第65回 神々に見守られる幽玄の地、「星野リゾート 界 霧島」の絶景温泉でうるおう!(鹿児島県・霧島市)

2021年1月29日にオープンした「星野リゾート 界 霧島」。温泉旅館ブランド「界」の17番目の施設で、「王道なのに、あたらしい。」をテーマに、現代の生活に合った心地よい和の空間や設えと、ご当地の魅力を体感できる上質の温泉旅館です。宿は高千穂峰の中腹に位置、桜島や霧島高原を見晴らす絶景の地に立ちます。そのコンセプトは「桜島をはるかに見渡し、湯浴み小屋でうるおう宿」。いったいどんなお宿?

鹿児島県中央部に位置する霧島市。霧島と聞いて何を連想しますか? 山好きであればもちろん霧島連山、その雄大な自然がもたらす豊富な温泉、歴史好きなら坂本龍馬ハネムーンの地や古社・霧島神宮、鉄ちゃんなら木造の無人駅・嘉例川駅が思い浮かぶかも、あるいは食いしん坊には黒酢・黒豚・芋焼酎・霧島茶……。こんなに魅力的なのにあまり知られていない?かも。

「そうなんです、こんなにご当地の魅力があるのに、霧島の魅力はあまり知られていないのです」と、話す総支配人の永田淑子さん。では、その魅力をお宿で満喫しましょう。

スロープカーで極上の温泉へ

エントランスからフロントを通りロビーに入ります。落ち着いたスペースですがまだ絶景感はありません。トラベルライブラリーには山岳や九州関連の書籍が並び、コーヒーなどのドリンクが24時間用意されています。

ラウンジ

ここから宿泊棟へ向かい、案内された客室の扉を開けると、目が覚めるような絶景が待っていました。大きな窓の外、豊かな緑の先に壮大な桜島が! 施設は標高約626mに位置するため、目線がちょうど桜島と対峙するように正面に捉えることができます。霧島の名の通り靄に包まれる様子も幻想的。同様の景色は開放的なビューテラスからも望めます。

桜島ビューの見晴らしのいい客室

49室の客室はすべてご当地部屋。つまり薩摩和紙などの工芸品で彩られています。なかでもベッドボードは火山噴火物であるシラス(鹿児島県の52%はシラス台地です)を用いたシラス壁で、霧島連山をイメージしています。客室のお風呂ももちろん温泉。桜島とご対面しながら入浴できます。


シラス壁のベッドボードと薩摩和紙のライト客室の温泉からもうっすらと桜島

ではお楽しみの大浴場へ向かいましょう。湯浴み小屋へは50mの高低差を3分半で結ぶスロープカーで下っていきます。童心に帰ってワクワク! スロープカーは湯上がり処に到着、ここから歩きます。すすき草原に佇む湯浴み小屋にすべく、鹿の食害にあいながらも、ただいま絶賛植栽中。すすきが生い茂るさまを想像しながら温泉へ。

スロープカーでのんびり大浴場へ

内湯は明かりのトーンを落とした幻想的な雰囲気で、源泉かけ流しの約42度のあつ湯と、加水した約37度のぬる湯の2種類。まずはぬる湯へ。硫黄の香りが漂う単純硫黄泉に、静かに体を浸します。内風呂の次は露天風呂で、心身を解放しリラックス。やっぱり温泉、最高!

 

新しいしゃぶしゃぶの味わい方

特別会席の夕食です。先付は端午の節句の郷土菓子「あくまき」をアレンジしたもの。「あくまき」とは竹皮に包んだもち米を灰汁水で煮込んだもので、雲丹の風味と合わせて甘しょっぱく仕立てています。彩り豊かな宝楽盛りの八寸に続いてお造り、酢の物、揚げ物、蓋物、そして黒豚しゃぶしゃぶの登場です。

あくまきをアレンジした先付と八寸

あご出汁にたっぷりの削りたての鰹節を投入し、そこで黒豚をしゃぶしゃぶします。うまみの強い黒豚に、鰹の香りがプラスされ、なんとも上品で豊かな風味! つけだれ不要です。新たなしゃぶしゃぶのいただき方です。〆には蕎麦を入れて、満腹~。デザートは鹿児島で親しまれる軽羹を入れたあんみつです。

つけだれ不要のしゃぶしゃぶ

そして食中酒はもちろん芋焼酎。「伝」「黒瀬」「だいやめ」「明るい農村」などなど、地元ならではの芋焼酎をいただきます。料理はもちろんですが、実は芋焼酎はスイーツに合う!のです。

「だれやめセット」(1300円)を体験。ラム酒を使ったアイス最中(梅月堂製造の宿オリジナル)と、大和桜酒造の紅芋の焼酎のセットです。スイーツの薫り高い甘さと焼酎の華やかさがピッタリ! ちなみに「だれやめ」とは疲れをいやすという意味だそう。心と体を溶けさせる絶妙な旨さです。

スイーツと芋焼酎、目からうろこの組み合わせ

ご当地の魅力あれこれ

夕食後は、ご当地楽「天孫降臨ENBU」を観賞。霧島は古事記に記される国造りの神話が語り継がれる地。その神話の、ニニギノミコトが高千穂峰に鉾を突き立てるまでのストーリーをスタッフが舞と太鼓で演じます。力強く迫力ある演舞が太鼓の音とともに胸に迫ります。

ひとり時間のために用意されるおこもりグッズもご当地感満載です。シラス台地にちなみ数種の砂、石や苔が用意され、瓶の中にオリジナルのシラスの世界を作るもの、名付けてジオテラリウム。今回は時間がなくて挑戦できなかったのですが、次回はぜひ。

さらに、霧島茶の魅力を知る「茶いっぺ」で、おいしいお茶の飲み比べも楽しみました。

次回は挑戦したいジオテラリウムと美味しい霧島茶温泉いろはで霧島温泉を知り、朝の体操も天孫降臨がモチーフ

九州では2番目の施設である「星野リゾート 界 霧島」。これからも魅力度が増すこと、請け合いです。それにしても霧島は美味しい~、楽しい~。

宿周辺のおすすめスポットも盛りだくさん

「星野リゾート 界 霧島」スタッフおすすめの霧島魅力度全開のスポットを紹介します。

霧島神宮 

ニニギノミコトを祀る南九州屈指のパワースポット。聖地を思わせる凛とした空気が流れ、深い緑に包まれ、深呼吸すると体中に良い気が巡るようです。本殿拝殿の参拝はもちろんですが、拝殿から左手へ向かう山神社へも、ぜひ。参道に立つ「霧島天狗館」はちょっとユニークな施設で、意外と楽しい。

 

霧島こうじ蔵GEN  

種麹屋である河内源一郎商店による食事処です。初代河内源一郎は国菌にも認定されている河内菌(麹菌)を発見、親子三代にわたり100年余、麹研究を続けています。塩麹・生マッコリなどの麹食品から人気の酵素サプリメント「茶麹」など、幅広く手掛けていて、この食事処では、麹菌入りの飼料で育てた自社のブランド豚“黒麹豚”や、同じく麹育ちの鶏&卵などを使ったメニューが揃います。豚肉はしっとりとした肉質と脂の甘み、後味すっきりにびっくり! 鶏肉も味が濃厚で柔らかい。オリジナルのドレッシングも美味でした。

ロースかつ定食と唐揚げカレー

明るい農村 

「良き焼酎は良き土から生まれ、良き土は明るい農村にあり」の言葉から生まれた明るい農村。美味なるかめ壺焼酎を生み出しているのが霧島町蒸留所です。蔵見学と試飲(試飲は現在休止中)が楽しめる蒸留所です。霧島川を見下ろす美しい自然に囲まれ、霧島連山の中硬水を使った焼酎が美味しくないわけがありません。赤芋で仕込んだ「赤芋仕込み明るい農村」や原料に焼き芋をつかう「農家の嫁」、アルコール度数44度の「黄金ハツダレ 明るい農村」など、商品も個性的です。

 

A LA MINUTE(アラミニッツ)

高千穂牧場近くにあるシュークリームが大人気のお店。イチゴや青柚子、ベリー、抹茶など素材と香りを大切にするシュークリームは、これまで食べたことがないほどのサクサクの食感と、程よい甘みの口福感に包まれます。リピーター客も多く、出来立てを受け取るワクワク感も半端ありません。まさに他では味わえない美味しさ。11時のオープンに合わせて行くのがおすすめです。

イチゴと抹茶、どちらも美味でインパクト大

 

星野リゾート 界 霧島 https://kai-ryokan.jp/kirishima/

料金:12食付き 28000円~(21室利用時の1名料金、サービス料・税込)

予約:0570-073-011 (界予約センター)

 

取材・文/関屋淳子 撮影/yOU(河崎夕子)

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