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スペシャル企画 記事
 「移動は手軽に、現地で贅沢に」旅の新しいスタイル〜中国重慶の知られざる魅力〜vol.04
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旅行はツアーが楽チンと決めている人、こだわりの個人旅行を好む人、リゾートでのんびり、遺跡巡り、現地体験型の旅... と旅のスタイルも多様化するこの頃。
「移動は手軽にリーズナブルに、現地ではちょっと贅沢に」という旅も一つのスタイルとして人気を集めそうです。特に移 動時間が短いアジア圏にはLCC(格安航空会社)の行き来が増え、格安料金での移動のチャンスが増えました。
今回は私フォトグラファーyOUが、LCCを使って中国の古都重慶で贅沢な時間を過ごす旅を4回に渡ってご紹介します。

【vol.04 重慶と言えば火鍋!なのです​】

中国重慶の旅、これまではエリアやホテルのご紹介をしてきましたが、「重慶と言えば火鍋は外せない!」ということで、今回は現地の火鍋事情についてレポートします。

元々四川省だった重慶市では激辛の名物料理も数多く、前出のスパイシーチキン(辣子鶏)などは肝心の鶏肉が見えないほど、おびただしい量の唐辛子と花椒が使われていました。
そんな激辛名物料理の中でもトップに挙げられるのが重慶火鍋。
そもそも火鍋の発祥の地は重慶で、中華民国初期時代に貧しかった労働者達が、それまで捨てられていた牛や豚、鴨などの内臓を食べてみようと、臭みを取るために唐辛子や花椒、ニンニクなどをたっぷり入れて煮込んだのが最初と言われています。その後中国全土で食べられるようになりましたが、スープの味や食べ方はそれぞれ。全く辛くないものも火鍋と呼ばれることもあるようです。日本でもここ数年、街に火鍋屋が増えていますね。
そして今回元祖の重慶火鍋に初めて挑んだのがバンヤンツリー・重慶の中にある「白雲(バイユン)」でした。

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前出のスパイシーチキン(辣子鶏)唐辛子と花椒の量は目を疑うほど

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バンヤンツリー・重慶の中にあるレストラン「白雲(バイユン)」はモダンな設え

ゆったりとした丸テーブルは4人席。それぞれの席にIHクッキングヒーターが備えられており、鍋は一人一つずつやってきす。そしてまず最初に運ばれてきたのが調味料のセット。ごま油にオイスターソース、花椒に青唐辛子、赤唐辛子、そしてニンニク、ネギが山盛りになって、こちらも一人一つずつやってきました。
それぞれ好みの配合でタレを作るのも楽しみですね。

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調味料は一人1セット。ニンニクも山盛り!

続いて出て来た鍋の具材は、大量の葉物やジャガイモ、レンコンなどの根菜類にホタテやイカ、エビなどの魚介類、ラム肉 に豚肉、鶏団子、そして牛のセンマイや鴨の腸などの内臓系...。
一人用のスチール鍋がIHにセットされると、間も無くグツグツしてきました。鍋の中は赤黒く、ここにも赤唐辛子、青唐辛子が大量に泳いでいて、いかにも辛そうなビジュアルに一瞬戸惑いました。笑
早速グツグツの中に具材を投入、あっという間に大量の唐辛子と絡まっていく様子を見て、ちょっと不安になりながらもさっと口に運ぶと、酸味とコクの後からくる辛味、そしてそのまた後にやってくる花椒のビリビリ感と鼻に抜ける香りは、辛くても癖になる絶妙さ。食べ進めるうちにそれぞれの調味料を足して、さらに味の変化を楽しみます。

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魚介類もしっかり。カニカマが並んでいるのもユニーク

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具材は3人前。それぞれの鍋で好きな味付けを楽しめる

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白雲のエントランス。昼間ならヴィラの並ぶ丘を眺めながら食事ができる

そしてその日の夜のこと。リゾート内で外国人も多い宿泊客向けに用意された火鍋では洗練されすぎている...との印象を抱き、「やはり本場ローカルの重慶火鍋が食べたい!」でも「1日に火鍋を2回食すってどうなの?」とは思いながら、最後の夜を堪能しないと...という焦りもあって街に出ることにしました。

ホテルで地元らしいオススメのお店を聞き出し、英語が通じない街中で無事にたどり着けるように、エリアや通り、店の名前を全て漢字で書いてもらったメモを握りしめ、ホテルからタクシーで向かうことにしました。これまで通っていない路地や集落を抜けていくと、ローカルな景色が目に飛び込んできて、少々の不安と共に「重慶に来た!」という実感が湧いて心踊らせました。
タクシーでおよそ40分、比較的綺麗なエリアの整備された遊歩道にその店はありました。ネオンが派手な街中は日が暮れているにも関わらず、老若男女がわんさか歩いていました。これも重慶の街の当たり前の光景なのかもしれません。

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重慶中心街でも見た光景。夜になっても眠らない老若男女(笑)

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今回の旅、初のローカル店「渝宗老灶火鍋」へいざ!

今回訪れた「渝宗老灶火鍋」は重慶にいくつかお店を持つチェーン店のようでした。
石造りに派手な看板、堂々としたファサードから随分立派なお店のようだなあと中に入ったのですが、目に飛び込んできた 光景は雑多な屋台街の様子さながら、ほとんどカオスでした。笑
そして店に入るとお客もスタッフも一斉にこちらを振り向き、私たちは一瞬凍りつきました。同じような顔してると思っていたのですが、きっと雰囲気で異国の人がやってきたことがわかってしまうようですね。どうやら観光客はなかなか訪れないようなお店でした。
案内された席に着くか着かないかのうちに、女性スタッフが投げるように渡してきたのはメニューボード。
ここに記載されたメニューに数を書き込むオーダースタイルでした。漢字だからイメージが湧きやすい...と思っていたのに意外と苦戦、それでも顔とジェスチャーでなんとかコミュニケーションを取ってオーダー完了。それにしても安い!

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メニューボード。具材の種類が豊富!しかも安い!

程なくすごい勢いで運ばれてきたのは、すでにグツグツと煮立った鉄鍋。IHではなく、テーブルのセンターの大きなガスコンロにセットされました。
火鍋というと、日本ではまが玉型の仕切りで白湯と紅湯の2種類のスープで食べるのが主流ですが、本場では仕切りなしの 鉄鍋で赤い紅湯のみ。ところが私たちは昼間に紅湯のみの火鍋だったため、ここでは敢えて白湯との2種類のスープをオー ダーすることにしました。仕切りはまが玉ではなく、2重の円型鍋。
テーブルに最初から置かれていたごま油やオイスターソースで味付けをしながら、牛センマイや鴨腸、肉団子をメインに地ビール片手に挑んだ味は、ホテルのお店とは確実に違う辛味と奥深さ。まるで地獄絵図のように赤黒く煮立ったスープを前に、ヒイヒイ言いながらビールも進みました。

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夜は2人前。鍋の具材としては珍しい「麻花」もオーダー。

そんな私たちの姿をきっと周りも見守ってくれていたのでしょうか、しばらくして落ち着いた頃に片言の日本語で話しかけてきてくれた若者。その後はなんとか英語も合わせてコミュニケーションしてみると、やはり私たちがどのようにオーダーするかなどが気になっていたようでした。とても人懐こい重慶の若者たちとしばし歓談し、写真を撮って別れました。なんとも嬉しい時間。そしてローカルな火鍋の味とそれを取り巻く雰囲気を大満喫してお店を後にしたのでした。帰りのタクシー交渉に少々手こずりましたが。笑

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カップルの彼の方はインドネシアから

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ダブルデート中(?)の4人の若者もイマドキらしいおしゃれをして

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食後の店の前の遊歩道。遅いのに相変わらず子供が遊んでいた。治安がいい証拠だろう


最後になりますが、重慶の火鍋事情はお店に限らず。もちろん火鍋屋は街のあちらこちらにありますが、自宅でも楽しむもののようで、スーパーマーケットでは「火鍋の素」なるものが売っていました。牛脂を使っているため冷めて固まったスープを四角くカットしたものがパッケージされているようですが、色とパッケージから漏れる香りですでに辛さ十分。全ての調味料が入ったもので味の調整が要らないため、これをお湯に溶かすだけで火鍋ができちゃうから一番お手軽なタイプです。
私もお土産に一つ購入。もちろん一回の鍋で全部を使うわけではなく、わずかな量を溶かすだけでも十分に火鍋を楽しむことができました。さすがにこの配合はローカル向けだったのか、我が家では辛すぎたため、少し味噌を投入してマイルドにアレンジしましたが。

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スーパーマーケットでは火鍋の素の特設販売コーナーが。
元気のいいおばちゃんに勧められてつい購入

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 こちらも火鍋の素。それぞれの香辛料を自分で調合するタイプのもの

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火鍋にも使用する花椒や八角、胡麻など調味料のコーナーも充実

日本人には馴染みの少ない本場重慶の火鍋。その実態はビジュアルだけでなく、具材や食べ方、そして味の深さも未経験ゾーンでした。ただ辛いだけでなく旨み成分のしっかり詰まったスープは香辛料がたっぷりで体が温まります。
そもそもが「内臓を食べるため」から始まった火鍋発祥の歴史にも触れ、その味の深さをしっかり噛みしめました。

重慶火鍋を最後に去年から続いていた連載も今回がおしまいです。
長期間に渡りありがとうございました。


取材・文・写真:yOU(河崎夕子)