ひとり旅にアート心も入れて by 塩見有紀子

冬ならではの美しい光景を見に青森へ

多田さんがクールビューティーな冬の北海道をご紹介しましたが、私は少し南下して冬のイベントを中心に弘前市をご紹介します。

冬といったら、雪。私が行った1月下旬の20150115aomori-1.jpg青森・弘前は推定1メートルほどの積雪がありました。スキー場以外ではこれほどの積雪はほとんど見たことない私にとっては、あまりの雪の多さにそれだけで興奮してしまいました。ただし雪が5センチ積もっただけで交通がマヒしてしまう首都圏とは違い、市内は車道はもちろんのこと歩道も整然と除雪されるので観光にはほとんど支障はないのでご心配なく。

 

20150115aomori-2.jpg桜の名所として知られる弘前城ですが、雪をかぶった姿もなかなかのもの。
また、藩政時代に津軽十万石の城下町として栄えた弘前には、文明開化以降、多くの西洋建築が建てられました。市内には明治大正時代の教会や洋館などがいくつも残っているので、それらを巡るのがおすすめです。日中もよいですが、冬期の夜はライトアップされるので、雪とあいまってより幻想的な姿を見られますよ(228日まで)。

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しっかり防寒対策をして、弘前市立図書館、東奥義塾外人教師館、青森銀行記念館、日本キリスト教団弘前教会、弘前カトリック教会などを巡ってみてはいかがでしょうか。雪のために歩くのは少し大変な場所もありますが、弘前城のある弘前公園を起点に積雪時でも1時間〜1時間半ほどで歩けると思います。

そして「みちのく五大雪まつり」のひとつとして数えられるのが、毎年2月に開催される『弘前城雪燈籠まつり』です。弘前公園内には、大雪像や武者絵を飾った約150基もの雪燈籠と約300のミニカマクラが並び、夜には燈籠やカマクラに火が灯ります。光に包まれた雪の園内はとても幻想的で幽玄の世界に誘われます。20150115aomori-4.jpg

また、大雪像をスクリーンにしたプロフェクションマッピングも行われます(期間中毎日18002030までの30分ごと)。さらに、弘前ねぷたまつりに出陣したねぷたの鏡絵などを再利用した津軽錦絵の回廊も見どころのひとつです。明かりがともされた夜の方がより美しく見えるはずなので、寒いのを少しガマンして夜に訪れてみてくださいね。

<弘前城雪燈籠まつり> 201527日〜11日 9002100(初日は1000〜頃)
            夜間ライトアップは日没〜
2100

散策の際、足元が心配な方は、弘前市内3ヶ所(弘前市立観光館、弘前市観光案内所、まちなか情報センター)で冬期間に長靴を貸し出してくれます。サイズは23センチ〜27センチ。予約はできませんが、簡単な手続きのみで無料で貸してくれるのは便利ですよね。


20150115aomori-5.JPG見学をした後は、津軽三味線ライブハウスはいかがでしょうか。人々の魂を震わせるような音を奏でる津軽の太棹三味線。力強く激しい音色を聴きながら、地酒や郷土料理に舌鼓を打てば、これぞ津軽!という夜が過ごせます。昭和39年オープンの有名店「ライブハウス山唄」など弘前駅周辺にいくつかライブハウスがありますので、観光案内所で訊いてみてくださいね。

 

20150115aomori-6.jpg観光スポットやイベントだけでなく、おすすめグルメもいろいろ。ホタテの貝殻に、ホタテ、ネギ、コンニャクなどを入れて出汁で煮て卵でとじた「津軽のあっぱ焼き」や、さいの目に切った野菜や豆腐がたっぷり入った味噌汁「けの汁」は体がとてもあたたまる青森の郷土料理です。居酒屋や津軽三味線ライブハウスなどで食べられます。

 

海鮮を食べたい時は、青森駅へ足を延ばしてみるのもいいですよ。弘前駅から青森駅までは電車で約50分。青森駅正面出口から歩いて約5分の場所に位置する、古川市場青森魚菜センターの「のっけ丼」は、好きな具材を盛って自分好みの海鮮丼を作れます。20150115aomori-7.JPG

まずは、食事券取扱店で1080円か540円の食事券を購入し、並盛りか大盛りのご飯を食事券と交換。そして、のっけ丼の具が販売されている市場内のほとんどの店をぐるぐる迷いながら、のっけ丼用に小分けにされている具をどんどん乗せていきましょう。市場内にはのっけ丼を食べられる休憩所があり、割り箸や醤油、お茶なども備えられています。トロ、サーモン、ヒラメ、イクラ、ウニ、ボタンエビ、ねぶた漬、魚のすり身、漬物など、これでもか!というほどわがまま満載のとっておきの一品を作りましょう。

 

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また、青森市には「味噌カレー牛乳ラーメン」というB級?グルメもあります。味噌? カレー? 牛乳?と一体どれがメインなの?と思うかもしれません。でも、これが牛乳のマイルドさに味噌の豊かなコク、そしてカレーの風味が加わる絶妙な味なのです。どれも味を主張しそうな素材なのに、なぜかきちんと丼の中で味が調和しているのです。バターをトッピングできる店もあるので、さらなる味のアクセントにお好みでどうぞ。

 

冬ならでは景色を見られる青森市内のスポットとしては、「青森県立美術館」と「三内丸山遺跡」をおすすめします。「青森県立美術館」では、棟方志功や奈良美智、寺山修司など青森県出身アーティストの作品をゆとりある空間で鑑賞できますし、雪の中に映える真っ白な美術館の建物自体がまた美しいのです。また、雪の冠とイヤリングをした高さ8.5mのオブジェ「あおもり犬」も積雪時ならでは光景です。
青森県立美術館から徒歩10〜15分の「三内丸山遺跡」。縄文時代中期のものと考えられる国内最大規模の遺跡で、縄文土器や装飾品などの展示館のほかに、屋外には縄文集落跡が点在しています。エアコンや電気のない酷寒の冬、縄文人がどんな暮らしをしていたか、雪の積もる中で想像してみてはいかがでしょうか。
「青森県立美術館」「三内丸山遺跡」へは青森駅からバスが出ていますが、最終バスを逃さないように気をつけてくださいね。

 

20150115aomori-9.jpgまた、市内の青森ベイエリア遊歩道(A-FACTORY〜ねぶたの家ワ・ラッセ〜アスパム)にてあおもり灯りと紙のページェントが開催中(〜2月1日まで)。ねぶた師が制作した和紙の大型オブジェや市民手作りの小型オブジェ「雪だるま〜る」に明かりが灯るイルミネーションイベントです。約700ものオブジェの光でつながれたベイエリアの姿を見にいってみてはいかがでしょうか。

弘前観光コンベンション協会 http://www.hirosaki-kanko.or.jp/

●古川市場 のっけ丼 http://www.aomori-ichiba.com/nokkedon/index.html

●青森観光コンベンション協会 http://www.atca.info/

                                                   (取材・文:塩見有紀子)

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