【Topics】界 加賀に、温泉旅館では日本初の「金継ぎ工房」が誕生。修復工程の一部の体験も(石川県・山代温泉)

界 加賀ゆかりの文化人である北大路魯山人の「器は料理の着物」ということばに倣い、界 加賀では、器と料理のマリアージュにこだわって器を宝物として大切に扱っています。
2015年の開業当初に地元の九谷焼や山中塗の作家に依頼して作っていただいた多くの器は、毎日使用することにより、どうしても器の劣化や破損が生じてしまいます。

そんな時、破損した器を廃棄するのはもったいないと感じた元蒔絵師のホテルスタッフが、2019年から金継ぎの技術を広めました。今では金継ぎができるスタッフは全体の半数を超えたそう。そして、2023年、より本格的に金継ぎに取り組むため、金継ぎ工房が誕生したのです。温泉旅館の内部施設に金継ぎをする専用の場所が誕生するのは、日本で初めてとのこと。

工房では、温泉旅館のスタッフとして接客サービスを行う界 加賀のスタッフ自身が金継ぎの技術を、地元の金継ぎ作家を講師に招いて技術を習得中です。簡易な合成樹脂ではなく、漆で接着する本格的な金継ぎは、1つの器を継ぐのに少なくとも1か月以上を要する根気のいる作業。スタッフは破損が生じた器にも愛着を持ちながら大切に修繕活動に取り組んでいるそうです。

また、宿泊ゲストは、金継ぎの歴史や道具、界 加賀とのつながりの説明をスタッフから受けた後、金継ぎの一部を「金継ぎいろは」で体験できます。欠けた器を漆のパテで埋める「埋め」、継いだ部分に金粉を蒔く「粉蒔き」、蒔いた金粉を漆で固める「固め」の3つの工程の内、そのいずれかひとつを体験できるのです。なぜ行程のひとつのみなのか、それは、漆は湿度や気温により、硬化するまでに数日から1週間かかることもあり、その日の作業状況により体験できる内容が異なるからです。

たった一部の金継ぎ体験であっても、金継ぎ技術の難しさ、奥深さを体感することができるでしょう。壊れてしまった、欠けてしまった器に金が蒔かれ、より美しさをまとう器へと甦るのです。夕食で提供される器の一部に金継ぎの技術が使われているのを見ると、きっと親しみが湧くことでしょう。

また、工房は、国の登録文化財指定の紅殻格子が特徴の界 加賀の伝統建築棟に沿い、紅殻色を基調とした外観はそのままに、表通りからの景観との一体感にこだわったもの。窓からはスタッフが器を修復している様子を見ることもできます。また、内装も格子の色と合わせた紅殻色の壁で、実際に金継ぎで使う道具類が展示されています。これらの道具や器は、金継ぎや漆の専門家からの助言のもと、1点1点念入りに揃えられました。工房は15:00~17:30の時間帯で見学もできます。

 

金継ぎ工房
<金継ぎいろは>
開催日:毎日 15:30~30分
費用:無料
定員:6名
対象:宿泊者、12歳以上を対象
予約:金継ぎいろはは当日現地フロントにて要予約
界 加賀 https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaikaga/

旅恋アンバサダーによる界 加賀の滞在記はこちら
※データ・内容は掲載当時のものです

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