第57回 パソコンを持って「星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳」へ。高原リゾートでワーケーションを(山梨県・小淵沢)

今、注目されている「ワーケーション」という言葉。「Work(働く)」と「Vacation(休暇)」を掛け合わせた造語です。20年ほど前にアメリカで生まれた概念ですが、会社以外の場所で休暇を取りつつ働くというスタイルは、テレワークの推奨など新しい生活様式を求められる今に、まさにマッチしています。
山梨県北杜市にある「星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳」に、この秋、新しいテレワークのためのスポットが仲間入りしたと聞き、早速、高原リゾートでのワーケションを体験してきました。

ゴンドラでテレワーク?!リゾナーレならではの柔軟な発想
旅恋でも2013年に訪れている「星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳」(→過去の記事はこちら)。
最寄りのJR小淵沢駅は、新宿から特急あずさに乗って2時間ほど。中央本線の特急は2019年春に新型車両(E353系)に統一され、全座席にコンセントを配備。車内でも快適にパソコンを広げることができます。移動中にひと仕事片付け、小淵沢駅へ。ここからはシャトルバスに乗り換え、およそ5分で宿に到着します。車の場合は、中央自動車道小淵沢ICからおよそ5分の距離。東京方面はもちろん、名古屋・大阪方面からのアクセスも至便です。

メインストリートのピーマン通り。訪れた時は、クリスマスの飾り付けがされていました。

2020年11月13日、新しくリゾナーレ八ヶ岳にできたテレワークのためのスポットは、19のショップが立ち並ぶ宿のメインストリート「ピーマン通り」にあります。
通りのなかほど、芝生の広場に案内されると目の前に現れたのは、なんと3基のゴンドラ!しっかりワイヤーに吊るされ、高低差までつけてあって今にも動き出しそうです。でも、安心してください、ちゃんと地面に接地されているので安定感は申し分ありません。

ゴンドラ3基の内、1基は空いていれば予約なしで利用できます。

「リゾナーレらしく、ユニークでリゾート感あるテレワークスペースができないか……」と熟慮した結果、白羽の矢が立ったのが、ゴンドラだったそう。たしかにゴンドラには窓があり、適度に防音が保たれ、ほどよい広さを確保できるので理想的な場所といえます。今回テレワークスペースに利用されたゴンドラは、元々は福島県にあるスキー場「星野リゾート アルツ磐梯」で使用されていたもの。世界がサステナブル(持続可能)な社会を目指すなか、今あるものに新しい価値を見出す発想は大切です。

後ろからみると、今にも動き出しそう!ゴンドラには福島からはるばる八ヶ岳までやってきた証が刻まれています。

テレワークゴンドラの見た目はスキー場のゴンドラそのままですが、なかは完全オフィス仕様。広さは2畳ほどで、コンセント付きのデスクとソファーを完備。デスクはノートパソコンを置いても、横にまだ資料を広げられる余裕があります。足元には冬にうれしい暖房器具が、さらに天井には窓があるほか、換気扇も設置されているので、ドアを閉めたままでも換気がしっかりできます。

デスクにはスタンドや除菌効果のあるウエットティッシュなども用意されています。
窓は天井に2つあり、入り口近くに換気扇があります。

リゾナーレ八ヶ岳では、「パーフェクト ワーケーションセット」も用意(1日1,500円[税別]、数量限定・要事前問い合わせ)。テレビ会議用マイク・スピーカー、テレビ会議用ライト、ノートPCスタンド、膝上デスク、外付けディスプレイの5点をレンタルできます。持参したノートPCと外付けディスプレイを接続すれば、オンライン会議も快適。背景に映るゴンドラの風景に、「あれ、どこにいるの?」と会話も弾みそうです。

パーフェクト ワーケーションセットを利用しても、デスク上には余裕があります(ノートパソコンとスマホは、川崎私物です)。
足元のヒーターで冬でも暖か。入り口前にもシートがあるので、2名で利用できます。

テレワークゴンドラ内には、ドリンクの持ち込みOK。すぐそばに「丸山珈琲」があるので、香り高いコーヒーを味わいながら仕事をすることもできます。
テレワークゴンドラの利用は宿泊者限定で、利用は無料。1台に2名まで“乗車”でき、仕事仲間とミーティングすることもできます。予約はWEB上の専用フォームから。6:00〜24:00の間、一枠2時間から予約できます。

 

                                                                       

ノートパソコンひとつで、どこでもテレワークがうれしい!
自宅でのテレワークは、生活スペースで働くことになり、気分の切り替えが難しい……、と思っている方も多いのでは?リゾナーレ八ヶ岳には、テレワークゴンドラのほかにも、仕事をできるスペースが多数あります。

ゲストルームでテレワーク
ゲストルームはホテルとレジデンス、2つのスタイルから選べます。
ホテルスタイルは、モダンラグジュアリーな空間。広さ35㎡のスタンダードルームから広さ100㎡のスイートルームまで、人数や旅のスタイルで客室を選べます。
例えば、大人4名でもゆったりと過ごせるデラックスルームには、4名で囲んでも十分な広さがあるテーブルを配置。家族や旅の仲間がアクティビティを楽しんでいる間、集中して仕事に励むことができます。

デラックスルームは広さ70㎡あり、最大4名まで宿泊できます。壁には描かれているのはリゾナーレ八ヶ岳から見える八ヶ岳連峰。

ホテル棟と外回廊で結ばれるレジデンス棟は、ピーマン通り沿いに立っています。「暮らしているかのような寛ぎ」をテーマにした客室は、メゾネットスタイルやミニキッチン付きなど、さまざま。リビングとベッドスペースが分かれているので、よりゆったりと過ごすことができます。
今回宿泊したのは、広さ70㎡のメゾネットルーム。テラスに面したリビングがあり、その奥にごろんと横になれるマットレスを敷いたスペースがあります。このごろごろスペースは居心地最高!ピーマン通りに面した窓から陽光が注ぎ、膝上デスクにパソコンをのせれば、テレワークも可能。WiFiの動作も申し分なく、仕事が捗ります。

リビングルームの中央にある階段の上にベッドルームがあります。ごろごろコーナーにはスタンドと膝デスクが置かれています。

BOOKS&CAFEでテレワーク
文学作品から絵本まで多彩な本を取り揃える「BOOKS&CAFE」にも、コワーキングスペースが。一部のデスクにコンセントが付いているので、充電残量を気にせず仕事ができます。食や自然など、棚にはテーマに沿ってさまざまな本が並び、仕事途中のひと休みにもぴったりです。

中央に置かれたデスクはコンセント付き。本の他、山梨県在住のアーティストを中心にした作家物のアクセサリーや、雑貨も並びます。

 

                                                                              

仕事が片付いたら、アクティビティやグルメを楽しむ時間に、即切り替え
ワーケーションの醍醐味は、仕事が終わったあとすぐ、大自然を楽しんだり、おいしい食事を堪能したりできること。リゾナーレ八ヶ岳では、さまざまなアクティビティが用意されています。もちろん、仕事の合間の気分転換に利用するのもおすすめです。

 【グルメ篇】
「ピーマン通り」でランチタイムを
連泊のワーケーションで気になるのがランチタイム。仕事の合間にサクッと食べたい。でも、旅先だし、いつもとは異なる料理を味わいたい。そんな思いに応えてくれるのが、ピーマン通りのレストラン。イタリアン、そば、ベーカリーカフェ、ジビエ料理など、多彩な選択肢から選べます。
今回のランチでは、野菜とジビエをメインにしたヘルシーカフェ「ベジビエ」で、看板メニューのべジビエバーガーを注文しました。白を基調としたかわいらしい雰囲気の店内でほどなく供されたのは、店の印象と対極にあるワイルドなバーガー。竹炭を練りこんだバンズの間に、存在感あふれるレタス、にんじんのラペ、そして、メインの鹿とイノシシの合挽き肉を使用したパティが、見事な層をなしてプレートの上にそそり立っています。かじれるのかしら、と一抹の不安を覚えましたが、結果、杞憂に終わりました。ハーブやスパイスが効いたパティは全く臭みがなく、新鮮なレタスやタルタルソースとも絶妙にマッチします。たっぷりの野菜の中にはアボカドも隠れており、このバーガー1つで1日分の野菜が摂れるのではないかと思うほどの満足感がありました。

ベジビエバーガーはフレンチフライ付き。テイクアウトもできます。


ディナータイムは日本ワインと料理のマリアージュに酔いしれる

リゾナーレ八ヶ岳のメインダイニング「OTTO SETTE」では、地産の食材で仕立てたイタリア料理と、各々の料理にマッチする地産のワインをいただく“口福”を味わえます。店内からも眺められるワインセラーには、2000本あまりのボトルがずらりと並び、その9割が山梨・長野県産。ゲストの要望に答えて、イタリアやフランスのワインも一部取り揃えています。コース料理に合わせてペアリングも可能ですし、ソムリエと相談してその日のコースに合うワインをボトルでじっくり味わうこともできます。野菜が主役のため、全10品が供されるコースは、季節替わり。この日のコースのタイトルは「山梨〜長野 晩秋の八ヶ岳」。ソムリエ選りすぐりのペアリングで料理を楽しみます。

・Orto[畑]×リュードヴァン ソーヴィニヨン・ブラン2019

うずまきビーツやサツマイモ、インゲンなど、約30種類の野菜を楽しめる欲張りなひと皿です。野菜のなかに潜むように、牛肉のテリーヌやカンパチのカルパッチョ、ニジマスのマリネと3種のアンティパストが。野菜はボイルやグリルと最低限の調理にとどめているため、素材そのものの味わいが生き生きと表現されています。
ペアリングはソーヴィニヨン・ブラン2019。リュードヴァンは長野県東御市にあるワイナリーで、このワインに使用しているソーヴィニヨン・ブランは100%東御市産。果実味のしっかりとした味わいで、ほのかに洋梨のような風味も。野菜に寄り添い、味わいをさらに際立ててくれます。

・Spore[風味]×中央葡萄酒 あけの 2018

牛肉のグリルローストに、乾燥させ旨みを凝縮させたシイタケを使用したソースを合わせていただきます。まわりにはボイルしたビタミン大根や、ダシで煮込んだゴボウなど、野菜が彩りも美しく盛られています。
ペアリングのあけのは、日照時間日本一といわれる北杜市明野町の畑で育てたメルローが主体となっています。しっとりローストした牛肉のなめらかな味わいと立ち上るしいたけの香り、そして、ワインのほのかな酸味が、口の中でやわらかなハーモニーを奏でます。

・Armonia[調和]×シャトーメルシャン エサンス・ド・甲州2015

くるりと巻かれた栗のチュイールのなかに、洋ナシ、白ワインのジュレ、ホワイトチョコレートムースが。ペアリングのエサンス・ド・甲州は、その名が示す通り日本の固有品種である甲州を使用しています。遅摘みの熟したものを使用し、さらに果汁を冷凍濃縮して醸造しています。ともに口にすると熟した果実を想起させる味わいのデザートワインと、洋ナシなどが口の中で渾然一体となり、豊かな甘みへと昇華します。

リゾナーレ八ヶ岳では、ビュッフェ&グリルレストラン「YYgrill」や、ピーマン通りにあるレストランでも夕食を味わえます。例えば1泊目は「OTTO SETTE」、2泊目は別のレストランでということも可能。連泊のワーケーションで、食の楽しみが一層広がります。

 

【アクティビティ篇】
馬と自然と一体になれる「森林乗馬」

写真提供:星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳

小淵沢町は「馬のまち」として知られ、道路沿いに馬の横断注意を呼びかける標識を見かけるほど馬が身近にいます。「森林乗馬」体験では、初心者から上級者まで楽しめるコースを用意。例えば、初心者なら馬場で馬の乗り方などの手ほどきをしっかり受けてから、森のなかへ分け入ります。冬は一面、ふかふかの雪が積もり、白銀の世界は実に幻想的。南アルプスや八ヶ岳連峰が見晴らせる場所もあり、大パノラマも堪能できます。春の新緑や秋の紅葉など季節ごとの楽しみもあります。


落葉する晩秋から冬にかけては、馬場から富士山が望めます。

森林乗馬は3日前17:00までの事前予約制。長袖・長ズボンと動きやすい服装で参加しましょう。体験の馬は、よく調教されたおとなしい馬ばかりなので、小学生(コースにより年齢制限あり)から参加できます。乗馬クラブでは、キュートでかしこい番犬にも会えますよ!

八ヶ岳アクティビティセンターで手作り体験
アウトドアレジャーからクラフト体験まで、さまざまなプログラムを楽しめるこちらの施設。雪の季節、ぬくぬくとした室内で手作り体験なんていかがでしょう。ワインリゾートらしく、ワインボトルのランプ作りやステンドグラス、陶芸、オカリナ絵付けなど多彩なモノづくり体験から選べます。前回取材時は、ステンドグラス体験に挑戦しました。古墳好きの多田が、オリジナルデザインの前方後円墳の形をした時計を作ったのですが、だいぶ前のことなのにスタッフさんが覚えていてくださいました!旅先の思い出の品作りに、挑戦してみては?


ワインボトルライトやステンドグラスの時計、オカリナ、陶芸など、作品例が飾られているので、何を体験するか見本を見て決められます。

森を楽しむアクティビティに参加しよう
リゾナーレ八ヶ岳の敷地面積は、およそ7.5ha。周囲をぐるりとアカマツやカラマツからなる森に囲まれ、ゲストルームを一歩出るだけで、豊かな自然を堪能することができます。
八ヶ岳の自然について知るなら、「朝の森林散歩」への参加がおすすめ。参加者は7:50までに八ヶ岳アクティビティセンター前に集合し、ガイドの案内を聞きながら森を歩きます。周辺の森には、シカやたぬき、アナグマ、キツネなど多くの動物たちが棲んでおり、散策の道すがらその痕跡を見ることができます。木々につけられた傷や穴も、知らずに通り過ぎてしまいそうですが、説明を聞くと実はシカがツノでつけた傷だったり、キツツキが巣を作ろうとしたあとだったり。ガイドが持つバッグから説明のための道具が出てきて、驚きもいっぱいです。バッグから何が出てきたかは、参加してのお楽しみということで!
リゾナーレ八ヶ岳には、もう一つ「さんぽ」があります。その名も「森の空中散歩」で、林間でアスレチックを楽しめます(積雪時は休業)。


ガイドにはみなキャンプネームがあります。今回案内してくれたのはビターさん。シカのツノあとに子供たちも興味津々

日本ワインの魅力を知って、味わう
「ワインリゾート」を標榜するリゾナーレ八ヶ岳では、地元・山梨県やお隣・長野県産のワインとの出合いを楽しめます。
「BOOKS&CAFE」に隣接の「八ヶ岳ワインハウス」では、数ある山梨・長野県産ワインから厳選した24種類のワインを取り揃えており、テイスティングができます。量も25mlから選べ、気に入ったものを小瓶で購入し、テイクアウトも可能です。その際活躍するのが、「VINO BOX」。2段重ねの木箱で、下段に小瓶2本、上段にはチーズやナッツなどのおつまみを詰めることができる優れもの。オリジナルのイラストが描かれた木箱もかわいらしく、ピクニック気分を盛り立ててくれます。
 

説明書きのあるワインリストがあるので、好みのワインを探して。VINO BOXのほかに、フルボトルを入れられる
VINO BAGもあります。
ワインラベルを見て選ぶのも楽しいひと時です。

もっとワインについて知りたくなったら、毎日15:30と16:30にピーマン通りにある「八ヶ岳ワインハウス リミテッドショップ」で開催される「ワインの学校」に参加を。宿泊者限定のミニ講座で、山梨県や長野県のワインのおいしさの秘密を、モニターを活用してわかりやすく説明してくれます。

モニターを使用して説明。この日の試飲は赤・白・ロゼに続く第4のワインとも呼ばれるオレンジワイン、シャトーマルス 甲州 オランジュ・グリ。

                                                                              

12月25日までワインボトルを活用したクリスマスイルミネーションがピーマン通りを彩ります。また、12月19日〜3月31日までスキーやスノーボードのレンタルが無料になるなど、スノーリゾートを満喫できるおもてなしも。リゾナーレ八ヶ岳の冬のワーケーションは、魅力たっぷりです。

【星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳】
電話:0570-073-055(リゾナーレ予約センター)
料金:1泊2名1室の場合、1名あたり2万1,000円〜(税別、朝食付)
https://risonare.com/yatsugatake/


(取材・文/川崎久子)

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