第12回 「星野リゾート ウトコ オーベルジュ&スパ」

 夏を思わせるような青空の広がる5月下旬、関屋と山本で高知県にある「星野リゾート ウトコ オーベルジュ&スパ」を訪ねてきました。

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南国ムードに包まれるレストラン前のテラス

 「星野リゾート ウトコ オーベルジュ&スパ」は高知空港から車で約1時40分、室戸岬に位置します。鉄道利用なら土佐くろしお鉄道の奈半利駅へ。そこから1日1往復で送迎バスも運行しています。
 

 太平洋に突き出し、紀伊水道と土佐湾を分ける室戸岬。沖合には黒潮が流れ、鰹は日本有数の漁獲量を誇ります。温暖な気候が柚子などの果実や野菜を育み、また、台風の通り道としても知られています。大地隆起と海面変動が造り出した雄大な海成段丘は世界ジオパークに認定され、若き弘法大師(空海)が修行した地という歴史もあります。「星野リゾート ウトコ オーベルジュ&スパ」で、自然、歴史、食、海など室戸のもつ数々の魅力を体験してきましたので、ご報告します。


 

船をイメージした客室から
大海原を一望する


 フロントのある建物は「テラピーセンター」です。ここでは海洋深層水プールやスパが体験できます。チェックイン自体はお部屋ですることになります。
 船をイメージした施設で、大きくカーブを描いた廊下を進むと、客室やレストラン棟がワンフロアに並んでいます。

 

20150616utoco02.JPG 国定公園にも指定される緑いっぱいの自然に囲まれている

 

 海に向かって横一列に連なる客室は全17室。スタンダード、スーペリア、ラグジュアリー、スイートと4タイプあり、いずれも大きなガラス窓越しに室戸の絶景を眺めることができます。窓に沿うように大きめのソファも置かれ、ここから黄昏時の海や日の出などを満喫することも。室内は白を基調としたシンプル&モダンな雰囲気で、リゾート気分を盛り上げてくれます。

20150616utoco03.JPG 今回私たちが滞在したのは広さ53㎡のラグジュアリールーム

また、バスルームにも大きな窓があり、海を眺めながら優雅なバスタイムも楽しめます。

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ゆったりとしたビューバスのほかに、シャワーブースも備える

 

海の恵みを体内に取り込む
ディープシーテラピー

 日照量が多く、風が強い室戸岬では、常に海水が蒸発し、大気中に浮遊しているそう。ミネラルを含んだ空気を呼吸することで、呼吸器や皮膚によい働きがあるといいます。
 さらに室戸では、オホーツク海より水深700〜1000mをゆっくりと流れてきた海洋深層水の取水を行っています。ミネラル豊富な海洋深層水を思う存分、体感できるのが「ディープシーテラピー」です。
 まずは、体温に近い温度に温められた海洋深層水100%のプール&ジェットバスでリラクゼーションを楽しみましょう。浮き棒などを利用して、温かい海水に浮くと心身ともに解放されます。海洋深層水は、肌細胞の新陳代謝促進や、優れた保湿作用などの効能も期待できるそうで、女性にはうれしいですよね。

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 もっとリラックスしたいなら、スパトリートメント(事前予約制)へ。ボディやフェイス、ヘッドなど、多彩なトリートメントメニューが用意されています。
 私たちが体験したのは、夏のおすすめスパメニュー「ディープシーアロエスージング」 80分25,800円(要予約)。紫外線でダメージを受けやすい夏の肌をたっぷりの海洋深層水とアロエエキスを配合した清涼感あるマスクで保湿・沈静するメニューです。

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 トリートメント前には、お部屋で海洋深層水の炭酸水をたっぷりしみ込ませたマスクで15分ほどパックしておきます。血管が拡張して血流を促進させるそうです。

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 フェイシャルがメインのコースですが、背中や足、腕とボディのマッサージもあり、オールハンドならではの心地よさに思わずウトウトすることも。とてもリラックスできました。施術後は、しっとりした肌にオイルがもっと浸透するようにすぐプールに入らない方がよいそうです。

 

鰹尽くしのイタリアンと
日本酒のマリアージュ


 お楽しみの食事は「鰹と柚子の黒潮オーベルジュ」と題して、夕食は鰹を余すところなく味わうイタリアン。朝食は生産量日本一を誇る柚子のフレッシュな風味を楽しむものです。
 夕食はまず前菜から驚かされます。高知のおもてなし料理・皿鉢(さわち)風に大皿に盛りつけられ、鰹は赤身はもちろん、ちちこ(心臓)、はらこ(ハラミ)、腸などの様々な部位がローストやトリッパ風、生ハム風、冷製パスタ、コロッケなどに変身し登場します。これほどまでに味わいが異なるのかと、目から鱗。鰹恐るべしです。

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また、お馴染みの鰹のたたきも、フルーツトマトのソースを纏います。たたきは冷水でしめずにほんのり温かいのが漁師流。
 魚料理は鯛と鰹の2大共演、肉料理は和牛と鰹の血合いのソーセージです。あれも、これも鰹! でも飽きない!
 ほかにも空豆のブッディーノ(プリン)が乗ったスープ、鰤のソテーのタリアテッレ、ジュンサイを使ったデザートなど、ほんとうによく工夫された素晴らしいお料理!

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  さらに夕食でぜひおススメしたいのが、地酒とのペアリング。お料理に合わせて、軽め、辛口、すっきり系、こく旨など、高知の日本酒がサーブされます。イタリアンと日本酒のマリアージュがこれほど至福なものかと、悶絶状態でした。

 朝食は、柚子ジュース、柚子のドレッシングが爽やかなサラダ、生地に柚子を練り込んだワッフルなど...太陽をいっぱいに浴びた柚子の力で元気に目が覚めました(笑)もちろん、ふわふわのオムレツや、熱々のシーフードクネル (蒲鉾のようなもの)も美味しく、満足感の高いものでした。

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 まさにオーベルジュの本領発揮というところで、連泊の場合はお料理ももちろん変わりますので、そのあたりも探求してみたいと思いました。


他にももっとあります!
ウトコの魅力

 


海洋深層水を使った水耕栽培でサラダを


 レストランの一角では、海洋深層水を使い、ハーブや野菜を水耕栽培しています。海洋深層水で育てると、通常より生育がよいそうです。

20150616utoco10.JPG 水耕栽培で育てられるミントを摘み取り

 到着時には、ミントの摘み取りを体験しました。小夏を一晩漬けた海洋深層水に、このミントを入れたウェルカムドリンクをいただきました。爽やかですっきりとした味わい。朝食前にも葉野菜を摘んで、朝食のサラダに入れていただきました。

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ミントと小夏の入ったウェルカムドリンク

 

海を一望するライブラリー

 旅行雑誌や写真集などを取り揃えたライブリー。目の前には太平洋が広がり、ゆったりと読書タイムを楽しめます。10:00〜17:00にはおやつの時間として、コーヒーやハーブティー、かりんとうなども用意されます。"海辺の特等席"で旅のひとときを過ごしてみましょう。

 


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開放的な屋上デッキ・タイフーンテラス

 開放的な屋上デッキ「タイフーンテラス」では海を眺めるだけでなく、海から吹く風や波音に包まれ、室戸岬にいることを強く実感できます。私たちの滞在はタイミングが合いませんでしたが、毎月、満月と新月の日の前後3日間は、タイフーンテラスで月や星空を眺めながら高知の地酒を堪能する特別イベントも用意されるそうです。

 

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タイフーンテラスから朝日の昇る太平洋を一望する

 

早起きして、Kukaiテラピーへ

 朝5:30にフロント前集合して、スタッフとともに車で室戸岬の絶景ポイントへ。朝日を浴びながら、瞑想ストレッチを行います。深い呼吸をしながら、太陽のエネルギーを体の中に取り込むと、心身ともに浄化されるようでした。6月以降はレストラン前のテラスで開催されるそうです。

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Kukaiテラピーは前日17:00までの予約制(無料/雨天の場合は屋内)

 

星野リゾート ウトコ オーベルジュ&スパ
高知県室戸市室戸岬町6969-1 ディープシーワールド内
星野リゾート予約センター:050-3786-0022 (8:00〜21:00)
1泊2食付き1名様 25,000円〜
チェックイン14時、チェックアウト11時
http://utocods.co.jp/

 

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≪周辺観光へご案内≫


海の駅「とろむ」で「鰹のたたきづくり体験」


 高知といえば「鰹」、鰹といえば「たたき」ということで、本場で室戸流の鰹たたきづくりを体験してきました。

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 「ウトコ オーベルジュ&スパ」から約5km離れた海の駅「とろむ」へ。車だと10分かかりませんが、私たちはレンタサイクルで。青空の下、室戸の心地よい風に吹かれながら20分ほどで到着です。

 

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 レンタサイクルは2時間500円

 海の駅「とろむ」には、レストランや地元で獲れた魚介類を販売する直売所などがあり、その一角で体験ができます。室戸で獲れた鰹を使い、漁師でもある山下さんにひとつひとつおそわりながら、自分たちでさばいていきます。頭や皮、内臓、血合いなど取り除いたら、海洋深層水の塩をたっぷりと振り、皮目を下にして火力の強い藁でいぶします。焼く時間はほんの2、3分ですが、大きな炎があがって迫力満点! お店などで出されるたたきと異なり、焼いた後は氷水でしめたりしません。「漁師の焼き切り」という地元漁師ならではの作り方だそう。

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  切り分けて盛り付けていきます。大皿にスライスした玉ねぎを敷き、鰹を並べ、空いたところにキュウリやトマト、ニンニク、大葉、ネギ、レモンなどを飾って完成です。

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 完成したたたきはレストランに移動して、早速味わいます。ご飯、味噌汁付きです。まずは塩だけでいただきます。焼き立てだから少し温かくて、鰹独特の臭みも感じません。ポン酢や醤油も用意されているので、お好みで味わってみましょう。普段食べている鰹のたたきとはまったく違って、ご飯が進みました。
 高知に来たなら、本場のたたきづくり体験、ぜひ楽しんでみてください。

海の駅とろむ
高知県室戸市室戸岬町6810-162
予約:0887-22-2176
10:30〜15:30(GW、夏休みは〜16:00)
水曜休(8月は無休)
http://www.muroto-dc.jp/toromu/
鰹のたたきづくり体験(3日前までに予約)
体験料(1人)1,000円(ご飯・味噌汁付き)、鰹代別(生鰹は時価、冷凍トロ鰹は一節1,200円〜)

 


悠久の歴史を感じる「室戸ジオパーク」へ


 約5500万年前の白亜紀の時代から現在にかけて隆起を繰り返し、独特の自然景観を生み出してきた室戸。地球の活動の遺産が見られる「世界ジオパーク」として認定されています。その中心となる室戸岬を地元のガイドさんによる地形や地質、歴史、珍しい亜熱帯植物などの解説を聞きながら歩くことができます。時間やコースは希望に合わせて対応してくださいます。また「ウトコ オーベルジュ&スパ」でもガイドツアー付きプランが用意されていますので、詳しくはホームページをチェックしてみてください。
20150616utoco21.JPG 今回はマグマが冷えて固まった斑レイ岩(はんれいがん)が見られる中岡慎太郎像付近をスタートし、岬を眼下に収める室戸岬展望台を経て、海岸にある白い砂と黒い泥でできたシマシマの地層・タービダイト層を観察。その後、弘法大師が居住したと伝わる海蝕洞(かいしょくどう)「御厨人窟(みくろど)」を覗き、ウトコに戻るルートでした。ユーラシアプレートが動き、隆起してできたさまざまな痕跡を地上で観察するという貴重な体験ができました。台風で流れつき、この地に根を張ったという、アコウやアオギリ、ウチワサボテンなど亜熱帯植物がたくさん見られたのも興味深かったです。ガイドツアーに参加して、地球のダイナミックな活動を感じてみてはいかがでしょうか。

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 室戸岬展望台からの眺め

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 タービダイト層を間近に観察できる貴重な場所

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 弘法大師が修行したと伝わる御厨人窟(みくろど)

室戸ジオパーク
高知県室戸市室戸岬町6939-40
0887-22-0574(室戸市観光協会)
http://www.muroto-geo.jp/

ガイドツアー(要予約)
利用時間9:00〜17:00(冬期は〜16:30)
利用料金ひとり900円(〜10人まで)、500円(11人〜)
予約・問合せ:室戸世界ジオパークセンター0887-23-1610(9:00〜18:00)

 

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