世界のファインダイニング by 江藤詩文

第10回 リオープンした空間で、日本各地の生産者を想い、味覚を楽しむ旅気分「Crony(クローニー)」(東京・東麻布)

今年(2021年)2月、東麻布に移転して再オープンしたクローニー。1階は活気溢れるオープンキッチンとウェイティングスペース、子ども連れでも行きやすいプライベートテーブル、2階は北欧テイストの居心地いいメインダイニング(東京タワービュー)とプライベートルーム、お宝がぎっしり詰まったワインセラーと、空間を贅沢に使った一軒家レストランに生まれ変わりました。

「新潟 草野さんの蜂蜜のマカロン」

オーナーソムリエの小澤一貴さんと、オーナーシェフの春田理宏さんのツートップががっちりとタッグを組み、紡ぎ出すコースはまるでものがたりのよう。登場人物は食材の作り手たち。静岡の長田さん(緑茶の生産者)、新潟の草野さん(日本みつばちの養蜂家)など、日本各地の地名や生産者の名前が並んだメニューは、読んでいるだけで旅気分を味わえます。

オーナーソムリエの小澤一貴さん(右)とオーナーシェフの春田理宏さん。
初めて春田さんに会った時、美しい料理と彼自身の雰囲気がぴったりで、
こんな人が料理人になる時代が来たのかと衝撃的でした

シェフの春田さんは、フランスのパリやアルザス、フランス南部、北欧のデンマークやノルウェー、アメリカのサンフランシスコと、世界のフードシーンをリードする地で研鑽を積んできました。特に、2004年に「新北欧料理マニフェスト」を提唱するなど、世界中のフーディーズの料理に対する価値観を変えた北欧料理のエッセンスは、春田さんの持ち味です。

「北海道十勝 河田ファームの北海黄金のポムスフレ トリュフ」

たとえばトップ画像のデザート「静岡 長田さんの緑茶 本みりん」。どこまでもモダンで洗練されていながら、自然の温かみを感じるニュアンスに、デザイン性が高い都市暮らしの中に、自然が共存している北欧のライフスタイルを感じました。

「栃木下野 秋山さんのほうれん草 帆立貝」

SDGsにも積極的に取り組み、志を同じくする作り手から食材を仕入れ、食材ロスを削減するため、おまかせコース(20時まで)は前日までに要予約。通常営業時は、21時半以降はワインバーとして営業する大人のためのスペースになります。ソムリエの小澤さんによるワインのセレクトは評価が高く、ワイン好きなら、おまかせコースと合わせたペアリングはもちろん、グラスワインを飲みに立ち寄るのも楽しそうです。

ロケーションは、夜が楽しい大人の街・麻布。あぁ、1日も早く、何の気兼ねもなく夜遊びしたいですね!

「Crony(クローニー)」http://www.fft-crony.jp

公式ウェブサイトからオンライン予約できます。

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