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温泉&宿 記事
 カワサキ的ツーリング情報 Vol.22 山形・銀山温泉

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子どものころ、読んだ本の記憶

子どもの頃、夏になると読みたくなる本がありました。

柏葉幸子著「霧のむこうのふしぎな町」がそれです。

小学6年生の女の子・リナがお父さんに勧められ、東北のとある町「霧の谷」を一人訪れ、ひと夏を過ごすファンタジー。宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」の原案になったといわれています。

このリナが訪れる「霧の谷」は、そこで暮らす住人以外には知られていない町。最寄り駅で道行くひとに尋ねても誰もその存在を知らず、交番でおまわりさんに聞くと「銀山村」のことではないかと言われてしまいます。途中、道に迷いつつもなんとかたどり着いた場所は、石畳の道沿いに6軒の洋館が建つ小さなかわいらしい町でした。個性的な住人たちに囲まれて特別な夏を過ごすリナが子ども心にもうらやしく、何度も何度も読み返したこの本。東北に実際に「銀山」という温泉地があると知ってから、いつか行きたいと考えていました。あれから(だいぶ)時が流れましたが、山寺へ立ち寄る旅(前回参照)の宿として、銀山温泉を訪れてみることにしました。


 

私の「霧の谷」、銀山温泉へ

銀山温泉があるのは、山形県の最北東に位置する尾花沢市。尾花沢市街地と宮城の古川を結ぶ国道347号線から県道29号・県道188号を経由した山あいで湧く出湯です。銀山の名が示す通り、1456年に銀山が発見され、江戸初期の1631年に大銀山としてピークを迎えました。その後徐々に衰退の一途をたどり、1689年には全山廃山となってしまいます。しかし、銀と入れ替わるように今度は温泉で、町のにぎわいを取り戻します。

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山を背景に、銀山川の両側に立ち並ぶ木造の温泉宿。

大正21913)年の大洪水で壊滅的な被害を被った銀山温泉は、一時衰退しますが、地元の努力もあって大正101921)年に発電所が完成し、昭和元年に新しい源泉が湧出したことでみごとに息を吹き返しました。今見られる建物のほとんどが大正末期から昭和初期にかけて建てられたもので、往時はガス灯が灯るモダンな温泉街だったそう。山中、石畳の小路の両側に洋館が立ち並ぶ「霧の谷」は、銀山温泉とロケーションがよく似ています。西洋の街並のような「霧の谷」に対し、銀山温泉は「大正ロマン」や「ノスタルジー」の言葉がぴったりはまる雰囲気。浴衣に下駄を引っ掛けて、カランコロンならしながらそぞろ歩くのがお似合いの街並です。

20150805_2GINZAN.JPG 20150805_3GINZAN.JPG   銀山温泉街にある伊豆こけし工房。朝の連続テレビ小説「おしん」に登場したこけしはこちらのモノだそう。

川べりの道沿いには宿だけでなく、土産物店や酒屋、カフェなどがちらほら。橋が随所に架かっているので、あっちへふらふら、こっちへふらふら、お店を覗いて歩くのも楽しいひと時です。ちょっと休憩にぴったり足湯もあります。       20150805_4GINZAN.JPG     川べりのデッキに足湯があります。私が入ったときはちょっと熱めでした。         


大正末期に建てられた旅の宿

銀山温泉の宿に選んだのは、温泉街のなかほどに建つ「旅館 永澤平八」。

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大正末期建造の木造3階建ての建物は、ノスタルジックな風景を形づくるひとつの要素として街並にすっと溶け込んでいます。客室数は9部屋。館内に入ると正面が帳場ですぐ横に階段、小さなラウンジと、旅館の要素がぎゅっと詰まった居心地のよさそうな空間がありました。小さな宿ながら大浴場の他に、無料で利用できる貸切風呂が2つあり、温泉をたっぷり楽しめます。さらに、宿のすぐ隣に共同浴場「大湯(かじか湯)」が。気軽に湯めぐりを満喫できるロケーションも魅力の宿です。

温泉はナトリウム-塩化物・硫酸塩温泉で、源泉の温度は63.8℃と熱めです。チェックインの際に、熱いですから入る前に湯温を確認してくださいねとアドバイスをいただきました。が、大浴場も貸切風呂も思いのほか熱すぎず、ちょうど良い塩梅でした。前に入った方が調節してくれたのかもしれません。貸切風呂は大人3人でも余裕のある大きさのと、2人が限界かなと思える小さめサイズから選べます。写真の大きめの貸切は、壁の上部が少し空いている半露天風の造り。外気が入ってくるので、さらに気持ちよい湯浴みを堪能できます。

20150805_6GINZAN.JPG 20150805_7GINZAN.JPG  (写真左)3階のお部屋。CM撮影で訪れた吉永小百合さんの控え室としても利用されたそう。(写真右)貸切風呂は空いていれば自由に利用可能。

20150805_8GINZAN.JPG 20150805_9GINZAN.JPG     (写真左)年期が入った階段。磨き込まれてぴかぴかでした。(写真右)「大湯(かじか湯)」に入浴料は、1人300円。温泉街宿泊者は無料。

銀山温泉街は一般車両の乗り入れができません。温泉街からやや離れたところに駐車場があり、宿のバスで送迎してくれます。こちらの宿にはバイク乗りにうれしい屋根付きの駐車場が!空いていればラッキーです。

(取材・文 川崎 久子)