第47回 とちぎ民藝の湯宿「星野リゾート 界 鬼怒川」で季節のいちごを満喫(栃木県・鬼怒川温泉)

鬼怒川温泉のある栃木県はいちごの生産地としてよく知られていますが、なんと50年連続収穫量日本一だそうです。今回は、旅恋メンバーの山本が「星野リゾート 界 鬼怒川」でこの2月末まで楽しめる「いちご滞在」プランを体験してきました。

とは言え、その土地の文化をふんだんに体感できる温泉旅館ブランド「星野リゾート 界」のことですから、魅力はいちご以外にも盛りだくさん! コンセプトに「とちぎ民藝が光る木漏れ日の湯宿」とあるように「界 鬼怒川」の館内では、益子焼をはじめ、黒羽藍染、大谷石、鹿沼組子と、さまざまな伝統工芸品に触れられるのが特徴となっています。さあ、いちごととちぎ民藝の世界へご案内しましょう。

界 鬼怒川のエントランスホールでは、益子焼の水琴窟がお出迎え。

スロープカーで非日常の世界へ

鬼怒川温泉駅からタクシーで約5分、「界 鬼怒川」のエントランスで降りても、そこで到着ではありません。玄関からスロープカーに乗って約2分半。鬼怒川の風景を眺めながらゆっくりと斜面を上ります。


スロープカーを降りた先にはロビー棟や客室棟が、カエデの木々が枝を広げる中庭を囲むように建っていました。四季折々の風景を見せる中庭にどこにいても目が行くような空間造りがされており、鬼怒川の温泉街と切り離された、静かな時間を過ごすことができるように感じました。

 

冬の中庭では、アウトドアのこたつも! あたたかい飲み物を持ってきて、くつろぐゲストも多いそう。

ロビーの一角には益子焼の巨匠の作品が飾られているコーナーもあり、実際に作品に手を触れてみることも! 一番高い180万円の表記に手が出せなくなってしまいました(笑)

ロビーの横には中庭に面してトラベルライブラリーがあり、コーヒーやハーブティーなどが無料で楽しめます。

 

栃木の誇るいちごを堪能!

12月から2月に楽しめるプラン「いちご滞在」は、「界 鬼怒川」だけでなく、「界 川治」「界 日光」と栃木県内の3施設で実施されているものです。内容は施設ごとに異なるのですが、「界 鬼怒川」の「民藝いちご滞在」では、旬のいちごの食べ比べができます。私が味わったのは、ご存じ「とちおとめ」のほか、「スカイベリー」と「とちひめ」の3種。なかでも赤く大粒の「とちひめ」は果肉が柔らかく、水分量が多いことから傷みやすく、県外にはなかなか流通しないので、“幻のいちご”と呼ばれているそうです。頬張ってみると、みずみずしい果汁がジュワッと口の中に広がります。甘みも十分あって、とてもおいしくいただきました。

いちごのほか、いちごのスパークリングワインや3種類のお菓子もあり、まさにいちご尽くし! 豆皿は到着時に自分で選べることができます。

 


ほかにも、いちごのアロマオイルを楽しめる大谷石のアロマストーン、いちご牛乳、宮染めのいちご柄手ぬぐい、栃木県内のいちごスイーツが楽しめるショップを案内したマップなどがお部屋に置かれています。そして夕食時のデザートには「いちごと赤ワインの紙鍋 バニラアイスクリーム」、そして朝食には「いちご発酵ドリンク」も用意され、とことん栃木のいちごを味わい尽くせるプランで、いちご好きにはたまりません!

 

滞在中に体験する「用の美」

柳宗悦や河井寛次郎らによって提唱され民藝運動は、美術品としての工芸ではなく、日常で使われる日用品のなかにこそ美しさ(用の美)があるという考え方。この流れを汲んだ益子焼や黒羽藍染めなどを「界 鬼怒川」の館内のいたるところで体感できます。


なかでも特筆すべきは、約300枚の豆皿が並ぶ「豆皿ギャラリー」。益子焼をはじめ、さまざまな産地の焼き物を実際に見たり、触ったり、使ったりできます。

また「界 鬼怒川」の全48室の客室は、すべて「とちぎ民藝の間」です。壁を飾る益子焼の陶板アート、テラスに敷き詰められた大谷石、ベッドを彩る黒羽藍染のベッドライナー、鹿沼組子の木箱に収められた益子焼の器やコーヒーカップなどが備えられています。

朝夕の食事時にも料理を引き立てる益子焼の器や鹿沼組子の木箱が使われています。とくに夕食時は一品一品供される会席料理なので、次の料理はどんな器に盛りつけられてくるだろうかと楽しみになります。いくつかお料理とともにご紹介しますね。


先付の「牛ロースの山里和え」は小ぶりの器で。日光名物のラッキョウのたまり漬けを刻んだものが入っているので、独特の風味と酸味がとてもよいアクセントに! 胡麻の白和えとピーナッツも香ばしくてコクを感じ、牛ロースと相性抜群。


八寸とお造りと酢の物は同時に宝楽盛りとして出されました。小さな丸い皿は、ぼってりとした姿が益子焼らしく、シンプルだからどんな料理とも合いますね。少しずついろいろな料理が味わえ、目でも舌でも楽しめる演出でした。


和風グラタンの「白子の焙烙焼き」。焙烙(ほうろく)とは平たく浅い土なべのこと。長ネギと一緒に焼かれた白子がアツアツ&トロトロで、とろけたチーズの塩味とコクがぴったりの一品。


「鰤と根菜の土鍋ご飯」は、大きな土鍋で出された後、取り分けてもらえます。豆のように見えるのは、里芋の種芋であるムカゴを素揚げしたもの。土鍋ならではのおこげもあって、冬の美味を満喫しました。

益子焼は人に使ってもらうことを大切にしている焼き物だそうです。料理を引き立てる素朴な風合いの器を実際に使ってみて、料理と器の相性もとても大切だなと感じることができました。

そして、毎晩ロビーでは「益子焼ナイト」が開催されています。「星野リゾート 界」の施設ごとに開催される地域を感じるイベント「ご当地楽(がく)」として、益子焼マイスターが、益子焼の特徴や歴史、器の楽しみ方などを教えてくれます。


毎晩21:15~、益子焼のリコーダーの演奏でスタート!


盆の上の3枚の皿は山本セレクトのもの。益子焼ナイトが始まる前に、参加するゲストは豆皿ギャラリーから好みのものを選んでおきます。他の3点は、益子とは違う産地の焼き物。これらを使って、益子焼マイスターの話が進んでいきます。益子焼の器を選んだり、クイズがあったりとゲスト参加型なので、楽しみながら焼き物を知ることができるのがよいですね。

とちぎ民藝に触れる体験は、ほかにもエントランスで迎えてくれる益子焼の水琴窟や、回廊を照らす黒羽藍染の灯篭など、さまざまな場所で見つけられます。宿での滞在を通して、実際に使うという体験ができ、気に入った器などはショップで購入することも可能です。

 

温泉いろはで入浴法や呼吸法を学ぶ

「星野リゾート 界」で共通して実施されているプログラムが「うるはし現代湯治」です。長期間お休みのとれない現在人にフィットするように、1泊2日の界滞在中に温泉を楽しみ、くつろいでもらいたいと考えられたもの。「温泉いろは」では、案内人であり「界の湯守り」から鬼怒川温泉の歴史や効能、呼吸法、目覚めのストレッチなどを学べます。「界の湯守り」の指示にしたがって、実際に呼吸法やストレッチに挑戦。滞在中にこれらを実践することでより効果が得られるとのことです。


温泉いろはの会場となるのは湯上り処。ここにも黒羽藍染の団扇が飾られています。


「温泉いろは」は16:00と16:30の2回開催。法被を着た「界の湯守り」が案内してくれます。

大浴場と露天風呂のある男女別の大浴場では、鬼怒川温泉の湯を堪能。アルカリ性単純泉の湯は肌にやさしく、長湯をしても疲れにくいお湯なのだとか。例年4月上旬には露天風呂から桜並木を眺めながら花見風呂も楽しめるそう。

 

「界 鬼怒川」はいかがでしたでしょうか。
滞在することで地域の文化や魅力を堪能できる「星野リゾート 界」は全国で展開されています。2020年春には「界 長門」がオープンし、全16ヶ所となります。季節ごとに各地の界を巡る旅もおすすめです。

 

【星野リゾート 界 鬼怒川】

住  所 〒321-2526 栃木県日光市鬼怒川温泉滝308

電  話 0570-073-011(界予約センター)

アクセス (電車)鬼怒川温泉駅より車で約5分 (車)日光宇都宮道路今市ICより約25

料  金 121室の1名あたり24,000円~(サービス料込・税別、夕朝食付)

「いちご滞在」プラン121室の1名あたり29,000円~(サービス料込・税別、夕朝食付)

チェックイン1500 チェックアウト1200

U R L  https://kai-ryokan.jp/kinugawa/

 

(取材・文/山本 厚子)

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