だとの説もあります。

登ってみましょう!といっても標高100m少々なので10分くらいで稜線に出ますが、それなりの山道です。入口はいくつもありますが、一番南の入口から登り北へ縦走することにしました。

「名勝雙ヶ岡」の碑がある南の登山入口と「つれづれの道」にある入口の一つ

森の中の道をひたすら登り、三の丘あたりの古墳があったとおぼしき巨岩を抜け、稜線に出て視界が広がるとそこは二の丘ピーク広場で、市内の南東部を展望できます。

二の丘山頂と三の丘山頂付近の巨岩

二の丘と「とおみのひろば」からの京都市内の眺め

森を下りながら少し進むと「とおみのひろば」と呼ばれる展望スペースがあり、左大文字から比叡山、ぎりぎり大文字まで見渡せます。このあたり一帯には6~7世紀にかけて築かれた双ヶ丘古墳群と呼ばれる24基もの古墳があります。渡来人の秦氏のものと思われます。そしてこんもりとした丘が見えてくるとそこがハイライトの一の丘です。

一の丘には古墳とともに清原夏野の墓もある。一の丘から嵐山方面の眺め

その丘全体が古墳で、調査された後完全に埋め戻されています。真下に見える仁和寺や愛宕山や嵐山といった眺望があります。北登り口までの山道には珍しいウラジロの美しい群生が見られます。次号は双ヶ丘の周辺を巡ります。

一の丘山頂から北の眺め、仁和寺が正面に臨める

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