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 「客家ロマンチック街道」を辿り、スローな旅を満喫 Vol.1(台湾)

台湾に"ロマンチック街道"があるのを知っていますか? 
今、国内外の旅行者から人気上昇中なのがこのルート。北は台北から最南県の屏東(ピンドン)まで山間を縫うように走り抜け、沿線にはのどかな風情の見どころが集まっています。なかでも興味深いのは、客家(はっか)人の里。独特の茶文化や染め物など先祖伝来の風習が息づき、レトロな町並みは趣たっぷりです。また、周辺には花の名所や温泉といった癒しスポットも点在しています。今回は、このルートを3編に分けて紹介! 
Vol.1では、客家三銘茶を楽しめる町「北埔(ベイプー)」を中心にクローズアップします。

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●客家ゆかりの里を結ぶ「ロマンチック街道」

台湾のロマンチック街道は、客家の昔ながらの暮らしぶりや豊かな自然を堪能できる旅ルート。正式には「客家ロマンチック街道(台三線)」といい、台湾島西部を約437kmにわたって縦断する幹線道路でもあります。見どころの中心は、台北の南に続く桃園(タオユエン)県や新竹(シンヂュー)県、苗栗(ミアオリー)県といった街道の中北部。国内でもっとも多くの客家人集落があるエリアなので、彼らについて知っておくと、旅のおもしろみが一層アップしますよ!

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台中まで含めると、ロマンチック街道沿いには16もの客家人の里がある

<客家人て、どんな民族?>

客家人は、中国・華北地方にルーツをもつ人々。古代王朝「商(殷)」を祖国とし、国の滅亡後は戦禍を逃れるようにアジア各地に離散し、移民生活を繰り返してきたといわれています。名の由来は、国をもたないことから、どこに行っても客人(=よそ者)とされたこと。18世紀に入ると、一部が新天地を求めて台湾にやってきましたが、ここでもすでに暮らしやすい平地は先に入植したホーロー人に占有されていたそう。そのため弱小民族だった彼らはトラブルを避け、過酷な環境の丘陵地などを開墾して住み家としたのです。

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今や、客家人はホーロー人に次ぐ台湾第2の大民族。
写真は、伝統の客家花布のエプロンを身に付けた女性



移民当初の生活は貧しく、苦労の連続だったようですが、彼らは持ち前の結束力とバイタリティでそれを克服。このことから、もっぱら忍耐強く、倹約家だといわれています。また、勤勉で商才に長け、ビジネスで大成する人が多いため、「中国のユダヤ人」との異名も。一説によると、彼らの祖先が「商人」の語源といわれているんですよ。

また、長い間、ほかの民族と距離を置いて暮らしてきたため、今も独自の言語や古い風習などを継承しているのも特徴。山里で生き抜いてきた、彼らならではのスローなライフスタイルも注目です!


●客家文化が色濃く残る町「北埔(ベイプー)」

台北からロマンチック街道を南下し、まず立ち寄りたいのが新竹県にある北埔。清代に中国・福建省出身の客家人が開拓した町で、今も住民の多くをその子孫が占めています。歩くだけなら30分もかからない小さな町ですが、曲がりくねった細い路地の合間にはレンガ造りの古民家や旧跡が残り、昔懐かしい雰囲気。
メイン通りとなる北埔老街や廟前街には客家料理のレストランや名産品の店も軒を連ね、そぞろ歩きにピッタリです。

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北埔老街には時代を感じさせる店が並ぶ

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フレンドリーな露店商のおばちゃんも♪


<客家三銘茶を堪能しよう>

北埔でのおすすめの過ごし方は、茶巡り。「擂茶(レイチャー)」「酸柑茶(スアンガンチャー)」「膨風茶(ポンフォンチャー)」といった3つの客家ゆかりのお茶が揃い、茶館でまったり過ごしたり、ショッピングでお気に入りの茶葉を探したり、それぞれスタイルを変えて楽しむことができます。いわゆる台湾茶とは異なる独創的なものもあるので、客家の文化をグッと身近に感じられるはず!


~水井茶堂① シュイジンチャータン~
「擂茶」作りを体験

3つの名物茶のなかでも、雑穀を擂り潰して作る擂茶は、千年以上前から活力源や健康維持のためにも飲まれてきた歴史深いお茶。茶館などでセルフメイド体験ができるので、ぜひトライしてみてくださいね。特に「水井茶堂」は、約90年前の古建築を利用した素敵な佇まい。ノスタルジックな雰囲気のなか、先祖伝来の味とゆる~い時の流れを満喫できます。

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水井茶堂は北埔を開拓した姜一族のひとり、姜瑞鵬氏の邸宅を改装した茶館


擂茶作りの体験は、材料を擂るところからスタート。雑穀の種類は店によりさまざまですが、この店では煎った白ゴマや黒ゴマ、ピーナッツ、カボチャの種、茶葉の5種類が入ります。半ペースト状になるまで擂るので少々パワーが必要ですが、グループで挑戦すればあっという間。「もうひと息じゃない?」「疲れた~」「次、私やりたい!」なんて、ワイワイ盛り上がっているうちにできあがってしまいます。

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1鉢で3人分以上を作るので、グループで協力して擂るのがベスト。擂茶DIY1100

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フル稼働で20分程度と、なかなかのハードワーク。周囲から「頑張ってー!」という声援も


材料が擂りあがったら熱湯を加えてよ~く混ぜ、ポン菓子や緑豆を煮たものをトッピングすれば完成~! お味の方は、トロッとした舌触りに穀物らしいコックリとした風味。サクッとした食感のポン菓子は、どこか懐かしい味わいです。加えて、素材はどれもビタミンや食物繊維がたっぷりで、美容効果も期待できそう! 何より、ひと仕事終えた後の一杯は格別です♪

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客家の人々がお客をもてなすのに欠かせないもの。穀物なので満腹感がある


~水井茶堂②~
客家のプーアル茶「酸柑茶」

一方、「酸柑茶」は台湾でもこの地方以外では手に入りにくい珍しいお茶。素材は「酸柑」というユズの一種で、マスクメロンほどの大きな実をつけるフルーツです。製茶の際は、果肉をくり抜いて茶葉やハーブと混ぜた後、抜き殻に詰め直します。さらに、蒸したり天日干ししたりする作業を9回も繰り返し、ようやくできあがるのだとか。

完成したお茶を見せてもらうと、まるで炭のように真っ黒でカチンコチン。そのため、飲む際はハンマーでかち割ったり、ノコギリで削ったりします。何だか作るのも飲むのも大変なお茶ですが、半永久的に保存できるメリットも。むしろ経年により価値が上がり、70年、80年熟成したものになると値が付けられないほどだそう。このことから、「客家のプーアル茶」といわれています。

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できあがりまでに3~6カ月を要する。水井茶堂では5種類程度のハーブをブレンド。
レシピは秘密とのことだが、一般的にはミントやシソなどを加えることが多い


この酸柑茶は、台湾客家のオリジナルティー。従来、客家の人々は、果皮が厚くて日持ちする酸柑を正月の供え物などにする風習がありましたが、果肉は酸味が強すぎて捨ててしまっていたそう。そこで倹約家の彼らが、「もったいない!」と考え出したのがこのお茶でした。口に含むと、スーッと鼻に抜ける爽やかな風味があり、リフレッシュに最適。ほんのり感じる生薬のような後味も印象的です。

また、体を温めたり風邪を予防したりする作用もあるといわれ、地元では冬場を中心に飲まれているそう。水井茶堂のものには肝臓の働きをアップするハーブも入っているとのことなので、お酒を飲み過ぎた人にも効果的かもしれませんね()。いずれにせよ、山奥に住み、医者にかかることがままならなかった時代には、大切な健康茶でもあったようですよ。

20171111_taiwan12.jpg水井茶堂では、粉砕済みのものを販売。
「客家酸柑茶」120g600元(1元=約3.7円)



~寶記製茶所 バオヂーヂーチャースオ~
北埔生まれの「膨風茶」

最後に紹介するお茶は、北埔特産の「膨風茶」。「東方美人茶」といえば、聞いたことがある人も多いのではないでしょうか? 今や台湾茶の筆頭にあげられるお茶ですが、実はウンカという害虫の被害により得られた偶然の産物。その昔、ある茶農家がウンカの被害に遭った大量の茶葉を惜しみ、製茶してみたところ、思いがけず香り高いお茶となったといいます。ところが、当時はその由来を信じてもらえず"膨風(=ほら吹き)"と揶揄されたのだとか。以来、この地方では膨風茶の名で通っているそうです。

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ウンカが飛来するのは、台湾でも極限られた土地のみ。
食んだ若葉はその分泌物により白、黄、褐色、紅、緑の5色を呈する


「寶記製茶所」は、1927年に創業した膨風茶の専門店。老舗の風格漂う店構えに惹かれ、ふらりと立ち寄ってみました。扱っているのは、自家農園で無農薬栽培した茶葉とのこと。その等級は大きく7段階に分けられています。

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廟前街にある寶記製茶所は、古さん一族が営む店。
左から4代目の乗乾さん、息子の亦平さん


なかでも最もベーシックなものと最高ランクの「特大膨」を試飲させていただくと、香りも味も差が歴然! 特大膨は、膨風茶ならではのマスカットのような甘~い香りが驚くほどしっかりしています。そして、紅茶のようなふくよかな飲み口に続き、舌に残るトロリとした余韻、ときにスモーキーな香りも立ち、実に表情豊か。とにかくカルチャーショックレベルの違いです。機会があれば、ぜひ飲み比べてみてくださいね。

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