ひとり旅にアート心も入れて by 塩見有紀子

約8000匹の観賞魚が舞い泳ぐ水族アート展覧会「ECO EDO 日本橋アートアクアリウム 2017」

江戸時代、諸国と江戸城を結ぶ五街道の起点であり、物流の中心でもあった東京・日本橋。魚河岸や金貨を鋳造する「金座」、幕府公認の歌舞伎小屋、そして現在の三越である呉服屋「三井越後屋」などがあり、商業と文化娯楽が発展した場所として、数多くの浮世絵に描かれてきました。
そして浮世絵には、それまで一部特権階級のものであった金魚が、江戸時代中期から後期にかけ庶民文化として根付いた様子も描かれました。日本橋はさまざまな文化が生まれた場所として、庶民が金魚を観賞することで涼をとり、"江戸の夕涼み"として人々が楽しむ場所でもあったといわれています。

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色あざやかな"龍宮城"の世界に迷い込む

今年で7回目を迎えた日本橋の夏のイベント『ECO EDO 日本橋アートアクアリウム 2017 〜江戸・金魚の涼〜 &
ナイトアクアリウム』は、金魚を観賞して涼をとっていた江戸の文化を、アート、デザイン、エンタメ性を高めて現代によみがえらせた水族アート展覧会。924日(日)まで日本橋三井ホールにて開催中です。

毎年新しい世界観を追求して進化し続け、私たち鑑賞者に驚きと涼を感じさせてくれますが、今年のテーマは海の金魚も泳ぐ"龍宮城"。会場全体に幻想的なアートアクアリウム流の龍宮城の世界が広がり、まるで江戸時代の花街に迷いこんだような非日常の空間を感じることができます。

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そのひとつが、金魚を花魁(おいらん)に見立てた作品「超・花魁」。アートアクアリウムを代表する巨大金魚鉢「花魁」を、その水量をなんと!3倍にもして作り上げたもの。直径・高さ約2.5mもの巨大な金魚鉢とその周囲を囲む17の水槽がきらびやかな7色の照明や映像で彩られています。ですが、この作品は花街の中でしか生きられない花魁や女たちの儚ない世界を演出しているのです。

 

そして、今年初めて登場したのが玉手箱をモチーフにした「タマテリウム」。重厚なアクリルで制作された玉手箱型の大きな水槽に、金沢の金箔で金魚の絵柄を施したもの。通常は金箔貼りでは使われないという24金ですべて貼られたとっても豪華な作品です。
そしてこの水槽の奥に飾られた、生きた金魚の動きと映像を融合した「床掛け金魚飾」も見逃せません! 白と黒を基調とした映像アートの掛け軸に、黒い金魚が泳ぐ水墨画の世界が広がっています。写真ではなかなかお伝えできませんので、実際に見て金魚の水墨画を確かめてみてくださいね。

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江戸時代の鑑賞スタイル"上見"で

平面ガラスの製造技術が確立していない、あっても大変高価だった江戸時代、実は金魚の観賞は現在のように水槽を横から見るのではなく、陶器などに入れて上から見る「上見(うわみ)」が主流のスタイルだったそう。ですので、金魚は、尾びれの揺れの美しさや、デメキンのように上から見た時の姿形のおもしろさを追求して育てられてきたのです。

アートアクアリウムでも、金魚の絵柄を施した九谷焼の作品「九谷金魚品評」や、江戸切子を用いた「キリコリウム」、円筒形の水盤の中を優雅に動く愛らしい金魚を鑑賞できる作品「金魚品評」など、江戸時代の鑑賞スタイルで上から見ることができます。頭(かしら)や鱗(うろこ)、尾びれや目など、水槽で泳ぐ金魚を上見で愛でてみてくださいね。ただし、時々金魚が大きく水をはねることがあるので鑑賞の際にはご注意を。

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このほかにも龍宮城の世界を表現した映像と舞い泳ぐ鯉がコラボした新作「龍宮四季絵巻」や、3面体と6面体のレンズを多数組み合わせることで金魚が大きく見えたり小さく見えたりゆがんで見えたりする「リフレクトリウム」など、バラエティあふれる作品を楽しむことができます。

アルコール&スイーツ&バルメニューも登場

さらに楽しみなのが「ナイトアクアリウム」。19時以降は、会場内でアルコールを味わえるのです。龍宮城をモチーフにした「乙姫カクテル」やネクタリンをまるごと一個使ったデザートカクテル「らんちゅう」のほか、獺祭バーでは山口の純米大吟醸『獺祭(だっさい)』の「磨き二割三分」「純米大吟醸 磨き三割九分」「獺祭 スパークリング」を堪能することができます。
また、毎週木曜日は「獺祭ナイト」と称して、蔵元が会場にて獺祭の説明をしてくれるのも楽しみです。獺祭バーは、「床掛け金魚飾」と「タマテリウム」が展示された場所にあるので、獺祭にも金魚にも酔いしれてみては?

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そして今年初めて開催するのが『金魚スイーツ&バルさんぽ』です。日本橋にある老舗や百貨店、高級外資系ホテル、商業施設など77店舗が、金魚をモチーフにしたスイーツとバルメニューを提供中です。これにあわせた、オリジナルノベルティのプレゼントや、スタンプ3つで豪華な景品があたる抽選会にも参加できるお楽しみもありますよ。食べ歩きしたり、イートインしたり、お持ち帰りをして、お気に入りの一品を見つけてみましょう!

日本橋に屋台や盆踊りも登場

また、アートアクアリウムのスピンオフ企画として、『アートアクアリウム夏祭り』をイベント期間中の毎日、毎晩開催中です(11時〜20時)。江戸時代には浮かれすぎて3ヶ月続いたという盆踊りの逸話を現実にしてしまったそうです。
コレド室町近くの福徳の森に、金魚すくいや射的などの縁日屋台のほか、奈良の吉野本葛を使ったイチゴ・パイナップル・キウイなどの果肉が入ったアートアクアリウム夏祭りオリジナルフレーバーのフルーツアイスキャンディー「SHONAN POPs」も登場。さらに、高さ約4mの特設やぐらを舞台に盆踊りやDJのライブパフォーマンスも予定しています。『アートアクアリウム夏祭り』は入場無料なので、高層ビルの谷間に出現した櫓や屋台にふらっと立ち寄って日本橋の夏を感じてみては?

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このほかにも、日本橋船着場での日本橋クルージング、浴衣レンタルや着付けサービス(事前予約制)もあるので、アートアクアリウム会場内や日本橋エリアを浴衣を着て、歩いて、食べて、買って、乗船して、江戸の涼を楽しんでみてくださいね。

 

ECO EDO 日本橋アートアクアリウム 2017 〜江戸・金魚の涼〜
& ナイトアクアリウム

20170720_ecoedo07.jpg開催期間:開催中〜924()
時間:11:0023:30(最終入場:23:00)
会場:コレド室町1 5階・エントランス4階 日本橋三井ホール

入場料<当日料金>一般(中学生以上)1,000
子ども(4歳以上小学生以下)600円/3歳以下無料 
※小学生以下保護者要同伴

http://artaquarium.jp/nihonbashi2017/

取材・文:塩見有紀子

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