第128回 黒糖好きなら冬に行くのが正解!「西表島ホテル by 星野リゾート」で黒糖の魅力をたっぷり味わう滞在を(沖縄県・西表島)

12月中旬、羽田空港を飛び立ち、1枚、2枚と上着を脱ぎ、半袖姿で到着した3回目の西表島。
過去2回の滞在でSUPやカヤック、トレッキングなど西表島と言えば思い浮かぶ海や山のアクティビティにも挑戦済み。じゃあ今回は何しよう? と公式ホームページを見ていたら…。出会ってしまったのです、黒糖を愛する私にぴったりのプランを。
今回体験したのは、2025年12月6日から2026年3月30日まで開催の「黒糖ステイ」。サトウキビ収穫最盛期の西表島で、黒糖尽くしの滞在を贅沢に楽しむ2泊3日のプランです。

ホテルスタッフさんと共にサトウキビ畑へ

港からサトウキビ畑に直行! まずは原料からアプローチ

黒糖を知るには原料のサトウキビから、ということでまずはサトウキビ畑の見学に行きます。川や森よりもまずサトウキビ! 黒糖に全振りのプラン、潔いです。

「ザワワ♪ザワワ♪」の歌では馴染みがありますが、近くでサトウキビ畑を見たのは初めて

ところで黒糖と白糖の違いってわかりますか? 
黒糖は圧搾した搾り汁をそのまま煮詰めた含蜜糖、白糖は搾り汁を精製してショ糖だけを取り出した分蜜糖。つまり蜜が入っているか、いないかの違いです。蜜がある分、黒糖にはミネラルを豊富に含んだコクのある甘みがあるんですね。

蜜は鮮度が命のため、収穫したその日のうちに精糖工場に持って行かないと、酸化して味に響くのだそう。その収穫が今まさに最盛期ということで、農家さんは12月から3、4月までほぼ毎日収穫を行い、製糖工場は24時間フル稼働します。

独特の鎌の図。この鎌を使うのはサトウキビ刈りの時だけだそう

本当は農家さんから直接話を聞けると良いのですが、超繁忙期のため、プランでは農家さんからレクチャーを受け、実際に収穫も手伝ったホテルスタッフさんが、サトウキビ畑を案内してくれます。収穫はサトウキビ用の独特の形をした鎌を使って手で刈ります。

風の影響を強く受けた畑(左)と受けない畑(右)ではこんなに違いが!左の畑は向こうが全然見えません

サトウキビの傾く方向は、その年、その場所の風向きを示しています。たとえ台風で大きく倒されても、またそこから太陽を目指し上に伸びていきます。そんなわけで茎が蛇行するのが当たり前。手で刈るにしても鎌を入れる向きが1本1本異なるので、ザックザックと同じリズムで刈ることができず骨が折れます。この複雑さで1日一人1トン(!)収穫できたら一人前とのこと。収穫作業は甘くはありません。
トラクターで一気に収穫することもできますが、そうすると製糖工場のキャパシティを超えてしまい、製糖を待っている間にサトウキビの鮮度が落ちてしまうため、手作業で収穫を行なっています。

茎には二節にひとつ発芽点があり、株分けで増やす際の芽がここから生えます

サトウキビの茎には竹のような節があり、この間隔が長いほど甘くなります。昨年は8、9月に大きな台風が来なかったので背丈は大きく伸びたものの、雨が少なかったため収穫量は少なくなりそうとのこと。農家さんの一年の汗水と、すべての黒糖好きのためにも、美味しい黒糖が採れますようにと、願わずにはいられません。
サトウキビについての知識をしっかりつけたら、ホテルに向かいます。

「ウェルカム黒糖」で8島のそれぞれの黒糖を堪能

この黒糖ステイプランでは、客室で「ウェルカム黒糖」のおもてなしを受けながらチェックインします。
通常でも客室でもタブレットを用いた「インフォームドチェックイン」が行われていて、ゲストは最初に西表島を楽しむマナーを学びます。島内の走行時速40km制限、生物・植物の採取持ち帰り禁止、生ゴミの投棄禁止など、いくつかのマナーを最初に知ることによって、西表島の豊かな自然を守ることに参画する意識を持つのは、この島を旅する上で大切なことですね。

インフォームドチェックインの様子。タブレットでわかりやすく説明してくれます

さて、待ち構えていたのは沖縄の8島の黒糖。黒糖といえば沖縄というイメージがありますが、原料がサトウキビ100%の純黒糖を製造して県外に集荷しているのはわずか8島(伊平屋島、伊江島、粟国島、多良間島、小浜島、西表島、波照間島、与那国島)のみ。それぞれに土壌や天候、栽培方法の違いから味わいが異なるとのことなのですが、食べ比べてみないと自分の好みはなかなか見つけられないもの。

8つの島の8種の黒糖の違いを味わう「ウェルカム黒糖」

ということで、島ごとの黒糖の味や見た目の特徴を記したテイスティングシートを見ながら、実際に黒糖を食べ比べることで、「この滞在をより有意義にするべく推し黒糖を見つけなさい」という趣旨と勝手ながら解釈し、早速ティスティングをスタート。チェックインから黒糖を摂取できるとは、なんて魅力的なのでしょう。

意識して味わってみると、なんとまぁ個性豊かなこと。ネットリからサラリまでの甘みの幅のみならず、苦味や塩味を感じるものもあるし、食感や口溶けもいろいろで8島8様。これは難しい。
結論から言いますと「甘みとコクが強めでほのかな苦みがあり、食感は硬め、口溶けはややザラつく感じで、余韻はしっかりだけど長くはないのが好き」という自分の好みはわかったのですが、島で言うとどこが私のストライクなのか? もっとたくさん食べてから決めなさい、ってことかしら? ということにして、今回の滞在では西表島推しでいくことにしました。

黒糖ステイの客室はディベット付きのデラックスツインで、リゾート気分も満喫できます

黒糖ショッピングの後は、月ヶ浜でサンセットタイム

推し黒糖が決まったところで、ホテルのショップへ。
西表島ホテルのショップはホテルのそれとしてはかなり大型。各島の黒糖をはじめ、黒糖を用いたお土産菓子や西表島の特産品や加工品、島在住の作家さんの工芸品、イリオモテヤマネコやマングローブなどをモチーフにしたアパレル商品、加えて、川や森でのアクティビティに参加するゲストも多いため、アウトドアグッズも豊富に取り揃えています。

黒糖商品がいっぱい。豆菓子系は必ず買って帰るお気に入りです

普段の生活では黒糖を使ったお菓子や飲料にこれほど出会えないので、黒糖好きの私は買い物欲があふれ出し、あっという間に買い物カゴがいっぱいに。しばらく黒糖ライフを楽しめそうです。

サンセットタイムに用意されたドリンク。晴れた日なら浜辺にセッティングされます

ショッピングの後は「月ヶ浜サンセットタイム」に繰り出します。通年、夕陽が沈む時間に合わせて、プールサイドやビーチで開催されるドリンクサービスで、スパークリングワインやスパークリングジュースを片手に、空と海が染まるひとときを過ごせます。

徐々に空がモーブ色に。スパークリングワインを片手に至福のひとときです

この日は少し天候が不安定だったためゲストラウンジでの提供でしたが、わずかな望みを掛け、浜辺にチェアを出してサンセットを待ちます。日中は雨が降ったり止んだりの天気でしたが、思っていたよりもずっと綺麗なマジックアワーが訪れ、素敵な夕景を楽しみました。

ゲストラウンジは「月ヶ浜サンセットタイム」の開催時間以外でも、24時間利用可能です。西表島ホテルは2021年の西表島の世界自然遺産登録を機に、日本初の「エコツーリズムリゾート」へと舵を切り、様々な取り組みを行っています。そのひとつとして「ペットボトルフリー」を掲げ、客室でのペットボトルウォーターサービスを廃止し、マイボトル持参を推奨しています。

上に持ち手がついていて使い勝手が良いレンタル用ボトル(左)。
ゲストラウンジ(中)でいつでも給水できます(右)

そのためゲストラウンジには24時間利用できるウォーターサーバーを設置するほか、さんぴん茶などのドリンクの提供も行っています。マイボトルをお持ちでないゲストにはウォーターボトルのレンタルサービスを行っているのでご安心あれ。私はマイボトルも持参していましたが、レンタルボトルも借りて、さんぴん茶と水の2本持ちをしました。夜には泡盛の提供もあり、お部屋でゆっくり2次会することができましたよ。

コーヒー、紅茶、さんぴん茶のほか、夜には泡盛も。ドライパインとの相性も抜群!

黒糖の魅力を活かした黒糖ディナーコース

2泊3日の黒糖ステイプランには1泊目の夕食として、黒糖ディナコースが含まれています(2泊目の夕食は別途要予約)。8島の黒糖の特徴を活かしたコース料理で、ウェルカム黒糖で知った島ごとの違いをより深く味わえる、このプランならではのディナーです。

黒糖の食感やコクを楽しめる、南国感のあるアミューズ3品

アミューズはセビーチェ、ガスパチョ、エビトーストの3品。「旬魚のセビーチェ。アーサーとグリーンシトラス」の柑橘の酸味には食感の良い小浜島黒糖、「マンゴーとトマトのガスパチョ」のフルーティーな甘みには塩味の効いた与那国島黒糖、「エビトースト」の軽快な旨味にはビター感を伴う伊平屋島黒糖と、絶妙なマリアージュが食欲を刺激します。
料理の中で砂糖は普通に用いる調味料ですが、それが黒糖に置き換わるだけで、奥行きが生まれる気がします。なかなか自分ではできないアレンジなだけに、何か料理の技を盗めないかとつい考えてしまいます。

カマイのローストはまったく臭みがなく、ジビエの概念が覆る美味しさ

メインは、今まさに猟期真っ最中の西表島のカマイ(イノシシ)を使った「カマイのコンポジション。ロースト、コンソメ、ひつまぶし風」と「カマイのスモーキークラッチ」の2品。キレイなピンク色のローストはとても柔らかく、イノシシ肉とは思えない甘み。ローストカマイ丼として味わった後は、粟国島黒糖を使ったカマイのコンソメを注いでひつまぶし風に楽しみます。コンソメだけで味わうと少しクセがあるのですが、丼に注ぐとローストの脂の甘味がより際立ち、さらに箸が進みます。

スモーキークラッチはカマイの旨味と甘味を存分に味わえます

一方のスモーキークラッチは多良間島黒糖を使った燻製料理で、香ばしさと肉肉しさがたまりません。西表島黒糖を用いたコク深いBBQソースと波照間島黒糖をブレンドした塩で味わいます。猟期の新鮮なカマイ肉と黒糖の出会いをたっぷり楽しむメイン料理は、冬の西表島ならでのご馳走です。

デザートは、塩味の強い伊江島黒糖を使用したパイナップルのシャーベット。目の前でシャンパーニュを注いで仕上げます。塩味がアクセントになって、シャンパーニュの刺激と共に軽やかに食事を締めくくります。

パイナップルの酸味と黒糖のコク・塩味を、シャンパーニュがすっきりとまとめ上げます

黒糖愛を語ってくださった池沢さん。もっともっと黒糖メニューを推してほしいです

サーバーは、この黒糖ステイプランの発案者という池沢さん。ホテルのレストランで働く中で、西表島の食の魅力を黒糖を使ったメニューでアピールできないかと考えたのがきっかけだそう。8島の黒糖を様々な形で味わうメニューは、黒糖好きからしたら、よくぞ思いついてくださった!とお礼を言いたいくらいです。西表島の旅の重要なコンテンツのひとつとして、もっと黒糖をクローズアップしてほしいと思います。

ホテルのそばでも十分に楽しめる西表島の自然

ずっと黒糖にまみれていても私自身は構わないのですが(笑)、黒糖ステイでは気軽に楽しめる西表島の自然も紹介してもらえます。2日目の午前中はイリオモテガイドウォークに参加して島の植生や生き物に触れましょう。

森のなかのパブリックスペース「ジャングルKichi」で、島と野生動物についてレクチャーをうけます

ジャングルコースは、敷地内にあるジャングルをホテルのガイドスタッフさんと共にめぐります。敷地内といっても侮るなかれ、想像以上に濃い緑と植物の多様さに驚くはず。さまざまな動植物が環境に適応しながら生きる様を学ぶことができます。

左上:オオタニワタリは、木の上に着生する大型のシダ。寄生ではなく乗っかっているだけ
左下:ホウビガンジュは、鳳凰の尾のような葉のシダ。先っぽの若芽は山菜として炒め物やおひたしに
右:モクタチバナは、よくしなる木で跳ね木とも呼ばれ、猪を捕獲する罠にも使われています

左:ヤエヤマモリアオガエルの卵 右:ちょっとスケルトンなアオミオカタニシ

多くの種が共存した、ジャングルの主のようなガジュマル

海辺を巡るマングローブコースにも参加しました。こちらはホテル前のビーチから浦内川の河口までを散策し、マングローブをはじめとした西表島の生態系を支えている、汽水域に棲む動植物の繋がりを学ぶコース。ジャングルと海の距離が近いので、両方を一連の流れで把握できるのも西表島の特徴です。

マングローブとは気水域に生息する木の総称。これは塩分濃度の濃いところに生えるヤエヤマヒルギ

この日の浜辺には島の木の種がたくさんありました。ホウオウボク、ゴバンノアシ、サキシマスオウ、
オキナワキョウチクトウ、サガリバナ、アダンなど。形も個性豊かです

浅瀬にはミナミトビハゼがいっぱい。じっとしていると寄ってきます

ホテルのガイドスタッフさんは、西表島観光案内人の資格も保持。何を聞いても答えてくれる頼もしい存在です。ひとつ知ると、次から次へと知りたくなるのが、西表島の自然の奥深さ。気づけば「これは何の植物?あれは何の実ですか?」と質問しまくってしまいました。

ホテルにはレンタサイクルもあるので、少しホテルの近隣を巡ってみるのもいいかもしれません。
私は訪島3回目にして、新しい生き物との出会いがありました。雨が降り出したタイミングでちょうどお目にかかったのはヤエヤマセマルハコガメ。住宅街の路上にいて車に轢かれないか心配でしたが、このような近さで石垣島と西表島のみに棲む固有種の絶滅危惧種に会えるとは! さすが西表島です。

黒糖の本領発揮! プラン限定の黒糖尽くしのアフタヌーンティー

2日目の午後はプラン限定の黒糖アフタヌーンティーを味わいます。アフタヌーンティというだけで心躍りますが、さらにテーマが黒糖尽くし。これはもう黒糖三昧の予感しかありません。

晴れた日はプールサイドで味わうことも。南国気分も味わえますね

ティースタンドには下段から、生地に竹炭を練り込んだエビのスライダーと、じゃがいものブリニ ソーキ乗せタコス。中段はパイナップルをふんだんに使った黒糖のフルーツぜんざいに、パウンドケーキとバターサンド。上段はスポンジに黒糖を練り込んだ黒糖のショートケーキとフルーツタルト。

私は上段のショートケーキと中段のフルーツぜんざい、下段のエビのスライダー、
そしてパフェが気に入りました。沖縄食材と黒糖の両方を余すことなく満喫できました

さらに別添えの華やかなパフェは、繊細なチュイルやエルダーフラワーの香りのクリームに黒糖を使い、泡盛ゼリーやジーマミー豆腐アイスと一緒に器に盛り込んだ香り豊かな一品です。

黒糖を効かせすぎるとクドくなってしまうのではとも思っていたのですが、フルーツの爽やかも加えたバランスの良い構成で、最後まで軽やかに食べられました。2人前なので残して大丈夫ですよ、と言われたにも関わらず、全部平らげてしまいました。黒糖スイーツを残すわけないじゃないですか(笑)。

黒糖でキレイになる!プラン限定の「黒糖トリートメント」もおすすめ

夕刻、黒糖ステイの仕上げをするべくプラン限定オプションの「黒糖トリートメント」へ。足浴からボディ、フェイシャルまで、黒糖やサトウキビ由来の化粧品を使って、最後は黒糖で美しくなってしまうという、なんと欲張りな滞在なのでしょう。

黒糖には保湿や美白効果のほか、新陳代謝促進やむくみ改善などの効果もあるそう

まず足浴で足元を温め、黒糖シュガースクラブでかかと周りの角質を取り除きます。フェイシャルやボディマッサージには、黒糖とサトウキビエキスを配合した化粧品を使って肌を整えていきます。

黒糖の味わいが好きだったのですが、こんなにも良い効果をもたらすとは知らず。
もっと食べなくては!と決意を新たにしながらトリートメントを受けました

黒糖には角質層まで浸透する保湿力があるそうで、お肌を乾燥から守って、しっとりふっくらに仕上げてくれます。月桃の化粧水や乳液なども組み合わせ、香りでの癒し効果もプラスされ、後半の記憶は定かではなく…。一年分の疲れが、大好きな黒糖のパワーでほぐれていくのを感じました。

  ***

黒糖ステイ、皆さんも興味が湧いてきましたでしょうか? 
今年が2年目の開催ですが、初年度に比べると利用される方が格段に増えたそうです。黒糖好きの皆さんにこのプランが認知されつつあるのかもしれません。星野リゾートの宿泊プランは年々ブラッシュアップされていくのが常。ぜひ多くの黒糖好きさんにご参加いただいて、みんなでもっともっと黒糖三昧のプランに育てていきましょう!と、勝手に鼻息を荒くして帰路につきました。

西表島ホテル by 星野リゾートhttps://hoshinoresorts.com/ja/hotels/iriomote/
所在地:沖縄県八重山郡竹富町上原2-2
電話: 050-3134-8094(星野リゾート予約センター)
宿泊料金:2泊24,000円〜(2名1室利用時1名あたり、税・サービス料込み、食事別)

取材・文/多田みのり

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