第103回 行きたい国№2、台湾! 日本と台湾のいいとこどり!山間のリゾートで寛ぐ「星のやグーグァン」 (台湾・台中市)

某旅行会社の調査で、2024年に行きたい海外旅行先を聞いたところ、1位韓国、2位台湾……、3位は変動するようですが、例年12位は変わらないようです。羽田空港から直行便でわずか4時間、1年を通して温暖な地ですから日本の寒さをちょっと離れるのにもぴったり、おまけに1月~3月は航空券も比較的お安くなります。となれば、やっぱり行きたい台湾。観光スポットを巡るのもいいですが、のんびり命の洗濯!でおすすめなのが、台中にある「星のやグーグァン」です。

ライブラリーラウンジとフロント

「星のやグーグァン」は台中から車で1時間30分、標高3000m級の山々に囲まれた渓谷にあります。谷關(グーグァン)とは温泉地名。日本統治時代の1907年に発見され、明治40年だったことから、かつては明治温泉と呼ばれていました。

谷關温泉はどこか懐かしい雰囲気

宿に到着してすぐに感じるのは、あ、気持ちがいい! 深い渓谷の緑、南国の花々、高く聳える五葉松、そして湧水を引き入れたウォーターガーデンの水音……、これらが一気に心身を癒してくれるのです。宿のコンセプトは温泉渓谷の楼閣、まさにそのものです。

 

基本的には何もしない

「星のやグーグァン」での過ごし方。基本的には何もしない、が正解です。何もしなくて満足なんです。朝、ウォーターガーデンを歩いて軽いストレッチ、台湾式おかゆの朝食を食べて、美味しい台湾茶とオリジナルスイーツでひと息、うとうとしたら客室の半露天風呂の温泉でまったり、ちょっと温泉街を散策して、台湾食材と日本の技を活かした特別な会席ディナーを食べて、夜のプールサイドで星空を見上げて深呼吸、大浴場の温泉に浸ってリラックス、そして深い睡眠へ。

台湾式お粥の朝食 ほかに和食、アメリカンブレックファースト

プールサイドのガゼボでのんびり

客室は半露天風呂付き 肌に滑らかな温泉が心地いい

台湾の旅は、食べ歩きを満喫する夜市やお洒落スポットやアートを楽しんだりと、どうしても忙しくなって(それほど魅力がいっぱいということなのですが)、ホテルは帰って休むだけになりがち。でもここでは、何もかも忘れて過ごすことがおすすめなのです。温泉渓谷の楼閣に来たのですから、のんびりしないのは、もったいない!

夕食のコースから。海老やサーモン、帆立、浅蜊、和牛など美味しく美しく

 

土地の文化を体験する

のんびりのなかでも、体験したいことは、やはり土地の文化。ここ谷關はもともと先住民族・タイヤル族の狩猟地域で、今もその文化や生活が根付いています。さらに日本統治時代に山林開発のために日本人やホーロー人(中国福建省から来た漢民族)が移り住んだ松鶴(ソンハー)地区もあり、台湾の歴史の一端を知ることができます。今回はサイクリングツアーと、タイヤル族に受け継がれてきた織物体験をご紹介しましょう。

電動アシスト付き自転車で訪ねる松鶴地区。ランドマークになっている集落の赤い橋を渡り、スタート地点から自転車で走ります。清流や松並木、柑橘やコーヒーが実る畑が点在する緑豊かな集落は長閑さに溢れます。かつての森林鉄道の駅舎や林業に関わった職員の住居などを巡ります。松鶴地区がある八仙山は、阿里山や大平山とともに三大林場と呼ばれたところ。その歴史の痕跡が多く残ります。坂道がちょっときついけれどいい運動です。

そしてランチは集落を見下ろす一等地で。料理長特製のお弁当を広げます。ひと口大の彩り豊かなおむすびと鶏団子やエビフライ、サーモン巻き、スイートポテトサラダなど美しいおかずの数々。1日ひと組(2名)の最高のピクニックです! 宿に戻ったら温泉でクールダウン。

 

先住民族・タイヤル族の文化体験のアクティビティはふたつ。ひとつは竹を削ってつくる口琴(こうきん)づくり。これはアイヌのムックリのような、コミュニケーションツール。もうひとつが織物体験で、教えてくださった藍先生は、大学生にもタイヤル族の伝統的な織物を教えているエキスパートです。タイヤル族は成人になると顔にタトゥーを施す習わしがあり、男性は狩り、女性は裁縫の能力が認められたことを意味したと言います。

 

織物は母が娘に教えるもの。織物の原料は苧麻(チョマ)という植物、繊維をもみ出して糸にします。伝統的な文様は「祖先の目」と言われる菱形のもの、そのほか様々な文様の意味などを知り、卓上型の機織り機で、ボトルホルダーをつくります。シャトルを通して、トントン、右下左上と単純ながらボーとしてると間違える作業を繰り返し、完成。なかなかの出来栄えにほっとひと息でした。

台湾は人のやさしさ、街の活気に旅心が誘われる地。そして今回、自然の豊かさと温泉にも触れ、思いっきり健やかになった気分。次の台湾への旅、「星のやグーグァン」、おすすめです。

星のやグーグァン

 

取材・文/関屋淳子

 

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