
山口県下関と福岡県門司を結ぶ関門海峡。本州と九州、瀬戸内海と日本海との接点です。最峡部の幅は約650m、関門連絡船ではわずか5分の距離ですが、異なる2つの土地を結び、そして隔てる、そんな旅情があふれます。
2025年12月にオープンしたリゾナーレ下関は全室海峡ビューのデザイナーズホテル。リゾナーレは国内外に展開するリゾートホテルで、リゾナーレ下関は8施設目に当たります。「リゾナーレ」というとファミリーで楽しむイメージがあるかもしれませんが、ファミリーだけではなくミドルエイジまで幅広い層が満足できる施設なのです。とくにこのリゾナーレ下関は大人こそが味わいたい魅力が満載です。
館内にちりばめられる“あの魚”のデザイン
デザインに優れるホテルの外観は曲線を活かし、船の形をイメージ。館内は昼の海のように明るくスタイリッシュ。山口や下関に関する書籍が並ぶBooks&Cafeではオリジナルのカップケーキやドリンクが購入できるほか、ショップにもオリジナル商品が並びます。

左:フロント、中:ショップ、右:Books&Cafeで購入できるカップケーキとドリンク
そして館内のあちこちに、あの魚=ふぐがデザインされています。下関といえばもちろん、ふぐ(地元では「ふく」)。
日本で唯一のふぐ専門の卸売市場・南風泊市場があり、日本有数のふぐの取扱量を誇るだけではありません。戦国時代、ふぐの毒による死者が出たため、ふぐ食は禁止され、明治時代になっても続きました。そんななか、初代内閣総理大臣の伊藤博文が下関の老舗料亭でふぐを食べ、その美味しさと毒性を取り除く確立された技術があることを知り、明治21年(1888)に山口県限定でふぐ食が解禁。以来、ふぐといえば山口、下関が定着したのです。
館内でふぐのデザインを探してみて
客室は9タイプ全187室あり、基調は海色のエメラルドグリーン、すべての部屋から関門海峡の景色が楽しめるのはもちろん、遊び心も。海峡カバナスイートには、リビングに砂浜が敷き詰められています。室内なのに素足で砂浜を歩く感覚は不思議な気分。またハンモックがあり、望遠鏡や貝殻などのアイテムを詰めた海峡カバナBOXも用意され、ビーチサイドにいるよう。行き交う船を間近にしながら、存分に海峡の眺めを堪能できます。

海峡カバナスイート
ふぐの魅力を味わい尽くすディナーコース
レストランは2か所、イタリア料理の「OTTO SETTE SHIMONOSEKI」とビュッフェの「PUKU PUKU」。いずれも下関ならではの食の体験が楽しめますが、とりわけ「OTTO SETTE SHIMONOSEKI」のディナーは9品中6品にふぐを使うという魅惑的なコース。ふぐがイタリア料理にどのように変化するのか、楽しみです。料理に合わせるアルコールのペアリングとともに味わいます。
大内塗りの器に盛られたタコ、サザエ、ノドグロ、雲丹などの海の幸の軽やかな前菜に続き、ふぐの煮凝りとふぐの骨や皮などを丸ごと使った出汁を取ったスープ、これには日本酒の「雁木」のにごりで。ふぐのカルパチョと香り良い柑橘のスキューマ(泡)は爽やかな味わい。

左:前菜、右:ふぐのカルパッチョ 柑橘のスキューマ
次はふぐ皮の冷製カペッリーニ(提供は3月17日まで)。ふくねぎ(ふぐ刺しに付く細い葱)のピューレを和えたパスタと新鮮なふくねぎ、ふぐ皮のマリネ、そして鰹節ならぬ、ふぐ節をたっぷりかけていただきます。合わせるお酒は山口が誇る日本酒「獺祭」で。個人的にはとても気に入った一品。ふぐがこんな風にイタリア料理に昇華するとは。
厚切りふぐのグリリア(グリル)は蕪との相性抜群の香ばしい一品、これは赤ワインと合わせます。そしてふぐのフリットの存在感が際立つリゾット。ふぐは揚げ物にしたときにその旨みが際立つと確信。メインの肉料理はふぐの白子とともに。濃厚同士かと思いきや、意外とあっさり。

ふぐのフリットと身皮のリゾットは、周防大島の温州みかんの果実酒で

ふぐの白子と牛フィレ肉。赤身肉に白子がぴったり
デザートの2品も柑橘たっぷり。そう、どの料理にも夏みかんや長門ゆずきちなど山口でも生産が盛んな柑橘が豊富に使われて、その味わいの方向性がふぐの魅力を最大限に引き出していると感じる料理。あらたなふぐ料理に出合いました!
朝食のビュッフェも工夫が凝らされています。ふぐを用いた海鮮丼、ふぐ出汁でいただく山口名物の瓦そば、柑橘をふんだんに使ったフレンチトーストなど、ご当地感たっぷりです。

おとなも子どもも大満足のアクティビティ
リゾナーレ下関の大きな特徴のひとつが、関門海峡を見晴らすプール。子どものための全天候型屋内プールはユニークなデザインのふぐプール。こちらにはウォータースライダーもあり、おとなもOK。なんと関門海峡の潮流の早さと同じ、最高速度10ノット(時速約19km)も出るそうです。次回はやってみたい!
そしてインフィニティプールは朝7時~9時と夜7時~9時は12歳以上限定。正面から昇る朝焼けと幻想的な夜景はおとなだけの時間となります。プールでは朝の水中ストレッチ(開催は4月14日まで)もあり、加温されているプールですので、もちろん一年中楽しめます。

左:ふぐプール(屋内)、右:朝焼けインフィニティプール
プールのほかに子どもたちに人気なのがふぐビーチ。砂地の上に掘り込んだソファやふわふわドームなどがあるあそび場です。子どもたちのはしゃぐ声が響きます。

手作り体験としては海のクラフト、アップサイクルチャームとシェルコラージュが楽しめます。シェルコラージュは貝殻やシーグラスを使ってオリジナルアートをつくるもの。作っているうちにみるみるハマり、時間を忘れてトライしてしまいました。
シェルコラージュ完成
夜8時から開催されるのが海響館講座。ふぐの展示種数世界一という近くにある水族館、海響館をより楽しむための講座です。ふぐの毒は生まれつきではない、ふぐは瞬きをする、体の2倍も膨らむふぐがいるなど、ふぐ博士になれそう。翌日に海響館へ行くのが楽しくなります。

さらに夜は、海峡ナイトラウンジを楽しみましょう。コンテナ船をイメージしたトレイに、軽食とドリンクをセットにして、館内のカフェスペースや、屋外のテラス席で。行き交う船と対岸の灯りにしばし酔いしれてみては。

海峡ナイトラウンジ。クラフトコーラとジントニック、ナッツやふぐ骨せんべい、チーズなどと
取材時は、ファミリーも多かったのですが、落ち着いたカップルや女子旅らしき方も多く、ゲストの幅広い年齢層を感じました。海峡には歴史がありロマンがあり、旅の記憶がしっかり刻み込まれる気がします。
また、ファミリーで来ても、「OTTO SETTE SHIMONOSEKI」でのディナー時は子どもを預けられるナーサリーもあるので、ぜひコース料理を味わい、おとなだけの時間を楽しんでみてください。これから春・夏・秋と季節ごとのアクティビティも検討中とのこと、次は水着持参で再訪したいです。

山口県下関市あるかぽーと4-1
電話050-3134-8093(リゾナーレ予約センター)
1泊2万1000円~(2名1室利用時1名あたり、税込み、食事別)
取材・文/関屋淳子 写真/yOU(河崎夕子)







