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街歩き 記事
 理屈抜きで楽しもう♪ 十和田市現代美術館
皆さんは現代アート、お好きですか? 
「嫌いではないけど...正直、前衛すぎてよく分からない」
というのが私のイメージでした。しかし先日、青森県十和田市を訪ねて、イメージが大きく変わりました。目からウロコの新感覚体験がいっぱいの十和田市の現代アートをご紹介します。

アートがいっぱいの街・十和田市

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 今回訪ねた十和田市現代美術館は、十和田市が推進するアートによるまちづくりプロジェクト「Arts Towada(アーツ・トワダ)」の拠点施設として2008年にオープンしました。
 実は十和田市、建築の街としても売り出しており、安藤忠雄氏の十和田市民図書館、隈研吾氏の市民交流プラザ「トワーレ」などがあります。これだけのビックネームの作品が集まっているとあり、建築目当ての旅をする人も多いそう。
 現代美術館の設計は西沢立衛氏。香川県豊島の豊島美術館や石川県金沢市の金沢21世紀美術館(妹島和世氏と共作)などを設計したことで知られています。十和田市現代美術館はいくつもの白い四面体=展示室をガラスの通路でつなぐという独特の構成で、ホワイトキューブの愛称で親しまれています。ひとつの作品にひとつの部屋が割り当てられ、作家ごとの世界観が交わることなく、どっぷりと作品に浸ることができます。
 展示作品は33組38作品。常設展示として恒久的に、ここ十和田でしか見ることのできない作品が展示されています。

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《フラワー・ホース》チェ・ジョンファ(韓国)
 美術館の入り口前では、カラフルなお花が散りばめられた巨大な馬がお出迎え。
間近に寄って一つ一つのモチーフまで見ることができます。
官庁街通りの別名が
駒街道であることから、馬をモチーフにしています。躍動感と明るさが現代アートを
身近に感じさせてくれ、気軽に入れるイメージ作りがされていると感じました。


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《スタンディング・ウーマン》ロン・ミュエク(オーストラリア)
 迫力ある女性像は高さ4m近くもあり、憂いを帯びた視線の合う場所に立つと、
今にも動き出しそうなほどリアル。シリコンのボティに麻布の洋服を着ています。
手のひらのシワまで表現してあり、大きさに圧倒され精彩さに驚愕する、現代アートらしい作品。


 私が特に印象に残ったのは、栗林隆氏の《ザンプランド》とハンス・オプ・デ・ビーク氏の《ロケーション(5)》。いずれも作品に入り込んで体験できるもので、"壁に飾られた絵を見るのが美術館" "作品に触れてはいけないのが美術館"という私の固定概念を超えて、現代アートの楽しみ方を体感することができました。これは是非実際に見て欲しいです。

 ガラス通路で繋がれたカフェとミュージアムショップも一つのキューブ。外壁には十和田市内にある歯医者さんの娘さんをモデルにしたという奈良美智氏の《夜露死苦ガール2012》と、ポール・モリソン氏の《オクリア》が描かれています。カフェとミュージアムショップは無料で入ることができるので、街の散策途中にも利用することができます。
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(上)ミュージアムショップとカフェの外観。《夜露死苦ガール2012》の女の子と同じポーズで写真撮影するのが人気だそう。
(下左)カフェスペースの床の絵も作品。壁には企画展として開催中の大宮エリー氏の絵が飾られていました。
(下右)独創的でおしゃれなステーショナリーや布製品などを販売。いろいろ欲しくなっちゃいます。

 そして作品は屋内だけにとどまらず、前庭や道路を挟んだ向かいのアート広場にも置かれています。そう、この「Arts Towada」プロジェクトは、美術館が面する官庁街通り全体を舞台に見立て、多様なアート作品を散りばめるという世界でも稀な試みなのです。

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《愛はとこしえ十和田でうたう》草間彌生(日本)
水玉模様が散りばめられた、草間氏独特の世界。日常的にこうした
アートに触れて過ごすことができるなんて贅沢ですよね。


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 《ファット・ハウス》《ファット・カー》エルヴィン・ヴルム(オーストリア)
家と車が太っちゃってます。既存概念がいかに曖昧なものかを教えてくれる作品。

中に入ると家がおしゃべりしている映像が見られます。

 アート作品は商店街の中にも。ストリートファニチャーとして、腰をかけて憩うことができるんです。アートを軸に町を回遊することができる仕組みはとても面白いですし、こういう町おこしの方法もあるんだと感心しました。そもそも省庁再編や合同庁舎の新設などで、建物が減って空き地が目立つようになっていたという官庁街通り。商店街も空き店舗が増え、歯抜け状態...。このまま街並みが廃れていくことに歯止めをかけようと発案された「Arts Towada」プロジェクトにより、建築とアートが融合し、観光に活かされていく道筋を示せたことは、同じような悩みを抱える自治体にとって大いに参考になるでしょう。

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(左)近藤哲雄氏《pot》と(右)日高恵理香氏《商店街の雲》。
眺めるもよし、ベンチとして腰かけるもよし。市民や観光客がほっと憩えるスペースになっています。
《pot》は花瓶の機能もあり、商店街の人たちが自由に花を活けることができます。

 草間彌生氏や奈良美智氏など、アートにさほど興味がなくても名前は知っているというような芸術家の方たちの作品を見ることができるのもあり、開館後4日で入館者数は1万人を突破!2014年には累計100万人を数えるという、一大観光拠点となりました。十和田市の人口が6万3000人ですから、すごいことですよね。
 現在開催中の大宮エリー氏の特別展「シンシアリー・ユアーズ ー 親愛なるあなたの 大宮エリーより」は9月25日まで開催しています。ぜひ夏休みに、十和田市でアートに触れる旅をいかがでしょうか?

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十和田市現代美術館http://towadaartcenter.com/
住所:〒034-0082 青森県十和田市西二番町10-9
電話:0176-20-1127
開館時間:9時~17時(入館及びカフェのラストオーダーは16時30分まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は、翌日休)
入館料:大人はセット券1000円(特別展+常設展)、特別展600円、常設展510円。高校生以下は無料

(取材・文/多田みのり)