営業と企画の両輪でマネージメントを磨く
VOL.28 梅田勇希さん 1993年生まれ、31歳 OMO7旭川by 星野リゾート
テンションあがる「街ナカ」ホテルである「OMO」の第1号として2018年に誕生したOMO7旭川。記事はこちら。客室数は237室で、ファミリーも多く朝食時は大変な賑わいです。そんななかできびきび働くのが、宿泊副支配人の梅田勇希さんです。
―――28歳でキャリア入社と聞きました。
新卒で金融機関会社に入社しました。就活は金融業界と旅行業界の2本立てだったのですが、なぜか金融関係ばかり面接が通り、クレジットカード会社に勤めました。企画の仕事だったのですが営業がわからないと、先に進めないというジレンマがあり、転職を考えました。そのときに興味を持っていた旅行業界で企画も営業もできるところはないだろうかと、探したところ弊社を見つけました。星野リゾートのサービスチームの働き方、営業と企画の両方ができるところに興味を持ちましたし、珍しいと思いました。
旅はもともと大好きで、バックパッカーのように東南アジアやオーストラリアを巡りました。自分で計画を立てて旅をするのが好きなのです。
―――初めての接客経験など、不安はありませんでしたか。
ちょうど、界 ポロトの開業のタイミングで配属されました。これまでデスクワークばかりでしたから、仕事の中で体を使うことがなかったので当初は慣れませんでした。夕食のサービスでは、オペレーションを意識しながらゲストとの会話も深めなければいけないというのが本当に不慣れで、頭の切り替えができずに苦労しました。開業までのトレーニング期間だけで10㎏痩せました。ただ、疲れ切ってつらい痩せ方ではなく、しっかり頭と体を使った結果なので、気分も晴れやかで気持ちよかったですね。しっかり筋肉も付きました(笑)
―――総支配人への立候補も挑戦されたとか。
界 ポロトでの仕事を通じて、マネージメントに興味が湧き、界 ポロトの総支配人立候補プレゼン大会に出てみようと思いました。プレゼンの結果、総支配人になる前のステップとして、OMO7旭川の宿泊副支配人という提案をされました。
―――立候補のプレゼン、気になります。
立候補プレゼン大会は、ざっくりいうと、自分が宿泊支配人になった時の戦略発表です。今ある課題が何かを把握し、現状分析、そしてその課題への取り組み方などを発表します。発表時間は15分で、その後10分の質疑応答があり、さらに全社のスタッフからアンケートで意見ももらいます。該当する施設スタッフはリアルタイムでプレゼンの様子を確認できますし、ほかの施設のスタッフもオンラインやアーカイブで視聴できます。70人ほどのスタッフが立候補しますから3~4日かかります。
自分のプレゼンはドキドキします。また厳しい意見もいただきます。個性も出ますね。スタッフの成長などソフト面を語る人もいれば、収益やCS(顧客満足度)にコミットする人もいます。私は後者タイプです。この9月にプレゼンがあるので、また宿泊支配人に立候補しようと思っています。
―――今はどのような仕事が中心ですか。
まず、宿泊部門に60名のスタッフがいるので、宿泊支配人とともにスタッフのマネージメント業務に携わっています。また、朝食ビュッフェの現場のオペレーションです。朝食スタッフは今、入社2年目のスタッフでほぼ構成されていますので、何か課題があった時にフォロー役として問題解決を進めるなど。朝食では、なるべくお客様をお待たせしないようにということで、受付スタッフをポジション制にするなど、工夫を凝らしています。朝は急いでいらっしゃるゲストや、時季により込み合う時間帯もあります。冬のスキーを楽しむ方は早く出かけたい、旭山動物園へ行かれる方は開園時間に合わせたいなど、様々です。
朝食の席が200に対し、お盆の時期には500人ほどのお客様がいらっしゃいますので、日々、コントロールの戦いです。
また、界 ポロトでは、アイヌ文化や温泉、独創的な建築などの魅力が多くありましたが、OMO7旭川は競合の多い都市型ホテル。北海道のニュースなどをマメにチェックして、情報収集し、お客様の満足度を上げられるような魅力を掘り下げないといけないと思っています。
―――休日の過ごし方を教えてください。
子どもが生まれて、生活が変わりました。育休も有給休暇を使い2か月取らせていただきました。朝は早く起きてミルクをあげて、洗濯やら家事をして、定番の散歩コースへ。気がつくと夕方で一日があっという間でした。ただ、妻と一緒に家族の時間が持てたのがよかったですね。当初は休むことは暇になることかと思っていたのですがまったく違って。家事と子育ては正解がないですし、当たり前のことなのですが難しいですね。
父親目線ができて、仕事の場面でも役立っていると思います。旭川には絵本作家の方が多いので、それは魅力のひとつになるのではないかとも、思っています。そのうち、旭山動物園デビューも考えていますし、子どもと一緒に雪遊びも楽しみたいです。
(本人提供)
関屋メモ
梅田さんは良きパパであることは言わずもがな、その反面、じつは相当な負けず嫌いではないかと、推察されました。今回は宿泊支配人立候補のことを根掘り葉掘り聞いてしまいましたが、星野リゾートのフラットな組織のひとつの象徴が、立候補制というところかなと感じています。きっと次回の立候補プレゼン大会も全力投球で望むのでしょう。マネージメントは自分を律するだけでなく、周りも隈なく見ることが求められるかと思います。梅田さんはとても目力が強くて、幅広い視野があり、それはパパが娘を見るように愛情にあふれていると、勝手に想像しました。次は総支配人になった姿を拝見したいです。