2017年10月3〜5日 マドリードと恋に落ちる旅 〜vol.1グルメ編〜

ヨーロッパ大陸の西の端、大西洋に突き出たイベリア半島に位置するスペイン王国。その首都であるマドリードは、近年、スペイン国内はもちろん、ヨーロッパ諸国の中でも観光客が増えており、とくに日本人観光客は、イベリア航空の直行便が就航したこともあり、前年に比べ40%も増加しているんだとか。

マドリードといえば、スペイン国内の主要都市を結ぶ全長2500kmに及ぶスペイン高速鉄道(AVE)の発着駅があったり、世界の玄関口アドリフォ・スアレス・マドリードバラハス空港を有しているなど、スペイン交通の中心地。さらにいえば、歴史的建造物や世界的に有名な美術館といった見どころやブランドショップが揃うセラーの通りに代表されるお買い物、街中に点在するレストランやバル、タベルナで味わうグルメなど、観光客の心をくすぐる魅力が満載。

そんなマドリードの魅力を3回に渡ってリポートします。第1回目は、おしゃれなレストランから下町の食堂まで、食べ歩きの3日間をご紹介!

旅するレストラン『BIBO(ビボ)』にBienvenido(ようこそ)
新鮮な魚を素材に閃きが詰まった料理が次々と

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高級ブティックが並ぶセラーの通りや、高級住宅街として知られるサラマンカ地区にある『BIBO』。正統派の落ち着いたレストランかと思いきや、インテリアがとっても個性的!天井からは真っ白な気球やバルーンがたくさんぶら下がっていたり、ライトで埋め尽くされた壁だったり。中央にはバーカウンターがあり、それを囲むようにテーブル席が配置されています。その合間を、朗らかでちょっとイケメンのカマレロ(ウエイター)さんたちが、キビキビとサーブしてくれるなど雰囲気も最高です。


このお店でいただけるお料理は、シェフのダニ・ガルシアさんが旅先で出会った料理にインスパイアされ、彼の出身地
であるアンダルシア料理をベースに創作したもの。中には日本や韓国といったアジア料理をアレンジしたものなどもあり、まさに食で世界一周ができるレストランです。


そうそう忘れてはいけないのが、ガラスケースに入ったマグロのオブジェ。これは、マグロ料理に自信あり!ということなんだそう。今回いただいたランチコースにも、マグロ料理が入っていましたが、なんと「
Tataki」でいただきます。レッドペッパーソースに浮かぶマグロの上には、冷凍して砕いたブラックオリーブが。日本人的には見慣れない仕上がりですが、食べてみると「おいしい!」。さわやかなソースにオリーブの脂っぽさがほどよく調和し、赤身のマグロがトロのような味わいに。日本酒というよりは、ワインと一緒がおすすめです。
こちらの一皿、スモークで覆われてサーブされました。冷たい料理を冷たいままに提供するための一工夫だそうですが、楽しい演出に食欲も刺激されました。

一皿目のスープから始まりデザートまで全8品。どのお料理もおいしいだけでなく、お皿や盛り付けなどにも楽しい演出が加えられており、ミシュラン2つ星というのも納得です。

住所:Paseo de la Castellana,52-28046 Madrid

20171205_madrid03.jpg甲羅の中身は「毛ガニのサルモレホ」。スープというよりは濃厚なポタージュのよう。
少し酸味のあるトマトと毛ガニの甘みが程よく調和し、濃厚だけれどすっきりとした口当たり。
この一杯で、お腹は結構いっぱいに

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スモークが晴れると、マグロのタタキがお目見え


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レッドペッパーソースに赤身のマグロ、ブラックオリーブとグリーンで、一皿がまるで絵画のよう

20171205_madrid06.jpgお待ちかねのデザートは綿菓子...
ではなく、実は、この下に「ライスプディング」が隠されています

 

本物のマドリード料理を食べるならこの名店へ
前国王も愛したメニューがある『CASA(カサ) LUCIO(ルシオ)

マドリードの夜を楽しむなら、下町情緒あふれるラティーナ地区がおすすめです。中でも、カバ・バハ通りは、道の両側にバルや食堂がずらりと並びます。その中でも、ひときわ人気を集めているのが「CASA LUCIO」。1974年にルシオ・ブラスケスさんが開いた食堂でしたが、今や押しも押されぬ名店に。とはいえ、入口を入ると立ち飲みエリアがあり、そこでビールを片手にタパスをつまむ人で賑わっているなど、地元の人が通う下町らしい気さくなお店なので安心を。

さて、こちらの名物料理は何といっても「Huevos estrellados(ウエボス エストレジャードス)」。山盛りのフライドポテトの上に半熟の目玉焼きが乗っているシンプルな一皿。前国王ファン・カルロス1世の大好物で、よく通っているそうです。実際に食べてみると、おいしくてフォーク(?)が止まらなくなるほど。簡単なお料理ですが、その塩加減や卵の半熟具合の調整が難しいそう。CASA LUCIOの絶妙な加減は食べてみる価値ありの一皿です。

ここでスペインのレストランあるあるを一つ。前菜の前の前菜があること。今回、伺ったレストラン5件中4件で、生ハムとパン コン トマテ(パンにトマトが塗ってあります)が、前菜の前に出てきました。スペインの人たちは、これを食べながら前菜を待つという感じですが、食べ過ぎてしまうと、メインが出て来るころには、お腹いっぱい!ということにもなりかねないので要注意です。
また、CASA LUCIOのような、いわゆる下町の食堂で、みんなとワイワイ、料理をつまみながらワインを飲んで楽しんだ後は、一人一品、メイン料理がどんと出てくるので覚悟した方が良さそう。今回は、ウエボス エストレジャードスやエビのアヒージョなどを食べて、すっかり満足していたのですが、最後にメイン料理を一人一品と言われたのには参りました。周りのスペイン人はといえば、みんな当然のようにメインを頼んでました。さすが!

住所:C/Cava Baja,35,28005 Madrid

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前菜の前菜、生ハムとパン コン トマテ。パン コン トマテの上に生ハムを乗せて食べてるのが地元っ子流。テーブルの真ん中に積まれたパンも、みんなでちぎっていただきます

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山盛りの上に目玉焼き!これが名物ウエボス エストレジャードス!別名ウエボス ロトス(壊すの意味)ともいう名の通り、目玉焼きを潰してポテトに絡めるのが正統派の食べ方です

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「魚なら軽いよ」と言われ、オーダーしたメイン料理「ヒラメのソテー」。お皿からはみ出すほどの大きさで、全然、軽くありませんでした

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今回の食事のお供は、こちら。
赤ワインといえば、やっぱりリオハということで「クネ レセルバ 2013」をオーダー。
程よい渋みでお料理を引き立ててくれました

 

マドリード最後の食事はパエリアで。
ST.JAMES -Rosario Pino-

スペインまで来て、本場のパエリアを食べていない!そこで、マドリード市内に5店舗を展開する「ST.JAMES」のロサリオ ピノ店に伺いました。こちらのお店では、14種類のパエリアを食べることができます。今回は、「お坊ちゃまのパエリア」をいただきました。名前の由来にもなっているのですが、このパエリア、具材は全て食べやすいように殻が剥かれていたり、一口サイズにカットされていたり。これなら小さなお坊ちゃまでも、手を汚さず一人で上手に食べられるというわけ。
さてお味の方はといえば、魚介の出汁を余すところなく吸収しているお米の美味しいこと!噛めば噛むほどに旨味が広がりる、これぞ、まさに口福な一皿でした。

住所:C/Rosario Pino,14-16 28020 Madrid

20171205_madrid11.jpgパエリア用の浅い大きな鍋に入っている状態で見せてくれます。
この後、一人前ずつお皿に取り分けてくれます

 

おしゃれなレストランから下町の食堂まで、食べ歩いた3日間。それぞれにこだわりがあり、何より店主の素材へのリスペクトと美味しいものを食べさせたいという思いが詰まったマドリード グルメに感激。他にもディナーで訪れた「エル パラグア」、ランチを楽しんだ「アティコ」などもおすすめです。ごちそうさまでした!

写真/文:垣花幸子

 

連載第2回目のショッピング編もアップしました!

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