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 ご当地列伝 vol.1 東京・大塚編 —飲んで食べての飲兵衛パラダイスー 人懐っこさが、…

旅恋メンバーが日本津々浦々のご当地の魅力を掘り下げる新企画「ご当地列伝」。第1弾は今、注目の街・東京都豊島区大塚です。

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最近チラホラと大塚の話題を耳にしませんか?
そう、あの池袋の隣の。
何があるのって? 
いやそれが、酒飲みの間では聖地って言われているらしいんです…ゴクリ。
ということで、初めての大塚散策へ行ってきました。

 

「はじめてなのに懐かしい」
昭和っぽさあふれる街を散策

JR山手線の駅ながら、巨大駅の池袋とおばあちゃんの原宿・巣鴨に挟まれて、降りる理由が見つからなかった大塚。車窓から見ても、それといって気になるものもなく…というのがこの街の印象。
だけれども、酒飲みの先輩から「大塚は昔っから酒飲みの間じゃあ、いい店があるって有名なのよ」と聞き、さらには最近ユニークな飲屋街ができたとのニュースを得て、まだ明るいうちから大塚の街に繰り出してみました。

南口に出てみると、目の前にさくらトラム(都電荒川線)がやってきました。ここでまず驚いたのが、踏切に遮断機がないんです! 新参者の私は、車両が見えた時点で立ち止まってしまいましたが、地元の皆さんは車両の直前ギリギリまで渡り、そして通り過ぎている間から渡り始めるんです。その様子は「ここ、インドだったっけ?」と思うほど(笑)。いきなりのカルチャーショックです。

駅前も商店街もチェーンのお店は少なく、昔ながらの個人店が多く見られます。事前に調べてきたお店の一つ、「元祖 千成もなか本舗」さんは路地を入った奥にありました。1937年創業のもなか専門店として知られています。白い三角巾と割烹着をまとった店員さんが、「焼きたてだから味をみていって」と出してくれたのは、新名物の「和風パンケーキ」。実はどら焼きの皮なのですが、ふかふかしつつもしっとりとしていて優しい甘み。何枚でも食べられそうで危険です。この皮にたっぷりと餡を入れたどら焼きは食べ応え抜群。そして店名にもなっている千成もなかは、小倉・梅・ごま・白あん・こしあんの五つの味が楽しめてお土産に最適。あれこれ買ってご満悦な私のハートをさらにキュンとさせたのは、商品を入れてくれたビニール袋。すっごく可愛い(というか、おもしろい?)ので、ぜひじっくり眺めて見てくださいね。

街ブラを再開すると、向かいから来た女性が突然立ち止まって回れ右をして、手を合わせて頭を下げていたので、何があるのかな? と思ったら、神社さんがありました。天祖神社といい、この一帯は門前町として発達したのだそう。街のルーツである神様に、日常的に当たり前にご挨拶をする街の人たち。なんだか素敵です。

婚活男女の味方「そばコン」で知られているのは「大塚長寿庵」さん。常連さんの「出会いの場が欲しい」という声に応えるべく立ち上がった、お世話好きの女将さん主催の婚活パーティーが大人気なんです。お店のウインドーには、成立カップル数が書かれたハートがたくさん貼られていて、中には結婚したカップルもいるといいます。美味しい蕎麦を食べつつ婚活できるなんて、こりゃ独身時代に通いつめるべきだった!

駅前を見回すとどうしたって目に入るのは「パチンコ ひょうたん島」の看板。パチンコは嗜まないのでチャレンジしませんでしたが、大塚のおじちゃんたちの憩いの場になっているのだとか。バッティングセンターではネクタイを緩めたサラリーマンがバットを降っている姿が目に浮かびます。ああ、ノスタルジック大塚。。。

そしてパチンコ屋さんの奥に広がる一帯は、大塚三業地。三業地とは、芸妓置屋・待合・料亭の営業を許可されたエリアのことで、いわゆる花街のこと。最盛期には700人の芸者が在籍した都内屈指の三業地だったんですって。現在も数人の芸妓さんが在籍していて、お座敷のできるお店も3軒残っています。小さな看板を出しただけの趣あるお店があちこちに点在し、かつての賑わいを伝えています。

ぶらりと店先を覗くだけでもフレンドリーに声をかけてくださる店主の多いこと。初めての大塚だと言うとなおさらあれこれ案内をして、世話を焼いてくれました。飲みが目的で訪れたものの、飲む前からすっかり街と人に魅せられて、通うどころか住みたくなっちゃいました。皆さんもぜひ、飲む前にまずは街ブラを楽しんみては?

 

キャッチフレーズは「日本のサン・セバスチャン」
あちこちハシゴして大塚グルメを堪能しよう

日も暮れて来たので、そろそろお目当ての北口へ。今、大塚駅北口は大規模な再開発が行われていて、ガラッと趣が変わりつつあります。ロータリーを抜けると、さくらトラムの線路の向こうに、酒飲みの心をくすぐる灯りが見えます。ここが「東京大塚のれん街」。2018年5月9日にオープンしたばかりのニュースポットです。実は、空き物件が連なり駅に近いのに暗い街角になっていたというこのエリア。しかし古民家10棟(1期は8棟、2期は2棟)を丸ごとリノベーションするという魔法にかけられ、多くの人の笑い声がさざめく楽しい場所へと生まれ変わりました。

プロジェクトの総監修である、株式会社スパイスワークスホールディングス代表の下遠野氏によると「由緒ある木造建築物なら後世に残るけれども、なんということはない住居や店舗はどんどんたて壊されてしまう。しかし、時代を反映しているからこそ“普通”に見える建物も、キチンとリノベーションして使っていけば年月が味と重みを添え、いつしか由緒ある木造建築物と代わりない価値が生まれて文化を育んでいくはず」という思いを込めた事業だといいます。

区画は全部で9つあり、
い 魚屋みらく劇場(海鮮居酒屋)
ろ 名匠上木家(たこ焼き)
に 筑前屋(居酒屋)
ほ 素揚げ酒場パリパリ(居酒屋)
へ 焼肉屋台 皐月(ホルモン焼肉)
と 志田熟成鶏十八番
ち アガリコ餃子楼(餃子バル)
り 唄い処 タオパイパイ(カラオケスナック)
る 大塚魚寿司(寿司)
が現在オープンしています(第2期募集であと2店舗増える予定)。
たこ焼きさん以外は閉店した空き店舗だったそうですが、全店リノベーションして遊び心のある飲食店を公募してオープン。どこか1軒に腰を落ち着けてまったりと飲むのも良いですが、あえてスペインの「サン・セバスチャン」になぞらえて、個性的なお店をはしご酒する楽しみを提案しています。

ネタのコンビネーションが楽しい極み寿司を堪能

私が最初に伺ったのは、「大塚魚寿司」さん。元は渋谷(恵比寿横丁)にあったお店が沖縄へ移転して人気を博し、今回東京に返り咲きの出店とのこと。

2階の客席は屋根組があらわにしてあり、リノベーション感を味わえます。古い梁には墨書があったりして雰囲気があります。

赤酢を用いた通好みのしゃりと、ネタや薬味を一捻りした「極み寿司」が絶品とのことで、早速いただいてみました。選んだのは握り12貫盛り合わせの「松」。オススメのネタを織り交ぜたラインナップで、普通のお店では見かけない握りが並びます。


後列右奥から、穴子、赤身、カンパチ、大トロ、タイ、アオリイカソーメン カラスミがけ。前列右奥から、海のフォアグラと畑のキャビア軍艦、ウニ、玉子、エビ、炙りサーモン親子、炙り帆立 トリュフのせ。ネタの鮮度は言わずもがな、赤酢のしゃりがまろやかで人肌の温度に整えてあり、ネタと絶妙に絡まって旨味をゆっくりと堪能できました。

「海のフォアグラと畑のキャビア軍艦」。何だろう?と首を傾げていると、ご主人が「あん肝とトンブリだよ。おもしろいでしょ?」とニヤリ。濃厚な口どけとプチプチした食感で、まさにフォアグラとキャビアの口福感♪

カラスミ好きなので、最後に残しておいた「アオリイカソーメン カラスミがけ」。アオリイカの甘味にカラスミが絡まり合って、締めくくりにふさわしい間違いのない味わいに。

合わせた日本酒は、長野県の「豊香 純米」。フルーティーで軽やかな飲み口で繊細なお寿司にもよく合う! 日本酒を飲んでみたいけど、どれにしたらいいかわからないって方にも安心な、味わいのグラフがメニューに載っているのも嬉しい気遣いです。

他にもおしぼりやお箸など、「おっ♪」と思うポイントが色々あるので、ぜひお店に行って体験してみてください。お寿司はもちろんアラカルトで頼めるので、つまみとともにちょい飲みにも最適です。遅くまで開いているので締めのシースーにも是非!

【大塚魚寿司】
住所 東京都豊島区北大塚2-27-5
電話 03-3910-1177(予約可)
時間 月~土曜 17:00~翌2:00、日曜 16:00~23:30
休み 不定休

プリッ、ジュワー!肉汁あふれる熟成鶏と新感覚つくねに感動!

魚の後はお肉を食べたい!と、続いて伺ったのは「志田熟成鶏十八番」さん。
熟成鶏とは、独自の技術で旨味を凝縮させた柔らかな鶏肉のこと。串打ちから焼き方、提供の仕方にまでこだわった、本物の焼鳥を味わえます。他に旬の野菜を豚バラ肉で巻いた豚バラ巻きもあり、こちらはその日のオススメ品がトレイに盛られて選べるようになっています。

早速いただいたのは、熟成鶏の真骨頂が味わえる「ねぎま」と名物の「賞味期限59秒の生つくね」。
賞味期限あるからには急がねば!と、まずは「賞味期限59秒の生つくね」からいただきます。実は私、つくねが苦手。なのでちょっと心配だったのですが、ジューシーで肉の旨味があふれてとっても美味。こんなに生々しいつくねってどういうこと?と思ったら、生のつくねに豚の網脂をかぶせて焼いているのだそう。普通のつくねは肉がほどけないように茹でてから焼いているためパサつきやすいそうですが、こちらは茹でてない分レア感があり、鶏肉の味わいをちゃんと感じることができます。

続いて「ねぎま」。写真をよく見るとわかりますが、一番上の肉が一番大きくしてあるんです。期待値の高い一口目に、しっかりと熟成鶏の味わいが楽しめるよう計算された串打ち。流石です。この一口目効果により柔らかでコク深い鶏肉の味が堪能でき、満足度の高いひと串でした。

こちらは蒸しつくね「小鶏包」。つくねを片栗粉で包んで蒸しあげ、柴漬け、高菜明太、ガリチーズをトッピング。ジューシーなつくねと黒酢だれがよくあいますし、トッピングだけでもお酒のアテになる一品。


豚骨スープに九州麦味噌を合わせた「麦味噌もつ煮込」は味噌豚骨ラーメン風の味わい。テッポウやガツなどのもつに野菜と豆腐を加え、トロトロになるまで煮込んであります。もつがとにかくやわらかくってオススメです。

お店のコンセプトは忍者屋敷! 顔出しできる暖簾やからくり扉のトイレなど、ディフォルメされた日本が何ともおもしろいお店。2階には金魚ねぷたが泳ぎ、インバウンドにもウケそうです。美味しい焼鳥、串焼きとともに、記念撮影もぜひ楽しみたいですね。

【志田熟成鶏十八番】
住所 東京都豊島区北大塚2-28-4
電話 03-5944-5335
時間 17:00〜25:00(L.O 24:00)
休み なし

 

締めはキリッと冷えたBEER! 
この街はビアバーも充実!

日本酒も好きですが、ビールも好き。飲みの締めにはビールが飲みたくなるので、「大塚 ビアバー」で検索すると、あるわあるわ。一体大塚の街だけで、どれほどの酒量を保有しているんでしょうか!?
驚きつつも訪ねたのは、南口から徒歩2分の「タイタンズ クラフトビアタップルーム&ボトルショップ」さん。世界各国のクラフトビールをドラフトタップ10栓、ボトルビール100種類以上取り揃えています。


ドラフトのラインナップは黒板に書かれていますが、迷ったときは店員さんに相談を。私は黒ビールの気分だったので、「BENCH・MARK OatomealStout」をチョイス。コク深くまろやかでクリーミーな味わいを楽しみつつ、初めての大塚を思い返しながらゆっくりと本日の仕上げ。
フードは宇都宮餃子をメインに、シュウマイやフライドポテトなどがあります。本当は宇都宮餃子を食べたかったのですが、お腹がいっぱいだったので、写真を見て我慢(笑)。

お店は3階まであり、1階はスタンディングバー、2階は靴を脱いで寛げるスペース、3階はテーブル席でイベントにも利用OK。ビアバーでこれほど座席のバリエーションがあるのは珍しいですよね。それに珍しいといえば、禁煙で尚且つフードの持ち込みが可能! 私が訪ねた時も、常連さんが持ち込んだというポテトチップスをみんなでシェア。なんて自由なんでしょう。さらには別の常連さんが購入したボトルビールまでシェア。黙っていてもいろんなビールが味わえてしまうというミラクルな体験ができました(いつもそうとは限りません)。

私は一人だったので1階のカウンター席を選びましたが、ほかの一人客と自然と会話が始まり、最後はワイワイと語り合いながらFacebookの友達申請をしたりして、楽しいひと時を過ごせました。仲間となら2階の座敷席が家飲み気分で良さそうです。

一人でも大勢でもデートでもOK! これからの季節、ビールが飲みたくなったら大塚へ行きましょう!

【タイタンズ クラフトビアタップルーム&ボトルショップ】
住所 東京都豊島区南大塚3-53-7
電話 03-5904-9531
時間 15:00〜23:00
休み なし

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流石は飲兵衛の聖地、大塚。飲んでも飲んでも、まだ飲みたいお店がありました。というわけで、終電を気にするのをやめていっそ泊まってしまおうという方には、「星野リゾート OMO5東京大塚」をオススメします。酔っ払ってもベッドまで歩いて帰れる、この安心感。東京大塚のれん街からさくらトラムの線路を渡った真向かいですから、迷うこともありません。大塚をとことん楽しむなら、寝床をすぐ近くに確保するぐらい思い切っちゃってもいいんじゃないかと思います(笑)。

星野リゾート OMO5東京大塚(https://omo-hotels.com/otsuka/
紹介記事はこちら(https://www.tabikoi.com/blog/hoshino/27-omootuka/

(取材・文/多田みのり)