あなたも「近代化遺産」萌え! by 関屋淳子

豊かな水の都・富山市 松川クルーズなど気ままなデイトリップへGO! 前編

東京駅から北陸新幹線、最速で2時間10分、富山県県庁所在地の富山市に到着します。富山といえば、ホタルイカや冬の寒ブリなど豊かな海の幸がまず思い浮かびますが、今回は市内を巡る気ままなデイトリップへ。

コンパクトシティ富山

富山市民のオアシス・松川

コンパクトシティと呼ばれる富山市。市内には路面電車やバス、レンタサイクルが充実し、どこへ行くのも便利、気軽に街を散策できます。まずは市内を流れる松川沿いを歩きます。松川は加賀百万石の支藩・富山藩の居城・富山城の近くを流れる天然の外堀・神通川の名残りといわれています。かつて神通川は暴れ川でたびたび氾濫し、市内中心部に甚大な被害をもたらしました。明治時代に神通川の改修が行われ、やがて都市計画とともに現在の松川ができました。川沿いを歩いて驚くのは、川と遊歩道の近さです。都市の川といえば、コンクリート護岸で川に近づけないようにしているものですが、松川はさにあらず。「酔っぱらっていたら、川に落ちてしまいそう…」と思うのは私だけではないはず。川のせせらぎと深い緑が心身を浄化させてくれるようで、市街中心とは思えぬ清々しさ。さらに川沿いには多様な彫刻があり、芸術散策の趣もあります。川辺を飾るのは、松ならぬ約460本の桜、富山市を代表する桜名所となっています。

松川沿いの遊歩道


彫刻を見て回ろう

のんびり歩いた後は遊覧船でクルーズへ。遊覧船乗り場の松川茶屋から、フルオープンの船に乗り込みます。この遊覧船、1988年運航という歴史あるもので、全国紙で紹介されて注目を集め、その後福岡の柳川や茨城の潮来などでも同様の遊覧船クルーズが広まったと言います。コースは上流の舟橋と下流のいたち川との合流点の間を約30分かけて往復します。松川周辺の歴史や7つの橋の由来など、船長のユーモアたっぷりの案内を聞きながら、ゆっくりと船は進みます。途中では美しいアーチを描く国の登録有形文化財の桜橋を眺め、じっと魚を狙うアオサギを見つけ、鯉の餌やりを楽しみます。春のお花見シーズンは大行列になるそうですが、涼気を誘う夏、紅葉の秋もおすすめです。また貸し切りでナイトクルーズも!(10名以上・要予約)。フード・ドリンクは持込で90分のクルーズが楽しめます。

遊覧船乗り場


鯉の餌やりポイント


魚を狙うアオサギ君


春は満開の桜の下をクルーズ

遊覧船乗り場の松川茶屋には、「滝廉太郎記念館」(入館無料)を併設しています。明治の作曲家、滝廉太郎は7歳のときに1年8か月を富山で過ごし、富山城址内にあった小学校に通っていました。有名な「荒城の月」は富山城がモチーフともいわれています。

滝廉太郎の功績が展示

●富山観光遊覧船
富山市丸の内2-2-21 ℡076-425-8440
乗り場:松川茶屋 富山市本丸1-34 ℡076-431-5418

市のシンボル・富山城

では富山城へ向かいます。戦国時代に築城された富山城は、江戸時代には加賀藩の分家として富山藩が成立、富山前田氏13代の居城として城下町が整えられました。かつての面影を残すのは堀と石垣で、聳える天守は戦後に復興されたものです。その天守閣内は富山市郷土博物館になっていて、発掘時の出土展示物や城の歴史がわかりやすく展示。変遷を経て今に至る城の経緯がわかるほか、最上階からは四方を見晴らせます。また城址公園には豊かな水を引き入れた日本庭園などもあり、のどかな雰囲気が漂います。

富山城


城址公園内の日本庭園

●富山市郷土博物館(富山城)
富山市本丸1-62(富山城址公園内)℡076-432-7911

絶対おすすめ!穴場スポット2

富山の街を俯瞰するなら、富山市役所の展望台へ。地上70mの展望塔からは360度の大パノラマが広がります。もちろん入場は無料で、朝9時から夜9時まで(冬期は夜6時まで)オープンしていますので、お好きなタイミングで。晴れていれば雪を頂く立山連峰がくっきり。また、夜景も綺麗でロマンチックな気分が味わえます。

右手が富山市役所展望塔


展望塔からの夜景


晴天の昼は立山連峰がくっきり

●富山市役所展望塔
富山市新桜町7-38 ℡076-431-6111

もうひとつは「TOYAMAキラリ」。富山市ガラス美術館と富山市立図書館がある複合ビルです。2015年に全館オープン、建築には新国立競技場の設計で有名な隈研吾さんが携わっています。外観はアルミ・ガラス・白御影石を素材とする約1000枚のパネルが使われ、館内は斜めの吹き抜け空間が連なるという斬新な造り。3階から6階を占める図書館スペースには、約45万冊の蔵書に加え、ファッション誌やビジネス誌などの雑誌も充実し、心地よい空間をつくり出しています。こんな素敵な図書館が近くにあったら、毎日でも通いたくなるほど! 富山市の文化度の高さがうかがえます。ガラスギャラリーやカフェ、ショップもあり、観光客にもおすすめです。

とやまキラリ外観


素敵な図書館

●TOYAMAキラリ(富山市立図書館)
富山市西町5-1 ℡076-461-3200

今回、宿泊でお世話になったのは「ホテルグランテラス富山」。富山駅南口から徒歩約5分にあるシティホテルです。快適な客室はもちろんですが、最上階(12階)でいただく朝食バイキングは和洋50種類と豊富。とろろ昆布を使ったお味噌汁や名産のかまぼこ、ホタルイカなど味覚で富山を感じることができます。また、窓の外には立山の山並みが絵画のように広がり、朝から元気をもらえます。

ホテルグランテラス富山外観


ロビー

●ホテルグランテラス富山
富山市桜橋通り2-28 ℡076-431-2211

 

松川クルーズを中心に紹介した富山デイトリップ。後編はスイーツやかまぼこ、漢方薬などをご紹介します。後編の最後には、素敵な読者プレゼントのご案内も! ぜひ、前・後編を楽しんでいただき、プレゼントにご応募くださいね。

取材・文/関屋淳子

 

 

 

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