第86回 「よんな〜 ちゅライフ」で、“うちなーんちゅ”気分を満喫♪ 暮らすように旅する「星野リゾート BEB5沖縄瀬良垣」(沖縄県・恩納村)

台風ばかりだった9月から一転した秋晴れの10月初旬、沖縄に2021〜22年にオープンした2つの新しい施設「OMO5沖縄那覇(おも) by 星野リゾート」と「星野リゾート BEB5沖縄瀬良垣」のはしご旅をしてきました。

まずは「BEB5沖縄瀬良垣」をご紹介しましょう。

*****

2022年7月1日のオープンから3ヶ月、夏休みの賑わいを経て、ようやく落ち着いた雰囲気が出てきた「BEB5沖縄瀬良垣」。「BEB」は、「居酒屋以上 旅未満 みんなでルーズに過ごすホテルブランド」で、軽井沢、土浦に続いて全国3番目の開業です。
場所は沖縄本島のちょうど真ん中のあたり、那覇から名護方面のリムジンバスに乗っておよそ1時間15分の恩納村にあります。国道沿いの立地で目の前にバス停があるので、私のように車の運転ができない人でもアクセスは良好です。

リムジンバスと路線バス共通のバス停が目の前にあります。レンタカーなら那覇から1時間ほど

開業に際しては、元々あった施設をBEBならではの仕様にリノベーションしてあり、例えば車寄せだった場所は、お得意のくつろぎ場所へと変身。私が到着した時には、風に吹かれながらゲームに興じているゲストの姿が見られました。「BEB5沖縄瀬良垣」は、沖縄の方言で「ゆっくり、のんびり、素敵な時間を過ごしてほしい」という意味を込めた「よんな〜 ちゅライフ」が独自コンセプトなのですが、まさにそれを体現しているゲストの様子に期待が膨らみます。

ゲストに人気の、野外の「TAMARIBA」。食事、昼寝、おしゃべりに興じるゲストの姿を、通るたび見かけました

あなたはどこで「よんな〜」する?

エントランスを入ると、正面にはフロント、左手がカフェ、右手はパブリックスペースの「TAMARIBA(タマリバ)」があり、横に広く開放感のある作り。カフェは24時間オープンな上、外来者も利用可能で、この“閉じない”仕組みが、地元の人にも愛される秘訣です。

「TAMARIBA」からカフェまでこの奥行き感。これだけ広ければ、お気に入りの場所を見つけられそうです


靴を脱いであがる「TAMARIBA」。本やかるたなどのゲーム、小さなお子様向けの玩具などや置かれています

「TAMARIBA」の一画はフォトスポットになっており、陳列してあるBEB5のボードや楽器などを使って記念撮影できます

スーベニアコーナーには星野リゾートオリジナルグッズのほか、タオルやTシャツや水着なども販売

客室は全105室、8タイプあり、いずれもキッチンとランドリーを完備したコンドミニアム仕様。プールやビーチで遊んだ後のコインランドリーって煩わしくて面倒ですよね。お部屋ですぐに洗濯できるので、酔っ払っちゃった後に慌ててランドリー室に走るなんてこともなく、実にストレスフリー!
私が利用したのはスイートルームで最大4名まで利用でき、ダイニングテーブルが付いているのが特徴です。この広さと設備があれば旅と暮らしが一体となり、気分は“うちなーんちゅ(沖縄生まれの人のこと)”に。沖縄といえば豊富なフルーツが魅力ですが、道の駅などで買い込んでお部屋でフルーツパーティもOKです。

ゆったり座れるソファとダイニングテーブルを備えたリビングの奥に、ベッドルームがあります


ランドリー、電子レンジ、冷蔵庫、ケトル、食器、簡単な調理器具を完備。ホットプレートの貸し出しもあります

ダブルシンクの洗面所と、家庭用サイズのバスルームなので、バスタイムや朝の支度もゆったり

ビーチと共に楽しみなプールは、リゾート感が満喫できるガゼボ付きのプール。 プールの床は階段状になっており、一番浅いところは大人の足首ほどなので、小さなお子様も遊ぶことができます。デッキチェアは飲食可能で、モーニングやランチをテイクアウトして、デッキチェアで食べることもできます。
そして日没後はライトアップされてナイトプールに変貌し、グッとムーディーに。この夏は、ゲストの多くが昼間はビーチや観光に繰り出し、夕方から夜にプールを楽しんでいることが多かったそう。映え写真を撮ったり、デッキチェアで飲み物片手にクールダウンしたり、もちろんがっつり泳いでも良し。一味違うプールを味わうことができます。

ホテル棟とは別棟のプール。宿泊者限定で無料で利用できます。お子様用のライフジャケットや浮き具も完備

ライトアップされたナイトプール。プールに入らなくても、この雰囲気を味わいに足を運ぶ価値アリです

豊富なカフェメニューに目移りしちゃう!

BEBに来るといつも思うのが、ゲストの皆さんが本当に上手にルーズに楽しんでいること。到着時にも目にしましたが、「私、プライベートで来てもこんな風に過ごせるかな?」と思うほど、思い思いのタイミングで一番心地よい場所を見つけて、飲み物や軽食を片手に、ゆったり寛いでいる様子を目にします。私もそんな風景の一部になりたくて、チェックイン後は早速カフェへと向いました。

カフェではおやつやおつまみになるスナック菓子も販売。ちょっとしたお土産にも手頃です

沖縄のクラフトビールや地サイダーなども各種販売。せっかくの沖縄ですから、ドリンクにもこだわりたいですよね

ワインやスパークリングワインも販売。お酒に事欠かないのが、飲兵衛には天国のよう

24時間営業のカフェは、いつでもソフトドリンクやビール、ジェラート、ピッツァ(12〜14時、17~21時まで)、スナックなどを販売しており、朝7時~10時には朝食メニューを提供しています。呑んで語って午前2時、ちょっとジェラート食べたくない? なんて無茶も気軽にできちゃうのがBEB滞在の楽しさです。

おすすめは、塩ミルクや島バナナ、島豆腐など沖縄らしいフレーバー8種が揃うジェラート。好みの2種を選ぶ通常のジェラート480円のほかに、ベストな組み合わせ+トッピングを併せて盛りつけた「BEBジェラ」680円も人気。「ティラミス」はチョコレートと島豆腐のジェラートにココアパウダーとエスプレッソを染み込ませたビスケットをトッピング、「カンノーロ」はタンカンと塩ミルクと島バナナのジェラートにナッツのトッピング。ジェラートはいずれもサックリとした歯切れの良いテクスチャーで口溶けがよく、さっぱりと食べられます。素材の味がしっかりと生きて、人工的な甘みが少なく罪悪感も少なめ。沖縄らしい味わいをぜひ試してみて欲しいです。

左がティラミス、右がカンノーロ。どれを食べるか迷ったなら、BEBジェラがおすすめ

そしてもうひとつ挑戦してほしいのが、紅芋ペーストを自分で絞る「盛れる紅芋モンブラン」1000円(提供は10〜17時)。これ、憧れだったんです 絞りマシンにペーストをセットしてボタンを押すと、麵状に紅芋ペーストが絞り出されます。土台のメレンゲと塩ミルクジェラートを隠すように、ぐるぐるとペーストを回しかけていきます。倒れないように、そしてなるべく高く盛れたら大成功!
やり過ぎたかなーと思いきや、紅芋の風味が立ち甘さは控えめなので、見た目よりずっとあっさり。盛れるだけ盛ってOKですよ!

初挑戦でしたが、意外にもキレイに盛れました!高く盛って、ぜひ映え写真を撮りましょう!

「BEB5沖縄瀬良垣」のハロウィンは「きじむなー」

実は今回、こうしてご紹介している施設内、通常と少しだけ違う所があります。それは10月1日~31日までの1ヶ月限定で、ハロウィン仕様になっているんです。テーマはガジュマルの木に住む精霊「きじむなー」。赤い髪の少年姿をしていて、沖縄では知らない人はいない「火の精霊」です。フォトスポットのトゥクトゥクや「TAMARIBA」は、ジャック・オー・ランタンならぬ「きじむなーランタン」と、きじむなーの好物である魚やタコ、目玉もオブジェでデコレーションされています。おなじみのハロウィンの合言葉も、ちょっともじって「きじむなー オア トリート」に。赤毛のウィッグなどのアイテムを使って、きじむなーに仮装してスタッフに合言葉を唱えると、ちょっと不気味(!)なグミがもらえます。

「きじむなーランタン」で賑やかにデコレーションされたトゥクトゥク。仮装にもぜひ挑戦してみては?

合言葉を唱えたらもらえるのは、プニプニとした目玉のグミ! 食べるのに勇気が入りそうです

そして、ハロウィンだけの特別スイーツが、「きじむなーモンブラン」1200円です。半裁したカボチャの中にはパンプキンアイスが入っており、その上にメレンゲと生クリームを乗せた状態で提供されるので、先ほどと同じ要領でペーストを盛っていきます。今回はクリとカボチャのペーストで、きじむなーに見立てて赤い色をつけてあります。さらに目や葉っぱなどをかざれば、カワイイきじむなーの出来上がり!(これ、会心の出来でした)

見て!めっちゃカワイイ! 取材を忘れてテンションが上がってしまいました。モンブラン好きならぜひお試しを!

先ほどの「盛れる紅芋モンブラン」と比べるとクリのコクと甘みが加わり、秋らしい濃厚さがアップ。ボリュームもあるので、2~3人でシェアするのがオススメです。が、モンブラン好きなら一人占めもアリだと思います!

徒歩やレンタサイクル圏内でぶらり散歩へ

「BEB5沖縄瀬良垣」のある恩納村は、沖縄本島のちょうど中央に位置します。南部観光と北部観光の中継地であり、本島の中でも海がきれいなことから高級リゾートホテルが林立するエリア。そのためホテルの価格帯は全体的に高めなのですが、BEBは20~30代がターゲットということもあり、比較的安価で利用できます。最近は運転免許を持たない若者も多いそうですが、「BEB5沖縄瀬良垣」を拠点にして、リムジンバスやエアポートバス、ローカルバスを上手く使えば、レンタカーが無くても、地元の人と触れ合いながら旅を楽しむこともできます。ただし「沖縄時間」で時刻表通りバスが到着しない場合もありますが、それもまた沖縄旅の醍醐味ということで、よんな~気分で行きましょう。
モンブランでお腹がいっぱいになったので、ディナーのための腹ごなしに散歩に出てみました。無料で借りられるレンタサイクルもあるので、気軽に周辺を散策するのもオススメです。

レンタサイクルが無料なのは嬉しいですね。小回りがきくので、近場へのお出かけなら自転車が便利です

国道を渡り徒歩3分でこの絶景。海水浴場ではありませんが、SUPなどのアクティビティに興じる人の姿や、カニや小魚捕りが楽しめます。朝晩にちょっと散歩するにはちょうどいい浜辺です。

BEBから歩いてすぐの浜辺。人も少なく、のんびりと過ごすことができます

限りなく透明で、これぞ沖縄!といいたくなるナビービーチ。冬でも晴れればこの色合いが見られます

また徒歩10分ほどで恩納村海浜公園ナビービーチに到着。通年でシュノーケリング、バナナボートなどのアクティビティやBBQを楽しむことができます。透明度の高いビーチで、この海を見るだけでもテンションが上がります。
レンタサイクルを借りれば断崖絶壁の絶景・万座毛や、沖縄の地元食材が揃う「道の駅おんな」へも足を延ばせます。

カフェもキッチンカーもどちらも楽しめる!家族や仲間とシェアして食べよう!

日が暮れて館内に明かりが灯り、賑わいの色がBEBを包み込む頃、エントランス前にはキッチンカーが出揃い、地元の方の姿もちらほら。
このキッチンカーは、沖縄のパーラー文化を体験してもらうための「BEB5沖縄瀬良垣」ならではの企画。パーラーとは、キッチンカーや屋台などの簡易店舗のこと。沖縄では昔から、ハンバーガーやタコスなどの軽食を販売するキッチンカーが親しまれてきました。この独自文化をゲストにもぜひ体験してもらおうと、スタッフ自ら「一緒に「BEB5沖縄瀬良垣」を盛り上げていきませんか?」とキッチンカーを営む方々に声を掛けて、出店してもらっています。この日はお寿司とステーキとガーリックシュリンプという魅惑のラインナップ。外来の方でも、これらキッチンカーのお食事をカフェ内で食べることができます。キッチンカーそれぞれにファンの方がいらっしゃるそうで、こうした“うちなーんちゅ”が醸す雰囲気が、より沖縄らしさを演出してくれています。

エントランス前にキッチンカーが2、3台がやってきます。夕食の選択肢が増えて、滞在の楽しみもアップします

キッチンカーの店主との会話も楽しめます。どれも美味しそうで、胃袋とよく相談しないと買いすぎてしまいそう!

一方、ピッツァリアを意識したカフェでは、本場イタリアから仕入れた生地をこんがり焼き上げたBEBピッツァが味わえます。「マルゲリータ」や「クアトロフォルマッジョ」など8種のバリエーションから、胃袋をイタリアンに整えた私が選んだのは、沖縄らしい「ゴーヤサルシッチャ」。輪切りのゴーヤの苦みとサルシッチャの塩味が効いた大人向けの味わいで、ビールが進む一枚です。

「ゴーヤサルシッチャ」に合わせたのは、県産大麦を使った名護のクラフトビール「75BEER」。まさに黄金コンビでした

ランチならピッツァのみでも十分ですが、夕食ならアラカルト9種盛り合わせがセットになった「BEBピッツァセット」2800円が圧倒的にオススメ。アラカルトは単品でもオーダー可能なので、夕食時の盛り合わせを試食代わりにして、あとでゆっくり飲む時におつまみとして気に入ったものを購入することもできます。試食とは言いましたが、「トマトとモッツアレラチーズのサラダ」「タコとジャガイモのサラダ」「カポナータ」「ブロッコリーのアーリオオーリオ」「生ハムとサラミ」等の満足感の高い副菜が、2,3名でシェアできるボリュームで供されるので、お酒がついつい進んでしまいます。

「BEBピッツァセット」。アラカルト盛り合わせの味の変化が楽しくて、ついつい食べすぎてしまいました

24時間営業ですから閉店時間もないですし、食べきれないときはお部屋にお持ち帰りができるので、食事だって“よんな~”で、楽しみましょう。客室には電子レンジもあるので、冷めてしまっても問題なしです。長引くコロナ禍で、友達と夜通し語るなんていう楽しみを忘れてしまっている方も多いかもしれませんが、この日、遅くまで「TAMARIBA」からは笑い声が聞こえ、なんだかとても嬉しく感じました。
*「BEBピッツァセット」の提供時間は、昼食時は12〜14時、夕食時は17〜21時。

さて、ちょっと飲み過ぎちゃった、食べ過ぎちゃったと、小さな後悔を胸に目覚めた朝だとしても、この朝食を前にすれば、また元気が湧いてくるはず。カフェは朝7~10時の間は朝食セット1300円のみの提供となり、4つのメニューから選べます。イチオシは、ピザ生地をさらに伸ばしてパニーノにして、生ハムを挟んだ「パニーノ 生ハムサラダ」。

通常のパニーノよりもっちりとした食感に仕上げてあり、切りたての生ハムと野菜を挟んだワンハンド完全食です

朝食のドリンクはフリー。コーヒーやマンゴーオレンジやモヒートなどのフレーバーウォーターが用意されています

ほかにフルーツと生クリームを挟んだ「パニーノ トロピカルフルーツ」もあります。私はちょっとお米が恋しかったので、新登場したばかりの「リゾット 海老トマト」をチョイス。熱々のトマトリゾットが胃袋に染みわたります。トマトの酸味とチーズのコクが食欲を誘い、エビもプリッとしていて、ぺろりと平らげてしまいました。

リゾットにはミニサラダが付いています。テラスやTAMARIBA、客室、プールサイド、好きな場所で召し上がれ

食後はコーヒーを片手に、海岸までお散歩。そのあとは、昨日一番うらやましく見えたゲストの真似をして、「TAMARIBA」に寝そべってみました。うーん、これぞBEB!幸せなひと時でした。

*****

とにかく、計画にも時間にも縛られず、気の向くままにのんびりと、まるで住んでいるかのように…。そんな旅をぜひ「BEB5沖縄瀬良垣」で楽しんでみませんか。特に、いつも旅行は予定をぎゅうぎゅう詰めにしてしまうという方におすすめです。“よんな~”旅をマスターすれば、さらに旅の上級者になれるかもしれませんね。

 

星野リゾート BEB5沖縄瀬良垣
住所 〒904-0404 沖縄県国頭郡恩納村瀬良垣1860-4
料金 1泊9,000円~(2名1室時利用の1名あたり、税込)
URL https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/beb5okinawaseragaki/

(取材・文章/多田みのり)

Tag

このページをSHAREする

最新記事一覧へ