マイスターと世界遺産の知の旅へ by 山本厚子

別邸 山風木(宮城県・遠刈田温泉)

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今回はプライベートで出かけた遠刈田(とおがった)温泉の「別邸 山風木(やまぶき)」という宿をご紹介したいと思います。

遠刈田温泉は、蔵王山麓に湧く400年以上の歴史をもつ温泉地です。近くには峩々温泉や青根温泉もあります。遠刈田温泉街には宿のほか、「神の湯」と「寿の湯」という2つの公共の立ち寄り湯や足湯もあり、気軽に温泉を楽しめます。この温泉街にある「旬菜湯宿 大忠」という宿の別邸となるのが、今回宿泊した山風木です。

宿を訪れたのは、緑に包まれた池に蓮の花の咲く8月中旬。蓮の花は6月〜10月まで楽しめるようです。チェックインは、この蓮の花の咲く池を眺められる食事処「ロータスダイニング」で。夕食も朝食もここでいただくことになります。

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温泉街からは離れているので、とっても静か。敷地は2300坪あるそうです。そして、池を囲むように建つ建物には客室わずか9室。何だか贅沢な造りです。フロントやダイニングを過ぎると、回廊のような廊下が続き、客室やお風呂が並んでいます。この廊下は畳敷きで、スリッパ不要なので、気持ちよく過ごせました。

フロントに置かれたバタフライスツールや廊下に飾られたアンティークの家具などもセンスの良さを感じさせます。

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上記の写真は私の泊まった「萌黄」のお部屋。萌黄の客室はA・B・C・Dと4タイプあるなかでも標準的なAタイプ(10畳+テラス)のお部屋です。特別広くはないですが、竹と欅を組み合わせた広縁などあり、ゆったりできます。テラスにはお庭と池を眺められるチェアが置かれていました。夜にはイタリア製のマットレスを使用した、ふかふかのお布団が敷かれました。

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楽しみな夕食は18時から。先に紹介したロータスダイニングで用意されます。池に面したテーブル席や、料理長の仕事を眺められるカウンター席などから選んで座ります。

宿のコンセプトが「2食1泊付き」というだけあって、食事には力が入れられています。黒毛和牛 最高級A5ランクの仙台牛や蔵王で採れた地の野菜、南三陸の新鮮な魚介類などの素材を活かした会席料理が味わえます。

8月某日のメニューは以下の通り。
季節の前菜 蔵王仕立て・・・この日は11種類もの前菜が紅い器に彩りよく並んでいました。いろいろな味を目と舌で楽しめ、この後の料理に期待が膨らみます。

蔵王の恵み 枝豆の冷製スープ・・・写真はうまく撮れてないのですが、色がとてもきれいでした。枝豆の甘みを和風だしが引き立てます。

本日のお造り・・・この日は、北寄貝、牡丹海老、雲丹の3点盛り。

生ハムと地野菜のサラダ オニオンフレンチドレッシング
本日のステーキ・・・サーロインかフィレ、あるいはタラバ蟹と牡丹海老の海鮮焼きから選びます。私はサーロインステーキを選択。柔らかなサーロインステーキと、その横には味噌漬けの仙台牛も添えられ、2つの味わいを楽しめました。

「手作り・海老しんじょう」の旨味餡・・・海老しんじょうはフワフワの食感。旨味餡もやさしい味わいでした。

酢の物・・・スモーク帆立と、平目の酢〆、糸瓜を山葵酢でさっぱり。

本日のお食事「味来コーンとじゃこの炊き込みご飯」(味噌汁付き)・・・食事も部屋ごとに選択できます。炊き込みご飯の他には、「野菜雑炊 いくら入り」、または「宮城県岩沼産の釜炊きひとめぼれ(海老のかき揚と胡瓜の味噌漬け添え)」が選べます。

水菓子・・・「ガトーショコラ」と「ミルクレープ」でしたが、チョコが苦手の私は「バニラアイス」に変えてもらいました。

カフェ・・・コーヒー、紅茶、ほうじ茶から選択

以上のメニューの他に京風の"おばんざい"がカウンターに用意され、自由に取って味わうことができます。オプションで料理の追加もできます。

また、アルコールも充実しています。ワインセラーがあり、夕食前にセラーのワインをチェックすることも可能です。カウンターの奥には、稀少な日本酒や焼酎なども揃えて、利き酒で3種類を飲み比べすることもできるようでした。料理に合わせて、お酒もすすみます。(でも、私は飲んでないんですが...。)

ゆったりと食事を楽しんだ後は、お風呂に入るもよし、部屋でゆっくり過ごすもよし。

部屋でゆっくり過ごすためのアイテムも充実しています。宿にはDVDがレンタルのできる「シネマパラダイス」と雑誌・書籍の並ぶ「ライブラリー」があり、私はDVDを借りて部屋で映画鑑賞しました。また、リラクゼーションサロンも併設されています。

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A・D:月と風の湯・・・露天風呂と内湯があり、内湯には打たせ湯もあります。

B・C:風と木々の湯・・・ガラス戸で囲まれていますが、夏なので外されていました。背中に湯が流れ落ちる石のベンチがあり、ゆったりと半身浴できます。

最後にお風呂の紹介です。

お風呂は「月と風の湯」と「風と木々の湯」の2カ所があり、20時に男女が入れ替わりますので、1泊で両方に入れます。泉質はナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩・塩化物泉ですが、泉温が37.2℃と低いため加温されていますし、循環でもあります。温泉好きの方なら掛け流しの湯を満喫できる本館の「大忠」の方がいいかもしれません。ただ、浴室は解放的で気持ちよかったです。他に貸切風呂もあります。

お料理がとてもおいしかったのと、全9室の小さな宿だからこそのきめ細やかなサービスがうれしい宿でした。ライブラリーやDVDレンタルがあるのもそうですし、椿ラウンジの前には、自由に飲めるコナコーヒーがおいてあったり、浴衣と作務衣の両方が用意してあったり・・・。すべてここに書いてしまうと体験した時の喜びも半減してしまうと思うので、これぐらいで。宿のサプライズを楽しんでくださいね。

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おまけ

宿を後にして帰路につく前に、蔵王のお釜(火山湖)を目指してドライブしました。蔵王エコーラインから蔵王ハイラインとカーブをいくつも抜け、蔵王連峰五色岳の頂上へ。到着したときは霧でおおわれ、どこにお釜があるのかもわからないほどでしたが、しばらく待ったところ、ほんの数分、霧が晴れました。お釜が現れ、しっかりと神秘的な湖面の色を見ることができました。ラッキーでした。

●2食1泊付き1万9950円〜(税・サ込、入湯税150円別 ※1室2名利用の1名料金)

●お問い合わせ
別邸
山風木はコチラ

 

(取材・執筆 山本 厚子)

 

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