世界のファインダイニング by 江藤詩文

第41回 イタリアの秋の風物詩・白トリュフを東京で堪能するベストダイニングはここ「BVLGARI Il Ristorante Luca Fantin( ブルガリ イル・リストランテ ルカ・ファンティン)」(東京・銀座)

秋から冬にかけてのこの季節。フーディーズのみなさまは一年でもっとも幸せなシーズンをお過ごしかと思います。わたしもそう。新米にさんまからはじまり、山のきのこにフルーツ、松茸、上海蟹。そして白トリュフ。

トリュフ、とりわけ麻薬的(やったことないけど)な中毒性さえ感じる濃密な香りの白トリュフは、そう何度も味わえるわけではない贅沢なものだからこそ、完璧なひと皿を堪能したいもの。今年はこれ、という料理を見つけました。

  (大きな白トリュフを日本産のホタテや伊勢エビにふんだんに削りかけます)

出合ったのは「ブルガリ イル・リストランテ ルカ・ファンティン」。白トリュフの産地といえばイタリアのアルバが有名ですが、イタリアではトリュフは秋の味覚の象徴。白トリュフは北部ピエモンテ州アルバが、黒トリュフはウンブリア州のものがよく知られています。

      (タリオリーニとトピナンブール(菊芋)に白トリュフ)

エグゼクティブシェフのルカ・ファンティンさんはイタリア北部出身。言うなれば白トリュフの故郷で育ったわけで、その扱いにかけてはやはり圧倒的。白トリュフのために味を構成した卵の風味の北イタリアのパスタ「タリオリーニ」やパルミジャーノをたっぷり溶かし込んだ「カルナローリ米」のリゾットは、イタリアでも日本でも愛される王道中の王道。いろいろなところで食べられるからこそ、料理人のバックグラウンドが味の差となって現れます。

  (接客からも誠実で温かい人柄が伝わってくるルカ・ファンティンさん)

一方でオリジナリティが楽しいのが、ルカさんにしかできない日本食材との組み合わせです。2009年に就任して以来、まだ外国人シェフが日本の地方の農家を訪ねるなどめずらしかった頃からおよそ13年に渡って生産者に敬意を示し、言葉も通じないなかで関係を築き、日本の食材への理解を深めてきたルカさん。「松茸の香りに秋の里山の幸せ感じる日本人なら、白トリュフがイタリア人にもたらすノスタルジーと幸福感を共有できる」と、トリュフと松茸を大胆に合わせ、そこにエビの甘味を足すなんてルカさんにしかできない発想ですよね。

  (和牛にはウンブリア州の黒トリュフ。白と黒を巧みに使い分けます)

そしてもうひと品。わたしがルカさんの術中にハマったのがトップ画像の完熟柿と白トリュフ。シャクッとした食感の食べ慣れた柿とは別世界のトロトロに熟れ切った透明感のある柿に削りたての白トリュフ。とにかく食べてみて。

今年もなんとか上質な白トリュフを入手できたと、成田空港までお迎えに行ったと言うルカさん。白トリュフの料理はクリスマス頃まで楽しめる予定です。

       (photo / BVLGARI Il Ristorante Luca Fantin)

BVLGARI Il Ristorante Luca Fantin(ブルガリ イル・リストランテ ルカ・ファンティン)
https://www.bulgarihotels.com/ja_JP/tokyo-osaka-restaurants/tokyo/il-ristorante
※公式サイトから予約できます
※記事内はすべて訪問時のもの。季節などにより変更されます

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