温泉を浴びるのはいつでも気持ちがいいものですが、今年のような酷暑にさらされた体は、特に温泉を求めているのではないでしょうか。今回は、秋が深まる秋田で楽しめる、マイ湯船をつくる体験をご紹介します。
秋田県東南端、平安時代の歌人・小野小町の伝説でも知られる秋田県湯沢市。
国道13号沿いに建立された小野小町をまつる小町堂は観光スポットの一つ。
奥羽山脈と出羽山地に挟まれており、地質遺産の豊かさから日本ジオパークから「ゆざわジオパーク」に認定されています。
ジオパークとして最も特徴的なのが川原毛地獄・川原毛大湯滝。
青森県の恐山や富山県の立山と並び「日本三大霊地」にも数えられる川原毛地獄では、灰色の山肌が露出し、ところどころで火山性ガスが噴出するワイルドな景観が広がります。
川原毛地獄は湯沢駅から車で約45分。
およそ20mの高さから天然温泉が流れ落ちる川原毛大湯滝もダイナミックです。
川原毛大湯滝は、夏季のみ水着着用で入浴可能。
火山活動などにより長年かけて形成されたスポットが目白押しのゆざわジオパークでは、秋の宮温泉郷や泥湯温泉など良質な温泉に出合えるのも魅力。なかでもユニークで、しかも秋にぜひ訪れてほしいのが、秋の宮温泉郷にある「川原のゆっこ」です。
川原のあちこちで温泉が自噴!滑りやすいのでスポーツサンダルがおすすめ。
川縁にはモミジもあり、秋には紅葉も楽しめる。木の下にはベンチが。
岩魚などの川魚が泳ぐ清流・役内川(やくないがわ)にあるこの温泉スポットは、「川原」という名前がイメージさせる通り、岸辺のいたるところで温泉が自噴しています。石がゴロゴロ転がる川原で温泉が湧いている場所は、温泉藻により緑色に変色しているのですぐ見つけられます。
さて、どうして秋か。私が川原のゆっこを訪れたのは気温30度オーバーの夏のある日。スコップを手に川原へ向かったのですが、川原で湧く温泉は泉温がおよそ70度と高温なのです。照りつける日差しの下、スコップで川の水が適度に混ざるように掘るのですが、強い日差しの下では温泉よりも川の水が冷たくて気持ちいいと感じてしまう始末でした(苦笑)。
役内川の澄んだ流れ。
湯沢駅から車で約40分、駐車場に掲げられた川原の湯っこの看板が目印。
駐車場から役内川に向かうと小屋があり、スコップはそこで借りられる。
というわけで、川原のゆっこで天然のマイ足湯を十二分に楽しむのなら、秋風が心地よい時季にぜひ訪れてほしいと思うのです。